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簡単に作れる「電気を使わない冷蔵庫」の正式名称は、「二重ポット式冷蔵庫」と言います。
世界のいくつかの地域では、ジーア(Zeer)ポットとも呼ばれており、中東やアフリカの人々が、暑くて乾燥した気候でも食物を腐らせないために利用してきました。
二重ポット式冷蔵庫は次の手順で、誰でも簡単に作成できます。
①陶器の鍋(ポット)2つ、砂、水を用意します。
片方の鍋がもう片方の鍋にすっぽりと入る必要があります。
この時、鍋と鍋の隙間は1~3cmあるのが望ましいです。
そして小さな鍋に保存したい食物を入れるため、両方の鍋とも、できるだけ大きなものを用意してください。
②大きな鍋の底から約2.5cmまで砂を入れます。
③小さな鍋を大きな鍋の中に入れます。
この時、小さな鍋と大きな鍋のふちは同じ高さになるべきです。
もし高さに違いがあるなら、③に戻り、砂の量を調整します。
④鍋と鍋の隙間を砂で埋めます。
⑤砂に水を注ぎます。
⑥小さな鍋の中に食品を入れ、陶器または濡れ布巾を被せます。
⑦二重ポット式冷蔵庫は乾燥した通気性の良い場所に保管します。
⑧砂の湿気を定期的にチェックし、乾燥しているなら水を追加して湿らせます。
通常、1日に2回は水を追加する必要があります。
このように二重ポット式冷蔵庫は誰でも簡単に作れます。
では、これほど簡単な構造で、内部の食材を冷せるのはなぜでしょうか?
この冷蔵庫は、気化熱による冷却効果を利用しています。
気化熱とは、水が液体から気体に変わる際に使用される周囲のエネルギーのことであり、水が蒸発するときには、周囲の熱を奪って温度が下がります。
例えば、汗の蒸発で体温が下がったり、地面に打ち水することで涼しくなったりするのも気化熱による冷却効果が関係しています。
同様に、二重ポット式冷蔵庫の砂を常に湿らせておくと、その水分が蒸発する際、鍋の中の食物を冷やすことができるのです。
当然ながら、水が蒸発しなければ冷却されないので、蒸発しにくい湿度の高い気候ではうまく機能せず、対照的に、風通りがよく乾燥した気候では高い効果が見込めます。
冷却効果の程度は環境によって異なりますが、望ましい環境では、鍋の中を4.4℃まで冷却することが可能です。
そしてここまで温度が下がると、食中毒細菌の増殖はかなり抑制されます。
発展途上国で活動する慈善団体「Practical Action」のCEOポール・スミス・ロマス氏によると、「二重ポット式冷蔵庫を使えば、食料を10倍長持ちさせられる」とのこと。
また「種類にもよりますが、野菜を3~4週間新鮮に保たせることも可能」なのだとか。
電化製品に囲まれて生活している私たちが二重ポット式冷蔵庫を使うことはめったにありませんが、いざという時のために、作り方を覚えておくと良いかもしれません。
参考文献
The coolest way to keep food cold without electricity https://www.popsci.com/build-your-own-diy-refrigerator/ How to Make a Pot in a Pot Refrigerator https://www.wikihow.com/Make-a-Pot-in-a-Pot-Refrigerator