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さらにチームは今回、ヒトや食品などから分離された39種類の乳酸菌およびビフィズス菌をショウジョウバエに与えて、高い睡眠促進作用を持つ菌株がないかどうかを新たに調査。
その結果、ビフィズス菌の一種である「ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)」の菌株SBT2786において、乳酸菌株SBT2227よりも効果の大きい睡眠作用が見つかったのです。
B. アドレセンティスは、ヒト成人の腸管に生存するビフィズス菌の優勢種の一つとして知られます。
また同じB. アドレセンティスに属するにも関わらず、菌株SBT003などは睡眠促進の効果が弱かったとのことです。
一方の菌株SBT2786は、調査した39種の中でも最も強い睡眠促進の効果を持っていました。
加えて、SBT2786は加熱・殺菌を行った後でも睡眠促進作用を維持しており、食品やサプリメントとしての加工に非常に向いていると考えられます。
さらに、その効果の一部はインスリン経路を介したものである可能性が示されました。
このインスリン経路は私たちヒトを含む哺乳類にも共通して存在しています。
このことは、SBT2786が哺乳類に対しても睡眠を促進する可能性を示唆するものです。
それと同時に、SBT2786の睡眠促進作用についてより詳しく調べることで、インスリン経路と睡眠がどんな関係性を持つのかを理解できると思われます。
SBT2786は雪印メグミルクが保有している菌株ですから、今後マウスやヒトでの臨床試験にクリアすれば、すぐにも快眠をサポートするヨーグルトやサプリメントが作られるかもしれません。
参考文献
雪印メグミルク株式会社との産学協同研究講座において ビフィズス菌 Bifidobacterium adolescentis SBT2786 が睡眠を促進することを確認 https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2023/04/-bifidobacterium-adolescentis-sbt2786--genes-to-cells-.html元論文
Behavioral screening of sleep-promoting effects of human intestinal and food-associated bacteria on Drosophila melanogaster https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/gtc.13025