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とはいえ、自分の体力に自信がなく、登山はちょっと…とためらってしまう人も少なくないでしょう。
しかし、そんな問題を解決してくれるデバイスが実現しそうです。
中国・上海を拠点とするHypershell Technology社は、こうした需要に応えるために、超軽量の歩行用外骨格「ハイパーシェル(Hypershell)」を開発しました。
ハイパーシェルはたった2kgですが、装着すると約1馬力が得られ、山道を走り回れるようになります。
目次
崩壊した大陸を歩いて荷物を運ぶゲーム「デス・ストランディング」では、歩行を強化する外骨格「パワー・スケルトン」が登場します。
非常に重い荷物を背負った主人公はこの歩行用外骨格のサポートを得て、長距離の配達任務をこなすのです。
現実世界で似たような任務を果たすのは、山小屋に荷物を運ぶ「歩荷」くらいですが、実際に歩行用外骨格が存在するなら、様々なシーンで活躍するはずです。
例えば、ハイキングや登山を楽しむ際に歩行をサポートする「コンパクトな外骨格」があれば、疲労と事故のリスクを低減するのに役立ちます。
またショッピングや美術館、テーマパークで歩き回った後の足の痛みを無くすこともできるでしょう。
こうした需要に応えて開発されたのが、超軽量の歩行用外骨格「ハイパーシェル」です。
細いフレームが腰から両足のバンドに伸びており、デス・ストランディングの外骨格に比べるとかなりコンパクトな仕様になっています。
それでも世界最小の永久磁石同期電動機(PMSM)が内蔵されており、約1馬力と32N・mのトルクを秘めています。
これらの数値は、車3台(4400kg)を1分間で1m持ち上げるほどのパワーに相当します。
また2つのプロセッサと複数のセンサーにより、ユーザーの動きを学習しモデル化。複雑な地形に合わせてスムーズな歩行をサポートしてくれます。
その性能の高さは、Hypershell Technology社が「最初の一歩を踏み出して、あとはハイパーシェルにお任せください」と豪語するほどです。
実際、平坦な道や上り坂を軽快に歩いたり、最高速度20km/hで走ったりできます。
さらに、自転車やクライミング、階段の上り下りにも対応してサポートしてくれます。
加えて気になるのはハイパーシェルの持続性です。
その点に関しても、「ハイパーシェル プロ」のバージョンであれば1度の充電で25km分の歩行サポートが可能です。
登山1日で歩ける距離は、(環境にもよりますが)初心者で10km以下、経験者で10~25kmであるため、十分な持続性だと言えますね。
加えてバッテリーの交換やUSBケーブルによる急速充電(10分で20%充電)も可能です。
しかもハイパーシェルの重量はわずか2kgなので、外骨格として使用していない時も大きな負担になりません。
充電が切れた時のデメリットが少ないだけでなく、「疲れた時のために、ハイパーシェルを温存しておく」という使い方もできるでしょう。
登山では足腰の疲労がたまってきた時の事故が多いため、ハイパーシェルを利用するだけで事故のリスクを大きく低減できます。
また「登山にチャレンジしたものの、想像以上に自分の体力がなく、目的地にたどり着く前に日が暮れてしまう」といった状況に陥らずに済みます。
もちろん、ハイパーシェルの効果は実際に使ってみなければ分かりませんが、世界有数のフィットネストレーナーであるマット氏の興奮に満ちた笑顔は、その性能の高さを示しています。
ハイパーシェルは現在、クラウドファンディングサービスKickstarterで支援募集中であり、2339香港ドル(約4万円)で通常版である「ハイパーシェル・ゴー」が、3129香港ドル(約5万3500円)でハイクオリティ版である「ハイパーシェル・プロ」が入手できるとのこと。
未来の技術と思っていた山道を自由自在に走り回れる外骨格は、近いうちに登山者にとって標準の装備になるかもしれません。
参考文献
Hypershell: 1 Horsepower Exoskeleton for Everyday Adventure