なぜなら、自転車が盗まれたのは週末だったから、少なくとも次の週末まではサインを掲げておきたかったのだ。
土曜日の朝、二回目のドアがノックされた。
玄関先には小さな中年のヒスパニック系の女性がピンクのGAPのスウェットとレギンスを着て立っていた。彼女は近所に住んでいるわけではないが、このあたりに仕事で来ていて、車を運転している旦那に頼んで2回も往復して、このサインをきちんと読んだという。メッセージに「仕事に必要」と書いてあったのを見て、何かできないかと立ち寄ってくれたのだ。
「どんな自転車が必要なの?」と彼女は聞いた。
「あまり自転車に詳しくはないんだけれど、もし、見つけたら、もってきてあげるよ」
実は私はシェア自転車にすでに登録していた。彼女には14ドル99セント払って自転車を利用することができているから、今は大丈夫だと伝えた。でも、とにかく、彼女が立ち寄ってくれたことがすごく嬉しい、と感謝の気持ちを伝えた。
「サインにあったプジョーの自転車を調べたら、すごく高い自転車だったわ!」と彼女が言って、二人で笑い合い、彼女は私にハグしてくれた。なんだかとにかく、すごく元気が出た。
このサインが何かを変えてくれたような気がした。
そしてまたドアがノックされた。
今回は白髪混じり頭の白人だった。
「このサインは君の?」彼は聞いた。
「自分のスタジオに行く途中に通りかかって、写真を撮ったんだけど、考えれば考えるほど何かをしなくちゃいけないような気になって…」
「ご親切にどうもありがとうございます」私はそういって、子供用の自転車をもらった事、ハグをもらったこと、そして何が一番素晴らしいかというと、みんなが親切に気にかけてくれていることだと説明した。
「実はインスタに載せて、いろいろと仲間うちで話したんだけど…、もしよかったら、その、君のサインを」そういって、彼は黄色で書かれた私の看板を指差した。「買わせてもらえないかな…、たとえば200ドルで」
私は大笑いして言った。「もしそうしたら、私はあなたのお金で新しい自転車買うわよ」
そんな私に彼は言った。「私はアートディーラーなんです。このサインには何か芸術的なものを感じるんだ」
結局私はボードを外して彼にこのサインは好きなようにしていいと言った。
彼は「インスタで結構話題になってるんだよ」と言った。
さて、この自転車を盗まれてから、いろいろあった。私はただ、自転車を取り戻したくて、最終的に200ドル手にしたけれど、なんだかそれだけでは物足りなくて、自分もこの親切の波に乗りたいと思うようになった。これは、ただ、自分が親切を受けるだけではだめなんだ。
私は1987年から操業していて、ジョアンナという女性のメカニックがいる小さな町の自転車へ行って、自転車が盗まれてからの出来事を話した。そして、マイケルからもらった子供用自転車を直して、もしよかったら新しい乗り手を探してほしいと頼んだ。
特別な自転車ではないけれど、きっと私より、この自転車を必要としている人がいると思ったから。それ以来、私はツイッターで#KarmaCycleを広めている。
私が受けた親切の連鎖を他の人にも繋げて、それが世界中に広がればいいと思っている。
―海外の反応