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アートには、絵画、彫刻、造形など様々なジャンルがありますよね。時には一度目にしただけで、興味を持ったり心躍る作品に遭遇することもあります。そんな魅了される作品ですが、Twitterにて雨宮庸介 Yosuke Amemiyaさん(@YosukeAmemiya)がご投稿された、リンゴのアート作品が話題を集めています。この作品を見ると驚きとワクワクが交錯する楽しい気持ちになります。一体どのように作られているのでしょうか?今回はアーティストの雨宮さんにお話を伺いました。
集中してたら朝になってもうた。 pic.twitter.com/nHbmLxRjg6
— 雨宮庸介 Yosuke Amemiya (@YosukeAmemiya) March 2, 2022
美味しそうなリンゴが溶けているツイートを発見しました!このツイートを見たら、リンゴの実に一体何が起きたのだろうと……思考がフリーズしてしまいました。
ツイートのリプ欄には、まるで令和のダリが登場か?など注目を集め、本物さながらのリンゴがなぜ溶けているのか?と不思議がる声も続出しています。
・本物にしか見えなくてびっくりしました!
・?え、どゆ事?? ダリの固有結界内での現象ですか?
・集中してりんごをモミモミしたのかと本気で考えてしまいました……すごい!
・朝になったら、りんごが溶けてましたってことかと思ったすごい、本当に溶けてるみたい!
・本物かイミテーションかわかならいような感じが良いですね!
Twitterの投稿者であり、制作者の雨宮庸介 Yosuke Amemiyaさん(@YosukeAmemiya)(以下、雨宮さん)にお話を伺いました。
■雨宮さんのプロフィールを教えてください。
茨城県出身のアーティストです。ドローイング、彫刻、パフォーマンスなど多岐にわたるメディウムによって作品を制作。
リンゴや石や人間などのありふれたモチーフを扱いながら、超絶技巧や独自の話法などにより、いつのまにか違う位相の現実に身をふれれてしまう体験や、認識のアクセルとブレーキを同時に踏み込むような体験を提供する―そんな作品を通じて「現代」と
「美術」について再考をうながすような作品を制作しています。
より詳しい雨宮さんのプロフィールはこちらをご覧ください。
■とても美味しそうなフレッシュなリンゴですが、どのように作品を作られているのでしょうか?
木に油絵の具です 。日本とオランダの美大を出た作者が、絵画と似た手法で制作している彫刻作品です。彫刻刀一本で成形されたのちに、36回の下地を経て着色しています。目に見えない点も含めて、一つのりんごに10万以上の点が打たれています。
■リンゴの作品でこだわられているところ、難しかったところなど教えてください。
もちろん実際に溶けているリンゴは存在しません。ですのでりんごが溶けていることは、「このリンゴは本物じゃないんです」と大声で打ち明けているようなものです。
しかし同時にそんな溶けたリンゴに「りんごらしさ」を、本物以上に彫刻に実装させていくことにより「認識のアクセルとブレーキを同時に踏み込む」ような状態を作りだします。いわば、ドライビングテクニックの「ヒールアンドトゥー」みたいなものです。
結果的に、静止した彫刻にもかかわらず、みる人の心を揺さぶり、この世界の「確からしさ」についておもいをはせられる装置となることを願っています。
■リンゴ1個の制作期間を教えてください。
それだけをやっていれば1ヶ月ぐらい。ただ、りんごの彫刻は全体の20%ぐらいなので、他の作品を合間にしているのでもっとかかることが多いです。
■なぜリンゴを作ろうと思われたのですか?
もともとは数あるモチーフのひとつでした。ただ、雨宮の作品の理想として「素敵な作品でした」「素敵なアイディアですね」という評価よりも、僕の彫刻をみたあとに、それがたとえ数年後でも、各鑑賞者の日常であるスーパーとかでリンゴを見た時に「あれ?りんごってこんなだっけ?
あれ、そういえばレタスってこんな感じ?自分の手って、スーパーの天井って、空って、、、、」とドミノエフェクト的に世界の確からしさを考え始めてもらえるといいなと。その「2度目のベル」的な発動のしかた、もしくは怖い言い方だと「アナフィラキシーショック」的なものをおこしたいと思っていて、そのためには「世界中どこにでもある」モチーフがよかったのです。
■ご投稿に対していいねやリツイートされるなど、とても反響が大きいですが、今はどんな心境ですか?
アカウントがバンされたまま戻らないのですが、インスタグラムでそういうことがしょっちゅうおきていたので、いまは特にどうも思わないです。でも、彫刻を所有してくれているお客さんにとって喜ばしいことなら、それは僕にとって喜ばしいことです。
■今後どのような作品を作ってみたいなどありますか?
今後やりたいことはたくさんありますが、まずは多くの方に私の他の作品を知っていただきたいと思います。
例えば「1300年持ち歩かれた、なんでもない石」という1300年かかるプロジェクトを進行中です。 昨年、石巻で作った作品が、今年の夏に再演される予定です。分類としては「サイトスペシフィックなビデオインスタレーション」という「その場所で有効な表現に特化しビデオを使用した空間全体を使った作品」とでもいうような方法で作られた作品です。
そこではりんごの「り」も登場しないものですが、きっと見たら人生が変わるような作品だと思います。まずはご興味がありましたら、それを体験していただけますと幸いです。
雨宮さん、奥深いアートの世界を垣間見れる素敵なお話をありがとうございました。
いつかリンゴのアート作品の実物を見てみたいものですね。また「小さな石6個を6人がひとつずつ持ち、5年毎に引き継ぎながら1300年間ただ持ち運ぶ。日本の国東半島を起点に西暦2014年に開始し1300年後の西暦3314年に成立する、長い長い行為の連なりです。」という壮大なスケールであり、興味深い着眼点であるプロジェクト!の今後も注目していきたいですね。
アートといえば、古き良き時代のジオラマにも一瞬で心奪われました。
Source:雨宮庸介 Yosuke Amemiya(@YosukeAmemiya)