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エヌ・ワゴンが提唱するメカミニマム・性能マキシマムとは?


本サイト読者の方であれば、ホンダのクルマづくりの哲学である“マンマキシマム メカミニマム”いわゆる「MM思想」はご存知であろう。クルマは乗る人が中心であり、メカニズムは最小限であるべき。N-WGNの始祖N360以来一貫して堅守されるコンセプトは、最新型のN-WGNも同様で軽規格の限られた寸法の中に、益々高まる質感や性能向上の要求に応え、より安全で、より使いやすい性能を与えるためのメカニズムが満載されている。




REPORT●安藤 眞(ANDO Makoto)


図版解説●安藤 眞(ANDO Makoto)/編集部




※本記事は2019年9月発売の「新型N-WGNのすべて」に掲載されたものを転載したものです。

限られたスペースを最大限に使う!

全長:3395㎜ ホイールベース:2520㎜

全幅:1475㎜
全高:1675mm


軽自動車の規格で制限された全長と全幅の範囲内で、荷物の積載などの使い勝手や、居住性、乗降性を高めるためにドア開口部の面性や形状などにも最大限の工夫が凝ら


されている。

様々な場面で便利に使えるパッケージ

ホンダ独自のセンタータンクレイアウトのメリットを活かし、室内の居住性やリヤゲート開口部の拡大と荷室の低床化、2段トランクなどファーストカーとしての使用にも耐えるパッケージが構築されている。

体格を問わずベストなポジション

ホンダ軽初のチルト&テレスコ調整(前後30㎜)やシート高調整(上下50㎜)などにより、体格の大小を問わず適正な運転姿勢が取りやすい。また、フラットなフロア形状は足が降ろしやすく、スムーズな乗降性に貢献する。

エアコンユニットで空間確保

HVACユニットはダッシュボード中央下部に配置されているため、どうしても足元に張り出してしまう。新Nシリーズからは、これをコンパクト化し、助手席足元スペースを拡大している。

全車タコメーター付き

メーターのレイアウトに見覚えがあると思ったら、中身はN-VANと同じとのこと。機械式のタコメーターが全車に付くのが、いかにもホンダらしいところ。

低床&2段ボードでラクラク

センタータンクの恩恵で荷室も従来よりも180㎜低床となった。容量が増えただけでなく、重い荷物を高く持ち上げずに済む。また、2段ボードで仕切られ、使い勝手も高められている。

安心感の高い良好な前後の視界

フロントピラーが6㎜細幅化されたことで前方の視界がより広がったほか、リヤウインドウもスクエアな開口とワイパーモーターをガラス下に設置することで視界を妨げない。グラスエリア全周の下端も水平で斜め後ろも見やすい。

電動式パーキングブレーキ

パーキングブレーキは全車電動式。機械構造がなくなったため、レイアウトは楽になったと思いきや、スイッチは「特等席」に置きたいため、場所の確保には苦労したそうだ。

軽自動車とは思えない後席の居住性

高齢者の乗降に配慮し、従来型よりも後席ドアの開口部が拡大され乗降性が高められたほか、大きくクッションの厚いシートが採用され、快適性も高められた。シート高も適切で乗降に余計な力を要さないところも美点だ。

疲れにくいリンク式ブレーキペダル

従来のブレーキペダルはピボット位置が高く、かつ手前にあったため、踏み込み軌跡が前を向いており、拇指球の軌跡との間に齟齬が生じていた。そこでリンク機構を間に挟み、ピボット位置を低く奥に移動して改善を図った。

N-BOXの骨格を最適化

プラットフォームの基本骨格はN-BOXと同様、床下にトラス構造を持つエネルギー分散方式。ドア形状の違いに対応するため、サイドシルをN-WGN専用に設計し、付随してクロスメンバーも変更している。

ハイテン材の採用で軽量に

高張力鋼板は、強度別に5種類を最適配置。衝突強度の必要な部分には高グレード鋼板を使用。剛性が必要なところは強度グレードを下げて厚みを確保している。1180MPa材は、冷間絞り成形に対応する高延性鋼板だ。

