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犬の感受性が豊かなことに驚かれる方も多くいらっしゃると思います。
その分かりやすい愛犬の行動や仕草に癒されることもあるでしょう。
なぜ、こんなに犬は感受性が豊かなのでしょうか。
その理由を見ていくことにしましょう。
感受性とは、外的な刺激や印象、感情を受け入れ、ものを感じる取る能力のことを言います。
つまり、飼い主さんの表情や行動を観察することで、嬉しさや悲しさを瞬時に察知して、自らの行動や意思をも影響を受ける犬は「感受性が豊かな動物」と言えるでしょう。
簡単に言うと、いいことをして褒められるととても喜んだり、イタズラをして怒られるとシュンとしたりするといった行動に表れるのです。
それに伴って飼い主さんの笑顔や怒っている顔を見ると、嬉しくなったり、落ち込んだりもします。
もしかすると犬は人間よりも感受性が豊かで、素直で純粋な生き物なのかもしれません。
Veronika 7833/shutterstock.com
では、犬は飼い主さんの表情や行動をどこまで観察し、指示に従うのでしょうか?
犬の感受性の豊かを証明する実験をいくつかご紹介します。
①おやつが入っている容器Aと、中身が空っぽの容器Bを準備して合図とともに選ばせます。
結果は中身が見えなくても、鋭い嗅覚によっておやつが入っている容器Aを選択しました。
②同じようにおやつを容器Aと容器Bに準備して、飼い主さんが容器Bを指さしたあとに合図とともに選ばせます。
結果は飼い主さんが指さした容器Bを選択しました。
ほとんどの犬が、中身が空っぽと分かっていながらも容器Bを選択しました。
中には、飼い主さんのわずかな視線や表情を読み取って、容器Bを選択した犬もいたそうです。
このことから、犬はおやつといういいことが得ることができないと認識しながらも、素直に飼い主さんの指示に従うことが分かりました。
「犬は飼い主さんの感情を読み取り、自らの行動や意思をも影響を受ける」と言われていますが、果たして本当なのでしょうか?
それを証明する実験をご紹介したいと思います。
①飼い主さんを中心として3人で椅子に座ります。
テープが入った透明の容器を準備し、飼い主さんはフタを開けることができない素振りをしたあと、右隣の人にフタを開けてもらいます。
飼い主さんは喜び仕草とともに笑顔を犬に向けます。
そのあと、右隣の人と左隣の人がおやつを与えます。
その結果は、飼い主さんを助けた右隣の人、何もしていない左隣の人の両方からおやつをもらいました。
②次に飼い主さんがフタを開けることができない素振りをして、左隣の人に助けを求めますが、無視されてしまいフタを開けることができません。
そのあと、右隣の人と左隣の人がおやつを与えます。
その結果は、右隣の人からおやつを受け取りましたが、飼い主さんを無視した左隣の人からは、おやつを受け取りませんでした。
例えば、人間社会でも、親切にしている人を見ると「いい人」と好意を持ち、冷たい人を見ると「嫌な人」と否定的になる傾向があります。
これは、自分の利害とは関係なくとも、人の行動や表情によって評価していると言えるでしょう。
これは犬も同じで、おやつをもらうかもらわないといった自分の損得とは関係なしに、大好きな飼い主さんが嫌なことをされたことで「この人は飼い主さんに嫌なことをする人だ」と認識したのかもしれません。
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感受性が豊かな犬は飼い主さんをとてもよく観察して記憶することによって、次に何をしようとしているのかを察知しているのです。
では愛犬は飼い主さんのどのような部分を観察しているのか、観察している5つの面について取り上げてみたいと思います。
まずは飼い主さんの表情を観察することによって、飼い主さんが今、どのような感情を抱いているのかを読み取ろうとします。
下からじっと飼い主さんの様子を見つめていることがありますよね。
表情から「飼い主さんは今、怒っているかも」「今は楽しそうだな」と考えているということになります。
最近の研究結果によると、犬は飼い主さんの表情からポジティブな感情とネガティブな感情を区別することができるということが分かっているそうです。
さらに顔のパーツ(目や口)の一部を見ただけで、そのパーツから感情を読み取ることもできると言われています。
日々、犬たちは飼い主さんの表情を観察して「この表情のときには気分が良い」「この表情はネガティブな感情の日」などと判断できているということでしょう。
確かに悲しいことがあったときに愛犬が寄り添ってくれる時がありますが、表情から読み取ってくれ慰めてくれているのでしょう。
飼い主さんの感情を読み取るための観察ポイントは表情だけではありません。
飼い主さんの声のトーンや声量なども参考にして感情を読み取っています。
例えば飼い主さんが高いトーンで声をかければ「自分に対してポジティブな感情を抱いている」と判断します。
反対に低いトーンで話しかければ「今はネガティブな感情が強い」と犬は感じ取ることでしょう。
声のトーンや声量、さらに先程の表情を総合して、愛犬は飼い主さんの感情を読み取っているという研究結果が出ていますので、「嬉しい」「怒り」「悲しい」といった飼い主さんの様々な感情を日々の観察から区別しているのです。
「うちの子、言葉を理解している」と思うことは、飼い主さんであれば誰でも経験があるのではないでしょうか。
これも犬が日々、飼い主さんの発する言葉について観察して得た能力ということができるでしょう。
犬は人間の発する言葉の子音と母音を区別しているという研究結果も発表されている上、言葉のイントネーションからその後の展開についての要素と結びつけて覚えているとされています。
言葉と一緒に動作も観察しているということですね。
このことから、愛犬は飼い主さんをしっかり観察して、言葉を聞き取るだけでなくその後の飼い主さんの行動なども含めて記憶していると言えます。
言葉と行動をセットにして覚えているのです。
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「私がバックを手にするとそわそわとし始める」「ペットボトルに水を入れると散歩に行くのが分かるのか嬉しそうな軽快な足取りでついてくる」といった経験をすることもあるでしょう。
これは、愛犬が飼い主さんの普段の行動を観察して、その後の展開に結びつけているからです。
バックを手にするとそわそわして落ち着かなくなってしまうのは、「飼い主さんが出かけてしまう。一人になってしまう」と焦っていることが推測できるでしょう。
飼い主さんから離れる時間が愛犬にとってストレスになっていることがあるかもしれませんね。
また、ペットボトルに水を入れると嬉しそうについてくるという行動からは「あのペットボトルはいつも散歩に持っていく物。今からきっと散歩行くんだ!」とワクワクしているからでしょう。
習慣になっていることを覚えているので、そこから次の行動を予想して反応していることが分かります。
「手にする物」と同じ理由で、飼い主さんの着替えを観察している犬も多いです。
「いつも出かける前は、あそこから新しい服に着替えている」「あれ?服が変わっている…外に行くの?」といったように、日々の観察からその後の飼い主さんの行動を予測しているのです。
もちろん「飼い主さんがいなくなってしまう」といったネガティブな感情だけではありません。
例えば、散歩に行くときにいつも着ていくアウターがある場合、そのアウターを羽織った瞬間に、散歩に行くことが分かって喜び飛び跳ねる犬も多いでしょう。
犬は飼い主さん自身だけではなく、飼い主さんに持ち物や飼い主さんが着替えたものまでしっかりと観察していることが分かります。
飼い主さんの一貫した行動を観察して、次にどのようなことを飼い主さんがするのかまで考えているということを知ると、愛犬のが飼い主さんのことをよく理解しているのかもと思ってしまいますね。