あたしは読モ



あたしは読モ。


街を歩いてても

よくスカウトされるし、

今週も、もう2回スナップを撮られた。


大手のプロダクションからも

話がきてるし、

人生ってちょろい。


この容姿に生んでくれたことだけは、

両親に感謝しなきゃね?


「あの、すいません」


もう、なに?

あたしに気安く触んなっつーの。


うわっ

しかもきもい親父じゃん。


「なんの用?」




 


うざい




「お前さ最近奥さんの話しないけど喧嘩でもしてんの?」


「喧嘩はしてないんだけどね。

ずっと口きいてくれないんだよ」


「かー!

お前も大変だなー!


うちなんて帰るたびに

どこで飲んでたの?

誰がいたの?

とか聞かれちゃってさー


ほんとうざいんだよね。

ほっといてくれよって感じ?」


「ははは。

それはお前が実際に遊んでるから

奥さん心配してるんだろ。


たまにはサービスしてあげないと、

口きいてくれなくなってからじゃ

遅いぞ」


「サービスかー

こっちの仕事大変だから。

家族サービスばっか

やってらんないんだよなー


あ、やべ

行かなきゃ。

それじゃまたな!」


「おー。

またな」



 


嘘リーマン




『申し訳ありません。

家内が体調を崩してしまいまして、

病院に付き添いのため

午後出社とさせてください』


これでよし。


昨日も寝坊しちゃったから、

さすがにそれっぽい

理由にしないとなー。


もちろん妻はピンピンしてるけどね。


「おはようございます、谷田課長」


「遅刻だね。

今日も寝坊か?」


「申し訳ございません。

ご連絡差し上げましたとおり、

家内が…」


「奥さんは元気だろう」


「えっ!?」


「ほら、奥さんのSNS。

これから友達と表参道で

ランチだって書いてるよ」


うわ、そうだ。

課長とあいつ、

SNSで繋がってるの忘れてた~


あいつも寿退社する前は

課長の部下だったもんな…


今度からちゃんと口裏を合わせるように

頼んでおこうっと。


「も、申し訳ございません…」


「罰として、

今日中にこの資料を

用意しておいてくれ。

明日朝イチの社長会議に回すから」


「ええ、今日中ですか!?」


「それがどうした?」


「は、はい…」


はあ、今日は終電まで残業かな…



 


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情報提供元: CuRAZY