衝撃を上手に逃がすボディ

衝突エネルギーを複数の経路で支えるマルチロードパス構造を採用。側面衝突試験でバリアが当たる位置と燃料タンクが近いため、前後にクロスメンバーを配置している。側突時の乗員保護には、シート骨格も利用して対応。

大きなクルマとの衝突でもより安全に

フェンダーの峰からAピラーへとつながる骨格(ロワメンバー)を配置するのは、近年のホンダ車に共通する構造。衝突時に相手車両を広い面で受け止めると同時に、衝突エネルギーをアッパーボディにも効率良く分散する。

各部に最適な3種の接合法を採用

床まわりには、剛性とNV性能を向上させる高粘度接着剤を広範囲に採用。ドア開口部コーナーにシーム溶接を使うのは、Nシリーズ共通だ。ルーフパネルはレーザーブレーズとなるため、溶接痕が見えずスッキリ仕上がる。

歩行者を保護するエンジンフード

エンジンフード(ボンネット)とエンジンの間に従来よりも大きな空間を設けたほか、フード下のパーツは衝撃を受けると折れ曲がる構造を採用。事故の際に歩行者の頭部に加わる衝撃を和らげる構造とされている。

稜線レスデザインを実現するドアパネルの補強

ドアパネルはプレスラインを入れないプレーンなデザインのため、そのままでは面剛性が確保できない。対策として、内側に大きな骨を入れ、ドアビームからも脚を伸ばすことで、内側からパネルを支持している。

特徴的なポジション灯の秘密

カスタムのヘッドライトに仕込まれたコの字型のメッキモールは、スイッチオンで特徴的なポジション灯となる。これは金属蒸着されたモールに微細な穴が開けられ、そこから光を透過することで発光させている。

思いの外苦労の多い縁の下の力持ち的パーツ

電装品を駆動するハーネスは専用設計。基本的に銅線なので(一部アルミも使用)、短い方が軽く・安くできるが、他部品とのレイアウトの都合上、迂回させられることも少なくない。便利な装備が増えるたびに本数が多くなり、工場での取り付け作業性も考慮しなければならないなど、地味ながら苦労の多い部品だ。

4センサー化で機能を追加

ホンダセンシングのカメラやレーダー類は基本的にN-BOXのものが流用されている。リヤバンパーのセンサーも同様だが、N-WGNのバンパーに合わせたリテーナーによって設置される。またセンサー数が4つに増設され、後方のコーナーセンサー機能が追加されている。

高まるニーズに合わせ、強化された静粛性

もはやファーストカーとして使用されることが多いこのカテゴリーのクルマは、従来以上に求められる性能が高くなった。車内の静粛性もそのひとつ。上下左右と、キャビン全体に渡り静粛性向上策が施されている。

ヘッドライトはデフォルトAUTO

ヘッドライトのスイッチは「AUTO」の位置が基本になっている。もちろん手動にて「オフ」「ポジション」「点灯」の状態にできるが、手を離すとレバー先端のスイッチは「AUTO」の位置に戻る。

■NA


エンジン型式:S07B


排気量(㏄):658


種類・気筒数:直列3気筒


弁機構:DOHC12バルブ


ボア×ストローク(㎜):60.0×77.6


圧縮比:12.0


最高出力(kW[㎰]/rpm:43[58]/7300


最大トルク(Nm[㎏m]/rpm) :5[6.6]/4800


使用燃料:レギュラー


燃料タンク容量(ℓ):27(FF) 25(4WD)


WLTCモード燃費(㎞/ℓ):21.2~23.2




■ターボ


エンジン型式:S07B


排気量(㏄):658


種類・気筒数:直列3気筒


弁機構:DOHC12バルブ


ボア×ストローク(㎜):60.0×77.6


圧縮比:9.8


最高出力(kW[㎰]/rpm:47[64]/6000


最大トルク(Nm[㎏m]/rpm) :104[10.6]/2800


使用燃料:レギュラー


燃料タンク容量(ℓ):27(FF) 25(4WD)


