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【海外技術情報】GM:リチウム金属電池のイノベーターと共同開発契約を締結。EVの航続距離を伸ばしコスト低減を狙う


日本においては、ホンダがGM製アルティウムバッテリーを採用する次世代EV共同開発に合意したことから注目されているGM。そんな同社が2021年3月、フルEVの航続距離を伸ばすことと、バッテリーコスト改善を目標として、Solid Energy Systems社と新たな共同開発契約を締結したと発表した。GMは次世代バッテリーとして、リチウム金属バッテリーにも注力して行くようだ。


TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)

 GMのマーク・ロイス社長は、GMの次世代アルティウムバッテリーの化学的性質について説明したうえで、リチウム金属バッテリーのイノベーターであるSolid Energy Systems社(以下、SES)との共同開発契約を発表した。




 SESは、自動車および輸送用途向けの高性能リチウム金属バッテリーの開発と製造を行うリチウム金属電池メーカーだ。マサチューセッツ工科大学(MIT)のドナルド・サドウェイ教授研究室から独立して2012年に創業された。本社はシンガポールであり、ボストン、上海、ソウルで事業を展開している。株主にはGMのほか、SK、テマセク、天斉リチウム、アプライドマテリアルズ、バーテックス、上海モーターが含まれる。

 保護された電極を備えたGMのリチウム金属電池は、手頃な価格、高性能、エネルギー密度の組み合わせが特徴。初期のプロトタイプバッテリーは、ミシガン州ウォレンにあるGMのグローバルテクニカルセンターの研究開発ラボにおいて既に15万回のシミュレーションテストマイルを完了しており、実装の可能性を示している。




 GMはリチウム金属バッテリーの商品化を加速するため、幾つかの革新的な企業と協力して、企業の迅速な拡大を可能にする投資を行っている。6年前、GM系投資会社のGM VenturesはSESに初期投資を実施した。パフォーマンスと安全性を最適化するためのリチウム金属テクノロジーとAI駆動のバッテリー管理ソフトウェアの研究、開発、製造の端緒である。2015年にも追加投資を実施。SESとGMの研究開発組織との間において、緊密な協力関係を築き始めた。




 今回の共同開発契約は、その進行中のコラボレーションの次の進展を意味する。合意の一環として、GMとSESは、マサチューセッツ州ウォーバーンに、2023年までに大容量の試作バッテリー用の製造プロトタイピングラインを建設することを計画している。




 ロイス氏は以下のように述べている。


「価格と航続距離は、EVの大量採用に対する2つの主要な障壁となっています。この次世代アルティウムケミストリーにより、当社はエネルギー密度とコスト競争の最前線に立つと信じています。どちらにも改善の余地がありますが、この分野で他のどの企業よりも早くイノベーションを起こすでしょう」




 エネルギー密度の増加により、同サイズのパックでより長い航続距離を、あるいはより小さなパックで同等の航続距離を確保できる可能性がある。小さなバッテリーパックによる重量とスペースの節約は、車両の軽量化に役立つほか、追加のテクノロジーのためのより多くのスペースを生み出す。

 GMとSESの協業の基盤となるものの一部は、GMの広範なリチウム金属バッテリーに関する経験である。この分野における同社の専門知識には49件の特許が付与されており、さらに45件の特許が出願中となっている。またSESは独自のリチウム金属の知的財産をコラボレーションにもたらす。




 GMは2020年に第1世代のアルティウムプラットフォームが発表したわずか1年後に、将来のアルティウムベースの車両で使用できるこの技術の進歩を発表した。最初のアルティウムベースの製品は、2021年後半に発売予定である。

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