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東京・銀座の名店、和の鉄人 道場六三郎 の懐石料理「銀座ろくさん亭」の味が、常磐線 松戸駅前のロピアレジ奥で堪能できるという、奇跡。
そのミラクルを全身で確かめに、千葉県松戸市へ。オープンしたばかりの“大注目 隠れ家”に行ってみた。
それが、千葉県松戸市に出現した珠玉の美食空間「懐食みちば」。
ここ「懐食みちば」は、和の鉄人 道場六三郎の想いを継承し、東京・銀座の名店「銀座ろくさん亭」で実績を積んできた愛弟子 一ノ谷浩司さんが料理長を努める、“御年92歳 道場六三郎の集大成”という極上美食空間。
愛弟子たちの活躍する場を広げ、またその味を客に「もっと身近でもっと気軽に楽しんでいただきたい」という想いから、ここ千葉・松戸に新規出店した「懐食みちば」は、道場六三郎の“惜しみない味”が堪能できるコースなのに、料金はなんと銀座ろくさん亭の50%~70%程度となる昼3000円(税抜)、夜9900円(税抜、画像)という衝撃。
スーパーマーケット「ロピア」のレジ裏にひっそりある扉をくぐり、12席しかないカウンター席(テーブル席 4名×2卓もあり)に通される。
このカウンター席は、一ノ谷浩司 料理長(画像↑↑↑)をはじめとする道場六三郎のもとで修業を重ねた料理人たちの“仕事”が目の前でみつめられる。これも非日常で、心躍る。
ゆっくり対話するように料理人たちが目の前で調理し、盛り付け、カウンターへと届けてくれる。
さあ、まずは道場六三郎の真骨頂「心の出汁」で身を清めて。
その奥深くまで黄金色に透き通る美しさ。凝縮した旨味から立ち上る極上の香り。口にしたときのまろやかで濃厚な旨味の衝撃―――。
前菜は5種類。新もづく茶碗蒸、鮑(あわび)柔らか煮、白和え最中(もなか)、蛍烏賊(ホタルイカ)すみそ、黄金チーズ。
鮑柔らか煮は、煮鮑に衣をつけて揚げた逸品。素材の味もやわらかさも絶妙。
この前菜5種だけでも、種類豊富な銘酒をぐいっといきたくなる。
筆者が最も衝撃を受けたのは、この「御椀」。道場六三郎が追求してやまない出汁と、千葉県 九十九里浜からすぐに届いた蛤(はまぐり)の極上滋味が、脳天を震わせ、これまで体感したことのないような、身体にじわっと染み込んでいく。それは涙が出るほど、このうえない味。
「本日一番魚」をうたう刺身は、鮮魚三種盛り あしらい色々。日替わりで仕入れたとびきり新鮮な刺身が並ぶ。
この日は鯛、ボタンエビ、いか、まぐろ。おろしたて生山葵(わさび)がまた鮮度を引き立てる。
焼物は、一ノ谷料理長が、厨房に構える大きなフランス製石窯でじっくり焼いた国産和牛もも。そこに焼き野菜やピリ辛のピクルス、秘伝みそが添えられる。ふきのとうの天ぷらもサックサク。
そしてこのフランス製石窯での焼き加減が絶妙。高温で仕上げるから外は香ばしく、なかはしっとり、赤身肉の旨さを最大限まで閉じ込めた、技の利いた逸品。
もちろん、こうした逸品と合うビールやワイン、そして日本酒もいろいろ。
この日は、日本酒の神様といわれる農口尚彦の傑作と、立山を。こんなすてきな器で出てくる。
もし、お酒に迷ったら、常駐するソムリエにひと声かけてみるのもいい。
煮物は魚辺に春と書いて、鰆(さわら)。春を先取りする魚と農口の傑作で、旨さも想像を超える域に。
筍(たけのこ)と、菜の花、生わかめと、春の旬をすべて先取りして、ぎゅっと旨味が閉じ込められたひとしな。
「小鉢」旬の酢物は、わかさぎの南蛮漬け。ひんやり冷たい食感と、さっぱりした南蛮漬けが、これまた冷酒と極上マリアージュ。
涼しげな小鉢のなかで、まるでわかさぎが気持ちよく泳いでるようで、目にも美しい。
「御食事」は、「田舎風もり蕎麦」「さっぱり和風カレーうどん」「糠に三年 糠鯖茶漬け」からお好みのを選んで。
糠鯖は、道場六三郎の故郷 石川や、福井など、北陸の名物「へしこ」をこれまた絶妙な塩梅の鯖がぜいたくに5切れものった茶漬け。
こちらも道場六三郎直伝の出汁をかけて、熱々のうちに……。刻んだ紫蘇(しそ)とごまが香りを引き立て、至福のシメに……。
デザートは、柔らか杏仁豆腐とよもぎ団子小豆。杏仁は厨房の料理人が何度も試行錯誤して、この柔らかさに着地したという力作。
熱いお茶と、いっしょに―――。
―――最初から最後まで、こちらがなにか語る言葉がみつからない。ただただ、手を合わせて、ごちそうさまでした。
最高の至福の時間を、ありがとう。ニッポンの恵みに、匠の技に、おこころに、感謝。感謝。感謝。
また来ます。その日まで、みなさんお元気で。
ごちそうさまでした。
◆懐食みちば
https://michiba.com/kaishoku/