WLTCモード燃費(㎞/ℓ):20.0~22.0

ロングストロークでタンブル流強化

S07B型は、S07A型よりロングストローク化を実施。吸気流速が高まることでタンブル流が強まるほか、スモールボア化によって燃焼室が球形に近くなり、高速燃焼によって熱効率が高まっている。

ノッキングにも有利な燃焼室

ボア径が小さくなるとバルブ面積の確保が難しくなるが、プラグ径をM10とすることで△0.5㎜に止めた。燃焼室は球形に近くなり、S/V 比(面積/容積比)が小さくなって、冷却損失も少なくなっている。

排ガス当たりの改善で浄化効率向上

WLTCモード対応のため、排ガス性能も改善。自然吸気仕様は触媒への排ガス当たりが偏っていたため、コンバーターケース入り口の容積を拡大して旋回流れを生成。ガス当たりの均一化によって効率向上を図った。

2系統で効率良く潤滑する

CVTのオイルポンプには、2系統吐出方式を採用。油量は少なくても油圧の必要なプーリー制御系と、油圧は小さくても油量は必要な潤滑系を使い分けることで、低中負荷走行時の効率改善を行なっている。

触媒の活性が早く浄化性も高まった

WLTCモードは始動から発進までの時間が短いほか、ピーク速度が高くエンジン負荷が増える。そこで、触媒金属を低温活性の高いものに変更し、触媒へのガス当たりを改善することで、双方への対応を行なった。

VTEC機構で自然吸気でも高出力



バルブ径の縮小で不利になった高回転側の出力は、Lo-Hi切り替えVTEC機構を採用することで克服。高回転時にはハイリフトカムに切り替えることで、軽自動車用自然吸気エンジンNo.1の43kW(58㎰)が維持されている。

ブラッシュアップされたCVT





CVTはN-BOXに採用された改良型を使用。ピストンサイズの拡大や経年劣化によるベルト滑りの抑制によって制御油圧を低下させ、油圧ポンプの駆動損失を低減することで、伝達効率を2〜3%向上させている。

ドライブシャフトにも新技術を投入

自然吸気エンジンの2WD仕様には、ドライブシャフトに軽量化と低振動化を図った等速ジョイントを採用。転舵時などジョイント角が大きくなると増加する誘起スラスト力を抑え、旋回時の横方向振動を抑えた。

鏡面バルブはレース技術の応用

吸排気バルブは燃焼室側を鏡面研磨することで、表面積を縮小。熱に曝される面積が小さくなり、バルブに熱が溜まりにくくなることから、耐ノック性が高まるのだという。効果はナトリウム封入の約2倍に達する。

安心して気持ち良く走れるステップダウン制御

CVTの制御には、「ブレーキ操作ステップダウン制御」を新たに導入。ブレーキ操作に呼応してCVTをローレシオに振り、エンジンブレーキを強めて減速を助ける。旋回時にはローレシオが維持され、加速応答を高める。

おだやかな走りで、運転の楽しさを追求



N-BOXのフロント:ストラット、リヤ:トーションビームのサス形式を踏襲するが、各部のブラッシュアップと最適化を実施。しなやかに路面を捉え続ける優しい乗り心地と、誰もがクルマの動きを感じやすいおだやかな走りが追求されている。

フロントサスを低抵抗化

フロントサスには、入力方向とコイルスプリングの荷重軸線を近づけたレイアウトを採用。ストラットに生じる曲げモーメントを少なくすることでフリクションを低減し、乗り心地の向上を行なっている。

正確で素早いステアリング操作が可能

N-BOXと同じステアリングシステムを採用。各部の剛性向上によるダイレクト感のある操作フィールを提供する。また、角速度フィードバックのセンシングを操舵角センサーからダイレクトに読み取れるようになり、安定した制御が可能となった。

