image:濱直史(@naofumihama)

現在、世の中には様々なマテリアルがあり、表現の自由も相まってアートは時代と共に変化、そして進化しています。そんな新たな世界観を感じる作品ですがTwitterにて、濱直史(@naofumihama)さんがご投稿した「立体切り絵」が注目を集めています。それは、折り鶴と切り絵が融合したポインセチアが、見事に美しく咲きこぼれている作品なのです。一目見たら圧巻の神業に魅了されることでしょう。今回は制作の裏側に迫ります!

折り紙「ポインセチア」が見惚れる美しさ

ポインセチアの細工を入れた折り鶴の作品のツイートを発見しました!とても華やかで手が込んだ圧巻の作品です。何がどうなってこの美しさが完成しているのでしょうか?この作品を目にしたら、制作者さんにお話を伺いたくなります!

ツイートのリプ欄には「不滅の火の鳥のよう」「飾ったら綺麗だろうなぁ……可愛い……」「むっちゃ細かい〜」といった声が寄せられ、作品のすごさに感動されているご様子。どのパーツを見ても、制作者の妥協を許さないこだわりが伝わって来ますね。

制作者さんインタビュー

image:濱直史(@naofumihama)

制作者の濱直史(@naofumihama)さん(以下、濱さん)にお話を伺いました。

濱さんは、地元・長野を中心に個展を開催されている他、テレビ番組に多数出演するなど各メディアでもご活躍されています。著書には『濱直史の立体切り絵』(河出書房新社刊)や『濱直史 和の立体切り絵 伝承折り紙をモチーフに四季を飾る』(誠文堂新光社刊)などもあります。

■プロフィールを教えてください。

濱 直史と申します。2011年に切り絵と出会い、2012年より独学で作家活動をはじめました。平面の切り絵だけでなく 「立体切り絵」という新しいスタイルを考案しています。

 

さらに、曲面を自作しそこに切り絵を施す「曲面立体切り絵」という手法で今までにない新しい作品を制作しております。

■制作を始めたきっかけは?

2012年より本格的に作品制作を始めたので、今年で制作歴は10年になります。切り絵を始めたきっかけは、それまでずっと音楽をやっていたのですが、なかなか自分の世界観を作り出せず、そろそろ音楽をやめようと思っていた時に、たまたまテレビで切り絵(平面)の特集を放送していました。

 

手先は器用で、色々とモノ作りは好きだったので、とりあえずやってみようと思い、自宅にあったカッターと紙を使い、初めはコピーでしたが作ってみました。その作品を知人などに見せたところ、思った以上に好評でして、その半年後には

地元で個展が決まり、作品数を増やすことになりました。

 

しかし、いくつ平面作品を作っても誰かと同じような作品になってしまうので、どうにか他人と違ったものができないかを試行錯誤した結果「伝承折り紙に切り絵をする」と言う新しい技法「立体切り絵」を思いつきました。

image:濱直史(@naofumihama)

■アートジャンルとしては、立体切り絵とお呼びしてよろしいでしょうか?

僕が始めた2012年時点では「立体切り絵」とは、折り畳むと立体的に飛び出すカードの様なものをそう呼んでいたようですが、従来の「平面に切り絵をして、額縁に入れて飾る」ものではなく、「立体物に切り絵が施されている」ので僕は立体切り絵と呼称することにしました。

 

まだまだ「折り紙」や「切り絵(平面)」などのジャンルに比べると知名度の低いジャンルなので、皆さんに知ってもらえるように普及活動も頑張っています。

■折り鶴とポインセチアを融合させた作品を作ろうと思われたきっかけは?

僕の代表作の一つが「折り鶴に切り絵を施す」と言う作品です。いつも季節やイベントなど、その時期にあったデザインを折り鶴に施すので、今回はクリスマスというイベントに何か最適なものはないかと考え、「折り鶴×ポインセチア」に辿り着きました。

 

デザインは常に「意味があって細かくて繊細」を大切にしていて、今回もこのポインセチアをどの様に折り鶴にデザインしたらみんなが驚いてくれるのか?を考えながら作りました。

■どのように作品を作られているのでしょうか?

まず、紙に手描きでデザインをします。初めからパソコンだと綺麗なデザインになり過ぎるので、手描きの良さを残しつつ、デザインをある程度まで完成させます。それをパソコンに取り込み印刷し、デザイン用紙と本体用紙の2枚重ねで、平面の切り絵作業をします。

 

平面の切り絵作業が全て終わったら、それを慎重に折っていきます。この折り方は、皆さんが知っている普通の折り鶴とは違う、新しい折り方で折っていきます。最後に羽などに動きつけて完成です。

image:濱直史(@naofumihama)

■制作で思い入れのある部分を教えてください。また、制作期間はどれくらいかかりましたか?

制作についてこだわっている点は、これは全ての作品を作る時に大切にしていることなのですが、「見たことのあるものが、切り絵をすることで見たことのないものになる」という驚きです。

 

折り鶴も、皆さん小さい頃から見慣れていると思いますが、切り絵をすることで、全く見たことのない物になる。花の作品もそうで、バラも百合も見たことがあるけど、そこに切り絵が施されているだけで、全く印象が違って見えます。見ていただける方々にその驚きをお届け出来るように考えて制作しています。

 

難しい点は、よりこまかくより細く……と追及していくと、どんどんデザインが繊細になっていくので、その繊細さを残しつつも、立体作品として成立しなければならないので、その辺りのバランスをイメージのみで考えながらデザインするのが毎回大変なところです。作業につきましてはただひたすらに、その繊細なイメージを表現出来るよう、ミスなく集中力を切らさないようにするのみです。

 

今回のポインセチアの作品の制作期間ですが、デザインも含めますと、正確な期間は分かりかねてしまいますが、大体40時間くらいでしょうか……?

■材料や道具はどのようなものなのでしょうか?

材料は主に紙で、最近は布や着物生地も切れるようになりました。その作品をどう表現したいかによって、紙の種類を選んだり、紙には出せない表現をしたい時には布などを選んでいます。

 

道具は基本的には、デザインナイフ、カッターマット、ピンセット、定規のみです。デザインナイフの刃は、多い時で1作品で20枚程変えていますね。

image:濱直史(@naofumihama)

■いいねやRTされるなど、反響がありますが、 どのような心境でしょうか?

上の項目でも書かせて頂きましたが、立体切り絵というジャンルはまだまだ知られていないので、「始めて見た!」というコメントなどをいただけると、とても嬉しいです。もっと皆さんを驚かせてみたいとテンションが上がりますね。

■今後作られたい作品があれば教えてください。

今後作ってみたい作品ですが、平面の切り絵を始めた時には、立体切り絵という作品を作るなんて思ってもいませんでした。なので、今の自分が想像もつかないような作品を思いつき、また皆さんと自分も驚くような作品を作れるのではないかと思い、これからが楽しみです。

濱さん、お忙しい中、立体切り絵の世界観を垣間見れる素敵なお話をしていただきありがとうございました。

最後に夢は?というご質問をさせていただいたところ「この自分のアイデアと発想力が、世界でどのくらい通用するのかを挑戦してみたいです。」と語られていた濱さん。濱さんの作品は人の心を惹きつける魅力があるので今後、海を渡り世界中の方々にも愛される作品になることでしょう。夢の実現を応援したいですね。

鶴といえば、141羽の連折り鶴もすご過ぎて衝撃を受けますよ!

取材協力:濱直史(@naofumihama)

情報提供元: 秒刊SUNDAY
記事名:「 レースのような「立体切り絵」が繊細で美しい!制作者に話を聞いた