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「肺がんと診断されても、あきらめないで」
米バリアン社製 陽子線がん治療装置「ProBeam 360」を日本で初めて導入した中部国際医療センター(岐阜県美濃加茂市)の肺がん治療センター 樋田豊明 呼吸器内科部長(センター長)は7月、都内で「肺がん治療の最前線~進化する薬物療法と陽子線治療~」と題した説明会に登壇。
肺がん治療の種類や、陽子線治療の対象となるがんや新たな公的医療保険適用などについて教えてくれた。
肺がんの治療は、薬物療法・放射線療法・手術療法の大きく3つがある。
樋田医師は、薬物療法のなかでも「近年の進化が著しい分子標的薬」についてこう伝えた。
「分子標的薬は、がんの増殖に関わるタンパク質などの特定の分子にだけ作用するようにつくられていて、異常な遺伝子タイプごとに対応する薬があります。
また、がん細胞は免疫の働きにブレーキをかけますが、がん細胞からの信号を遮断して、免疫の攻撃力を取り戻す『免疫チェックポイント阻害剤』などの新薬は、肺がんの生存期間を延ばしています」
また放射線療法については、知っておきたいニュースがある。
それは、2024年6月から早期肺がんI~IIA期(切除不能なものに限る)について、陽子線治療が公的医療保険適用になった。
樋田医師は、「放射線療法の一種である陽子線治療は、正常組織への影響を最小限におさえながら、がん病巣に最大のエネルギーを当てることができます」と伝え、こう続けた。
中部国際医療センター・陽子線がん治療センターでは、高線量の陽子線をがんの形状や大きさに合わせて照射する強度変調陽子線治療(IMPT)が可能な世界最新・米バリアン社製 陽子線がん治療装置 ProBeam 360 を導入しています。
これまで肺がんの陽子線治療は、先進医療対象でしたが、ことし6月からは早期肺がんI~IIA期(切除不能なものに限る)が公的医療保険適用となりました」
樋田医師は、こうした陽子線治療をはじめ、分子標的薬・免疫治療薬などを併用した治療で、生存率を高くすることができるという。
「中部国際医療センターでは、患者の状態にあった治療法や治療期間を計画し、治療後は経過をみながら、再発がないか、副作用がないかなどを外来診療でフォローします。
最新鋭の機器とチーム医療を組み合わせた陽子線治療が、多くのがん患者の“希望の光”となることを確信しています」