低フリクションな高性能ダンパー

前後ダンパーには低フリクション構造を採用。オイルシールやブッシュの油膜形成性を高める形状を採用し、微振幅域の乗り心地向上を図った。ピストンバルブも改良されており、大振幅域での減衰力応答も高くなっている。

リヤのトーションビームを高性能化

2WD車のリヤサスは、コンプライアンスブッシュを大径化して、前後方向入力の吸収力を向上。段差通過時の快適性向上を図った。15インチホイール車用はスタビライザーが内蔵されており、ロールの抑制を行なっている。

上質な室内をつくる液封エンジンマウント

エンジンマウントもN-BOX同様、サイドマウントに液封タイプを使用する。マウントのラバー部全体を液封化するのではなく、空隙に液封デバイスを挟み込む方式でコストダウンを図ったもの。低周波数域で柔らかく作用させることで、3気筒エンジンで発生しがちなこもり音を抑える。

安心感と気持ち良い走りを提供す

操安性制御はブレーキでも行なっており、内輪ブレーキでアンダーステアを抑制する「アジャイルハンドリングアシスト」を全車に標準装備する。一般にスポーツ走行に寄与する装置だと思われがちだが、雪道での安心感を高めるため、あえて標準装備にしたとのことだ。

スムーズな再始動と発進を実現する新制御

電動パーキングブレーキによるオートホールドが採用されたため、アイドルストップから再発進の意思把握にフットブレーキ操作が使えなくなった。そこでクランク位置の把握精度を高め、再始動時間を短縮することで、スムーズな発進性能の確保を行なっている。

2種の拘束でより安全に

前席には、衝突の際に肩ベルトを引き込んで身体の動きを抑制する一般的なプリテンショナーだけでなく、腰ベルトも引き込むことで身体が大きく移動することを防ぐアウターラッププリテンショナーを採用。高い拘束性を発揮する。

前席用2重構造エアバッグ

サイドエアバッグには、N-BOXと同じ2層構造のものが採用されている。車幅が限られる軽自動車の場合、側面衝突時にはなるべく速くサイドエアバッグを展開したいが、大きな容量のものを全開するには時間が掛かる。そこで小容量の高圧エアバッグを瞬時に開き、そこから大容量の低圧エアバッグにガスを送り込むことで、展開時間の短縮と保護性能向上の両立を図った。

衝突軽減ブレーキが夜間歩行者対応に



ホンダセンシングの衝突軽減ブレーキが機能向上を果たし、夜間の歩行者検知が対応となった。夜間性能を高めるため、カメラの認識性能向上とパターンマッチングの精度を高めた制御ソフトウェアが採用されている。

自転車の飛び出しにも自動ブレーキを作動



夜間歩行者検知に加えて、自車前を横切る横断自転車についても衝突軽減ブレーキが対応した。写真の専用ダミーによるテストが繰り返され、ミリ波レーダーにより、自転車特有の形状や脚の動きを検出する。

渋滞追従機能付きクルーズコントロール

渋滞中にも前走車との車間距離を保ちながら、自動で加減速を行なうACCを採用。前のクルマが停止後、3秒以内に発進した場合は自動で追従を再開してくれる。渋滞のノロノロ走行のストレスと疲労を軽減に効果絶大。

緊急時対応も万全な電動パーキングブレーキ

電動パーキングブレーキの採用は、ホンダの軽としてはN-BOXスラッシュ以来となる。ドラムブレーキの油圧シリンダーの反対側にギヤとモーターが付いており、これを使ってシューを広げる。油圧ブレーキと協調した緊急停止機能も持っており、走行中にブレーキスイッチを2秒以上引き続けると、最大0.6Gの制動力でクルマを緊急停止させることができる。その際にはESC(ホンダ名VSA)も介入するため、タイヤがロックして姿勢が乱れることも起こらない(ホンダの電動パーキングブレーキ共通仕様)。助手席に乗っている際、ドライバーが踏み間違い暴走をし始めた時に有効な機能だが、緊急時に2秒は長いので、「3回連続操作」でも作動してくれたらと思う。

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