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知ってた? このコロナ禍で、漢方薬を選ぶ人が増えてきて、医療用・一般用ともに市場が拡大しているという事実。
先日も、東北大学の研究で、漢方薬 葛根湯(かっこんとう)などがコロナ急性期に有効であることを発表し、注目を集めた。
こうした漢方薬の拡大トレンドは、超高齢化社会時代、健康志向の高まりに加え、ストレスを起因とする心身の不調の顕在化など、不調も多様化していることがある。
そんないま、半世紀以上にわたり漢方薬を提供してきたクラシエ薬品が、漢方薬の最新トレンド(KAMPO OF THE YEAR 2022)を公表。同社 草柳徹哉 代表取締役社長、同社ヘルスケア事業部 西村英徳 マーケティング部長が説明した。
一般用漢方薬市場では、20代の若年層からの需要増加が現れている点に注目!
購入個数と来店者数をもとに算出した購買指数(PI値)の変遷を示したグラフでは、過去5年間で、20代の購買指数が突出して伸長。
既存ユーザーの高齢者層だけでなく、漢方薬の需要は幅広い年代に広がっていることがわかる。
一般用漢方薬市場において、1~10月の期間で最も伸長率が高かった漢方処方は、せきや痰に対応する『麦門冬湯(ばくもんどうとう)』だった。
続いて、頻尿関連処方である『八味地黄丸(はちみじおうがん)』が2位に入り、昨年に引き続き需要の高まりがみられる。
また、めまいなどに効果のある『苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)』や『当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)』も上位にランクインし、感覚器に関する症状への需要が高まったことも2022年度の特徴という。
―――ということで、ここでことし2022年、国民を悩ませた病と、注目を集めた漢方について、チェックしていこう↓↓↓
2022年の漢方薬市場において、注目すべきトレンドのひとつが「気象病」。
「気象病」は、気候や天気の変化が原因でおこる身体の不調の総称とされ、気候変化の激しい季節の変わり目や梅雨の時期、また台風が多い時期などにとくに起こりやすいいわれている。
気圧の変化に起因する不調は、2013年ごろからじわじわとネット検索などで増え、直近2年で急激に増加。
こうした「天気によって発現する不調の存在」が認知され、こうした悩みに関連する処方である『五苓散(ごれいさん)』や『苓桂朮甘湯』の需要も拡大した。
頻尿に対応する処方のひとつである『八味地黄丸』は2019年以降、継続して規模を拡大。
拡大の要因は「夜間尿に八味地黄丸が効く」という認知が広がったことが要因のひとつに。
とくに60~70代を中心に、購入指数も増え、対象の年代層のボリュームを鑑みると、今後も継続して需要が高まる見込み。
いっぽうで、コロナ禍で急激な社会変化を背景に、2023年以降もストレス関連需要への注目が続くことが予想される。
過度なストレスは身体的・心理的それぞれに、多様な症状を引き起こし、ストレスで落ち込むタイプ、イライラして攻撃的になるタイプ、いずれも同等の割合で存在し、ストレスによる不調は、多種多様化する傾向。
こうしたストレス社会に、西洋薬では対応しにくい多様な症状をカバーできる漢方薬のラインアップにも期待が高まっている。
また、2020年から始まったコロナ禍では、漢方薬の可能性に注目が集まり、感染拡大と同時に危惧されているのが「コロナ後遺症」。
感染経験者が増加するなかで、2023年以降もこの疾患への対応は注目が予想されている。
コロナ後遺症は罹患後症状が幅広く、時間が経過しても改善が見られないケースがある。
そうした場合、対症療法として漢方薬が有効なケースもあり、対処の難しい精神系症状をはじめ、漢方薬の可能性に期待が集まっている。
―――そこで、いま注目の漢方薬
体力中等度以下で、たんが切れにくく、ときに強くせきこみ、または咽頭の乾燥感があるからぜき、気管支炎、気管支ぜんそく、咽頭炎、しわがれ声などに。
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少、多尿で、ときに口渇がある下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧にともなう随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れなどに。
体力中等度以下で、めまい、ふらつきがあり、ときにのぼせや動悸がある立ちくらみ、めまい、頭痛、耳鳴り、動悸、息切れ、神経症、神経過敏などに。
体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴える月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴りなどに。
体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかをともなう水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔などに。
薬局やドラッグストアで販売される一般用漢方薬の市場規模は、直近6か年では微増傾向。
2020年度まで継続的な成長がみられ、昨年度はコロナ禍における漢方風邪薬の落ち込みにより減少したなか、2022年度は回復傾向へ。
―――クラシエ薬品(https://www.kracie.co.jp/kampo/)は、市場での漢方薬の動きから生活者が抱える不調を読み解き、同社独自の視点で今後の漢方を取り巻く流れを予測。
今回の「KAMPO OF THE YEAR」は、漢方薬を通じてこの1年を振り返るきっかけになればとの想いから企画されたもので、2023年以降も継続して実施していくという。