- 週間ランキング
その結果、遺伝的に心房細動や静脈瘤、慢性静脈不全(脚の静脈が損傷し、血液が正常に流れない状態)になりやす人や、皮膚や骨の感染症、末梢神経障害と呼ばれる四肢の神経損傷を起こしやすい人たちは身長が高い傾向にあることが判明しました。
一方で反対に、身長が高い傾向の人は高血圧、高コレステロール、冠動脈疾患などの心血管疾患の遺伝的リスクは低いということも判明しています。
これは病気のリスクに関する遺伝データの傾向と、身長の高さに似た偏りがあることを示唆しています。
また、サンプル数が非常に多かったため、性別による傾向の違いも確認できました。
それによると、喘息および末梢神経障害は、身長の高い人の中でも、男性より女性に多くあらわれることがわかりました
本研究の成果から、チームは「身長が、成人男女におけるいくつかの疾患の危険因子となりうる」と結論しました。
しかし一方で、どうして身長の高さが特定の疾患の遺伝的リスクと結びついているかは、まだ明らかにされていません。
チームは、今後の更なる研究で、アメリカ人の他に、ヨーロッパやアフリカ、アジア圏から多くのサンプルを得ることで、身長と疾患の因果関係を解明できるかもしれない、と考えています。
もし、身長の高低によって発症しやすい病気が明確になるならば、前もって予防につとめることができるかもしれません。
参考文献
Massive New Study Confirms Being Tall Puts You at Risk of a Bunch of Diseases
https://www.sciencealert.com/massive-new-study-confirms-being-tall-puts-you-at-risk-of-a-bunch-of-diseases
A person’s height impacts their risk of multiple diseases
https://medicalxpress.com/news/2022-06-person-height-impacts-multiple-diseases.html
元論文
A multi-population phenome-wide association study of genetically-predicted height in the Million Veteran Program
https://journals.plos.org/plosgenetics/article?id=10.1371/journal.pgen.1010193
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部