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地球上には生物発光と呼ばれる仕組みを利用して光を生成する、多種多様な生物が存在します。
しかし生物が発光する目的は種によって大きく異なります。
たとえばホタルなどでは仲間に信号を送るためであり、渦鞭毛藻のような微生物は捕食者を怖がらせるため、また細菌では仲間内で細胞密度を調節するために光を使用します。
一方、キノコが光る理由については研究が進んでおらず、多くが謎に包まれていました。
そこで今回、カリフォルニア大学バークレー校の研究者たちは、発光色と集まってくる虫の間にどのような関係があるかを調べることにしました。
調査にあたってはまず、上の図のような、LEDを内蔵した偽キノコが作成されました。
内蔵されたLEDは本物の発光キノコが発するの緑色に加えて青・赤・黄色など多様な光を発することが可能になっています。
また集まってくる昆虫を捕らえる方法として、節足動物専用の接着剤(駆除剤)が用意されました。
そして夜になると研究者たちは本物の発光キノコ(Mycena sypherii)と一緒に偽キノコをならべて表面に接着剤を塗り、集まってくる虫を採取しました。
結果、光らせなかった偽キノコには全く虫が集まって来なかったものの、緑色に光らせた偽キノコと本物の緑色に光るキノコの周りには多くの虫が集まっていたと判明。
(※最も多く虫が集まったのは緑色に光らせた偽キノコでした。偽キノコから発せられるLEDは本物の光るキノコよりも強く輝いていたためだと考えられます)
一方、赤・青・黄色に光らせた偽キノコの周りには「ほどほど」の数の虫が集まったのに留まりました。
また捕獲された虫の種類を分析したところ、本物の緑色に光るキノコと緑に光らせた偽キノコでは、他の色に比べてハエなどの翅のはえた昆虫が多く含まれていることが明らかになりました。
研究者たちは「これらの昆虫たちはおそらく胞子を食べますが、ハエなど翅がはえた昆虫は、体に胞子を付着させて遠くに運ぶ役割も果たしている」と述べています。
つまり植物たちが甘い蜜や鮮やかな花びらでミツバチをおびき寄せて花粉を運ばせるように、光るキノコたちは緑色の光でハエなどを呼び寄せ、胞子の一部を食べさせてあげる代わりに胞子の運搬を行ってもらっていたのです。
しかし研究者たちによれば、全ての光るキノコが胞子を虫に運ばせる目的で光っていると考えるのは早計だとも述べています。
たとえば北米に生息するアルミラリアなどのいくつかの種はキノコを作る前の菌糸状態の時には光りますが、キノコを作った後は光らなくなってしまうことが知られています。
またA. gallicaなどは、キノコが損傷を受けたときのみ光ることが知られており、光を使って何らかの修復機構を働かせていると考えられます。
現在、光るキノコは100種類以上が知られていますが、光る目的も種によってさまざまのようです。
元論文
Let there be nightlights: the ecological role of bioluminescence in a Costa Rican mushroom https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2023.01.10.523474v1.full