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内燃機関超基礎講座 | 世界初のキャパシタ使用ディーゼルハイブリッド


ハイブリッド車の蓄電装置に、バッテリーではなく、世界で初めてキャパシタを用いたのはトラックだった。


TEXT:松田勇治(MATSUDA Yuji)

ほぼすべてのハイブリッド車が回生で得たエネルギーをバッテリーに保存する中、蓄電用デバイスとして「キャパシタ」を世界で初めて採用したのが日産ディーゼル(現UDディーゼル)のコンドルキャパシターハイブリッドだ。ちなみに「キャパシタ」とは、日本国内では一般的に「コンデンサー」と呼ばれる、通電状態下でだけ蓄電可能なデバイス。バッテリーのような「電力保存装置」ではなく、回路上のEMC対策や平滑化、電力供給の安定化といった目的で使われることが多い。




特性としては、バッテリーに比べて電力の「入り」特性が段違いに良好。そのため、回生によって得た電力を効率良く蓄え、すぐに使って、またすぐに蓄える......といった用途に向いたデバイスといえる。

中央部にバンドで止められている2段重ねの物体が、自社開発した「スーパーパワーキャパシター」。電気二重層構造で、ラミネートセルを使っている点などが特徴だ。サイズは縦100×横50cm程度。直後にある白い箱はインバーターユニットだ。

システム構成としては「1モーターパラレル」式。それぞれにクラッチを持つ構造で、発進時はモーターの力だけで駆動している。それだけキャパシタの“瞬発力”が優れている証といえるだろう。

システム図。イラストはエンジンとモーターがトルクミックスする加速状態。

発進時には、キャパシタ内に蓄えられている電力を使ってモーターを回転させ、基本的な駆動力を得る。動力源としてのトルク特性的にも、理にかなった構成だ。ちなみに現行モデルのモーターは出力55kWのものを搭載、キャパシタ容量は60kW程度だ。




加速時はモーターとエンジンが協調しながら出力を調整。必要とされている加速度に応じて、互いに効率の良い領域を使い分ける方式だ。制御系の仕上げの妙が試されるシーンだ。キャパシタ自体の特徴として、それ自体にインテリジェンス制御が不要な点は利点か。




減速時には、モーターからの回生力をフルに活用してキャパシタへ目一杯の電力を送り込む。電池に比べて「入りやすい」特長を持つキャパシタだけに、加減速が連続するような走行モードでは省エネルギー効率の向上が期待できるシーンともいえる。

日産ディーゼルコンドルキャパシターハイブリッド。燃費1.5倍/排出ガス半減をアナウンスしていた。

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