【Digital Space Conference 2025】電通グループが描く「実ビジネスで使える AIデジタルツイン」の実現性＿マーケティング現場ですでに使われている最新事例をチェック

AI・Web3・メタバース領域の第一線で活躍するスピーカーが、成功の裏側や失敗から得た教訓、最新トピックスを明かす、貴重な一日 ――― Digital Space Conference（主催：日本デジタル空間経済連盟）。

東京・六本木できょう 2月27日、「Digital Space Conference 2025」が開催され、12:00-18:20 の講演・展示、19:00-20:00 のアフターパーティーとも多くの来場者でにぎわった。

そのフルレポートは別で記すとして、今回注目したのは、電通グループ協賛セッション・電通デジタル 有益伸一 ディレクター「最新の生成AIはデジタルツインの夢を見るか？」の話題。

電通がもつ膨大な調査・行動データがあるからこそ なせるわざ

テーマにある「デジタルツイン」（DigitalTwin）とは、現実の世界（リアル空間）から収集したさまざまなデータを、送信されたデータをもとに、双子のようにコンピュータ上（サイバー空間）でリアル空間を再現する技術。

電通デジタル 有益伸一 D は、「電通グループがもつリサーチデータ・各種SNSデータ・生活社調査データなどと AI でデジタルツインを実現させ、マーケティングを最大化・効率化できる」という。

デジタルツインは、この「電通グループがもつ膨大な調査・行動データ」があるからこそ、なせるわざというわけだ。

LLMの知識に加え、自社調査データやSNSデータ、消費者データを AI に連携

前段、有益 D は、LMM単独でマーケティング利活用するさいの大きな課題について、こう伝える。

「LLM（大規模言語モデル）は多くの場合、インターネット上に公開されていない消費者の興味関心・勾配傾向データや企業独自の調査データ、LLM公開後にリリースされた製品に関する情報を学習していないため、LLM単独で顧客を再現しようとした場合、真の顧客とはかけ離れたものになってしまい、学習していない事柄については正しく回答できていない」

そこで強調するのが、「LLMの知識に加え、自社調査データやSNSデータ、消費者データをAIに連携することで、実業務で使えるデジタルツインを実現する」という動きだ。

顧客の膨大な情報を AI にインプットさせ、AI chat 化、マーケティングに活用

そして電通グループは、AIデジタルツインを構築すべく、顧客の膨大な情報を AI にインプットさせ、AI chat 化し、対話によるインサイト抽出を可能にしている。

またマーケティング施策検討時にこの 独自 AI chat にも質問し、回答の妥当性を確認したり、何度でも質問してデプスインタビューを深堀りしたりも実際に動き始めている。

細やかな“考え・行動”もはじき出す“電通AIデジタルツイン”

そして電通グループの AIデジタルツインは、ペルソナも細分化している。

たとえば、「最新家電で生活をアップデートする ITエンジニア 20代男性 購買意欲あり」という人物のインサイト／興味関心／サイコグラフィック／ファッションや嗜好品について重視すること／ニーズ／家電製品で意識・重視していること／抱える課題といった細やかな“考え・行動”もはじき出している。

施策やコミュニケーションの検討過程で積極的に AIデジタルツイン を利活用

さらに電通デジタル 有益伸一 ディレクターは、AIデジタルツインのマーケティング活用について、AIならではの「自由に質問できる」「すぐ答えが得られる」という利点を活かし、施策やコミュニケーションの検討過程で積極的に利活用できるとも伝えていた。

たとえば、「企画案・コピー表現などの評価」「マーケティング施策のシミュレーション」「AIへのデプス・グループインタビュー」などにもこの AIデジタルツイン が活用できるという。

たとえば「申し込むとポイントがもらえるキャンペーンを実施するけど、この条件の場合、申し込みしやすい？」とか、「もし以下のような新しい機能を持った商品が発売されたら、購入したいと思う？」といった投げかけで、情報を集めていくという流れも紹介していた。

―――そして有益 D は最後に、オーディエンスにこう伝えて降壇した。

「デジタルマーケティングを超え、AIデジタルツインを始動しよう」