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たかがマンガ、されどマンガ、やっぱりマンガ、いまこそマンガ―――。
いま日本発のカルチャーといえるマンガが、企業の研修ツールとして入り込み、想像以上の効果を上げている事例が続出している。
「コミックラーニング」は、総合人材サービス パーソルグループのパーソルイノベーションが開発・運営する新規事業で、パーソルの新規事業創出プログラム「イノベーション体質強化プログラム『Drit』(ドリット)」で採択されたサービス。
このコミックラーニングを企画し運営を司るのが、事業責任者 仙波敦子さん。仙波さんに「コミックラーニング」の最新トレンドを聞く前に、まずは「コミックラーニング」とは、から。
事業化決定わずか4ヶ月後の2021年8月にローンチし、2022年12月時点ですでに5万人を超えるユーザが体験した研修サービス「コミックラーニング」は、その名のとおり e-Learning 研修にコミック教材を活用することで、誰もが学びたくなる研修に変えていくという研修ツール。
プランは2つ。既存の複数作品が読み放題となるe-learningサービスと、クライアント企業の研修プログラムに沿ってオリジナルのコミック教材を作る教材制作サービスがある。
直近では、日本通運(日通)が「コンプライアンス遵守」研修にこのコミックラーニング受託制作プランを採用。同社全従業員3万4449名(2022年10月1日現在)にむけて、パーソルイノベーションが受託し、コンテンツを制作。
企業研修にこれまであった、「研修の参加率・完了率が低い」「研修内容の理解度・定着度が上がらない」「研修にかかる費用・工数が膨らみがち」といった課題を、この「コミックラーニング」が解決するというわけだ。
しかもその証拠に、売上は現時点で2021年度対比300%超えという。
日通が「コンプライアンス遵守」研修にこの「コミックラーニング」受託制作プランを採用した“決め手”について、日通 人財戦略部 NXグループユニバーシティ 赤木和司さんはこう話す。
「これまでは、コンプライアンス遵守の必要性をPDFの紙芝居形式で提示していました。読み物としては、ある程度品質を上げることができるものの、没入感や温度感を伝えるという点では、限界を感じていました。
この経験を踏まえて、コンプライアンス違反およびそれに伴うリスクは『誰にでも起こることで、人生を棒に振る可能性があり、きっかけは普通に過ごしている生活のなかにある』という、わたしたちがいちばん伝えたいことについては、よりイメージで伝わりやすい『コミックラーニング』を利用しました。
実際に起きた個別の事象や、登場人物のキャラクターの性格をコミック化してくれる『受託制作プラン』があった点も導入の決め手となりました」(日通 人財戦略部 赤木さん)
なぜこの「コミックラーニング」がいま企業研修ツールとして注目を集めているか。パーソルイノベーションで「コミックラーニング」を立ち上げ、事業責任者として走る仙波敦子さんは、強みをこう教えてくれた。
「当事者意識の醸成にこの「コミックラーニング」は強い。コンプライアンス、セクハラ・パワハラ、個人情報保護、SDGs、ESG、DEI といった、業務のなかで自分ごと化して能動性を引き出すところに長けています。
ストーリー性と学習要素を両立させることで、登場人物(キャラクター)への共感が当事者意識を強め、こうした「わかっているつもりだけど実は理解していない」ルールや規定などをわかりやすく理解し、さらに理解度をチェックするテストもセットになっているので、ひととおり終えると当事者意識をもって行動に移せるという点でも、クライアント企業から支持を得ています」(仙波さん)
こうした利点で「コミックラーニング」を活用する企業が増えているいま、とくにどんな業種・業態に期待が寄せられているか。仙波さんは、「コミックラーニング」が活かされる、“即効性”のある業種・業態を教えてくれた。
「まず、デスクに座って業務するデスクワーカーが大勢を占める企業よりも、現場作業の時間が多い人たちを抱える業種や業態ですね。より研修をし辛い人たちとも言えます。たとえば製造業や運輸・運送業、物流業などでは、この「コミックラーニング」を活用する事例が増えています」(仙波さん)
いま注目が集まるパーソルイノベーションの「コミックラーニング」。「今後はさらにプランやコンテンツの幅を広げます。例えば学習効果を高める継続学習プランやDX、管理職向けなどのコンテンツも拡充していきます。」(仙波さん)というから、今後さらにユーザー数が増える予感。
◆コミックラーニング
https://lp.comiclearning.jp/top
そして、こうした画期的なサービスをスピーディーに創出するパーソルイノベーションの「Drit」にも注目。
この 「Drit」 は、パーソルイノベーションの新規事業創出プログラムで、社員自らが起案し、実際に事業化させることができるプログラム。
Drit 推進室 平井裕介 室長は、「今後さらなる新規事業を生み出すための布石として、全面リニューアルし、プロジェクトを加速させます」という。
「『Drit』 のプログラムを新たに2つのコースに分けました。ひとつは、新規事業開発に特化したリニューアル版 『Drit』。もうひとつは、新規事業の流れを体験して能力開発につなげる研修型の 『D-CAMPING』 です。
狙いは、新規事業の扉の敷居を下げ、誰でも気軽に新規事業に立案・参画できるようにする。『D-CAMPING』はまさにそのためにあるコースで、キャンプで焚火を灯すようなイメージで、楽しんでいたら、気付くと火が灯っていた=自分の想いがカタチになっている状態へと導くプログラムです。
―――これまで一部の人しかできないと思われていた新規事業が、「Drit」と「D-CAMPING」で、いつでも誰でも、新規事業にチャレンジできる。そんなパーソルイノベーションの可能性と革新性に、今後も注目だ。