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白い背景の上に同じ大きさのピンク色の正方形を等間隔に並べました。正方形を等間隔に並べることにより画面上に白い格子が出来上がっています。この格子は白色のはずなのに、画面を見続けているとぼんやりとしたピンク色の点が画面上を動き回っていることに気付かされます。不思議なことに、動き回っている点の中のひとつをじっと見つめるとその点はフッと消えてしまいます。
あなたに見えているぼんやりとしたピンク色の点は実際には無いのですから、あなたが見ている点の正体は錯覚です。正方形の色が変わるとぼんやりと見える点の色も変わります。この図形は1870年(1865年という説もあります。)に白い背景に黒い正方形が描かれた図形として、ヘルマン(ハーマン)により発表されました。ヘルマンにより発表された錯視画像なので「ヘルマンの格子」とよばれています。
下の図は正方形の色を紺色に変えたものです。ぼんやりと見える点の色も紺色に変わりました。点の色がぼんやりと見えるのは、周りの正方形の色より幾分薄く見えているからです。白い線と白い線の交点部分を見ようとするとき、私たちの脳ミソは交点部分と周りの正方形の色との対比がうまくできずに錯覚が起こるのではないかと考えられています。
正方形の色だけではなく背景の色が変わっても、錯覚で見えてくる点の色が変わります。
白い背景をグレーに変えました。するとぼんやりと見える点の色が少し濃くなっています。しかし相変わらず点は画面上を動き回り、ひとつの点を見つめるとその点は消えてしまします。
ところで、グレーの線の交点上に交点と同じくらいの大きさの白色の円を置くとどうなると思いますか。
グレーの線の交点上に白色の円を置きました。今度は白色の円の中に紺色の点が見えるようになり、その点は画面上を動き回ります。ひとつの白色の円に着目すると、白色の円は消えませんがその中に見えていたはずの紺色の点は見えなくなります。まるでそれぞれの点がきらめいているように見えるので、この錯視画像は「きらめく格子」とよばれています。
では、白い背景の上に正方形を並べるのではなく細い直線を縦と横に並べるとどのようなものが見えると思いますか。それぞれの直線は交点ができないように間隔をあけて並べます。その間隔は適当にあけるのではなく等しい間隔にします。
直線同士の間に白い円が見えていませんか。実際に白い円を描いているわけではないのですが、背景よりも白く見える円が浮かび上がってきます。直線同士は同じ間隔で離されているので、そこに円があるように見えています。この錯視は「エーレンシュタインの錯視」とよばれています。
直線同士の間隔を変えると浮かび上がってくる図形の形も変わります。もし近くに白い紙と筆記用具があるのならば、正確でなくても良いので同じように直線を描いてみて下さい。同じように円が浮かび上がってきます。「本当だ!」と実感できます。
白く浮き上がっているように見える円の中に「+」マークを追加してみましょう。エーレンシュタインの錯視に新しい現象が現れます。
白く浮き上がって見える円の中に「+」マークを追加しただけなのですが、「+」マークがにじんで、まるでネオンのように見えてきます。このように見える現象をネオンカラー現象とよんでいます。「+」マークの色を変えると、ネオンのように見える見え方も変わります。
ヘルマンの格子は1870年に発表されました。その後、時代とともに研究が進み次々と格子に関する新しい錯視が発表されてきました。研究の成果が発表されることにより、私たちは錯視の不思議さと楽しさを知ることができました。これからもさらなる成果が発表されていくことでしょう。
格子の錯視は、身近にある紙や筆記用具を使うと簡単に試してみることができます。色々と試していくうちに新しい発見が生まれるかもしれませんね。超不思議!回転して重ねると画面の一部が浮き上がって動く! という錯視図形では、静止画像のはずなのに画像が動き出してしまい驚かされました。