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間近で観ると、こんなにも表情と輝きが変わるとは―――。
誰をもそう想わせる、圧倒的な技法と姿勢、伝えたいメッセージが詰まった“絵画展”が、東京・有楽町のJR線ガード下「日比谷OKUROJI」で12月10~18日の9日間、開催されている。
それが、「草場一壽 陶彩画新作展 東京」。
草場一壽は、1960年佐賀県生まれ。1990年、これまでの有田焼の常識では考えられない色彩の表現に成功した第一人者。
絵付けと窒入を十回以上繰返して色彩を表現する陶彩画の技法を確立し、同年、佐賀県武雄市山内町に工房を開き、陶彩画の創作活動を始める。
陶彩画制作の傍ら、保育園での絵画教室の経験をともに、2004年に制作した絵本「いのちのまつり」を出版。
絵本としては異例の売り上げを記録し、シリーズで5冊上梓。小学校などの道徳の教科書に採用されている。
日本映画界においても陶彩画を美術協力として提供。佐賀県武雄市に自身のギャラリーを持つほか、毎年全国数か所にて陶彩画展(個展)を開催している。
1年ぶりの東京個展となる今回は、数ある作品の中でも、およそ30年もの間描き続けてきた、“龍”をモチーフとする新作『はじまり』のほか、草場一壽の神話シリーズ最後の大作となる新作『国常立命(金龍)またの名をニギハヤヒ 艮の金神』、大阪開催個展で注目を集めた新作『豊穣の女神 ラクシュミー』などが展示される。
神話シリーズ最後の作品となる、新作『国常立命(金龍)またの名をニギハヤヒ 艮の金神』は、和解という想いが込められた最新作。
「これまでの不都合なものを封印することで綺麗なストーリーを形作っていた過去をしめくくり、新しい未来への「物語」を紡いでいくための自分や他者との“和解“。
自分自身が囚われていた思い込みをリセットする=封印を解き和解をすれば、忘れていた美しいものと再び出逢い、新しい生き方が始まる。
その門出への祝福を込めて、草場の陶彩画神話シリーズの終幕、薄闇の中に光を帯びて浮かび上がる雄々しい国常立命を初めて公開する」(草場一壽工房)
草場一壽が描く「いのち」とは、生きとし生けるものの命そのものや、そのつながり、存在することのよろこびであり、『本当の豊かさ』を見つめ直す問いかけでもある。
そんな『いのちの輝き』を表現した、艶感と立体感をもち、まばゆい輝きを放つ陶彩画を目の当たりにしたら、誰もがその衝撃に圧倒されるはず。
そして原画70点と複製画も含めて約100点が展示される今回の東京個展は、心が揺れ動く陶彩画の新たな魅力を発見する絶好の機会になるはず。
「草場一壽 陶彩画新作展 東京」開催期間中は在廊するという草場一壽は、神話シリーズ最後の大作となる、『国常立命(金龍)またの名をニギハヤヒ 艮の金神』を初公開。
「日本の神話を描き始めたのは、神そのものを描きたかったからではなく、やはりわたしの作家としてのテーマである『いのち』をもとに、いのちを循環させている大きな意志、人によっては大自然や神と呼ぶかもしれない存在を前にしたときに、人が感じるであろう畏敬の念や安心感を抱いてもらえる作品を作り出したかったからです」と語り、こう続ける。
「今回、一般的に封印されたとされる「国常立命」という神を艮の金神(恐れ封印された存在)として描くことで、現代社会に生きるわたしたちが見過ごしてしまいがちな、『当たり前と思っている物事の本質』を見つめ直し、コロナ禍後にめざす未来を考えられたらと願っています。
作品は作者の手を離れたら、見てくださる方のものになります。見てくださる方の心に届くものがあれば、作者としてこの上ないよろこびです。ぜひ、原画を間近でご覧ください」(草場一壽)
草場一壽が生み出す陶彩画は、有田焼の故郷・佐賀に生まれた草場が「いのちの輝き」を表現するために、着想以来苦節30年、たゆまぬ研究と試行錯誤の末に実現した「焼き物の絵画」。
絵付けと窯入を十回以上繰り返す”陶彩画”は、唯一無二の芸術作品として、世界中から注目を集めている。
その最大の特長は、ほかの焼き物や絵画にはない立体感と艶感を持っているところ。
彼がつくる陶彩画は、おもに “龍” “神話” “菩薩”などをモチーフに、「奇跡の輝きを持つ絵画」とも呼ばれている。
―――奇跡の輝きと圧倒的なメッセージ性で問いかける、草場一壽の世界。
下の2枚めの作品「黄金の龍」の頭部のどまんなかを貫く“光”はなんなのかは、現地に行ってその作品と対峙して、衝撃事実を作家自身から聞いてほしい。
「草場一壽 陶彩画新作展 東京」は、12月10~18日 10~18時 日比谷OKUROJI で公開。入場無料。
https://kusaba-kazuhisa.com/post-event/7211/