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中国のBAOSTEEL(宝鋼集団)が独ムベアの独擅場だったテーラー・ロールド・ブランク(差厚鋼板)に新参入


上海モーターショーの会場で注目すべき新技術を取材した。中国の、いや世界の大手鉄鋼メーカーであるBAOSTEEL=宝鋼集団が、これまでドイツのムベア社が独占していたテーラー・ロールド・ブランクを独自特許で実現したのだ。

 テーラー・ロールド・ブランク(TRB)は、スチールのロールを成形するときに、圧延ロールの加圧力を精密にコントロールすることで部位ごとに板厚の異なるシートを連続的に冷間圧延する技術で、そのシートから打ち出したパネルを熱間プレス成形することで部位ごとに強度の違うパネルを作り出す。VWゴルフやフォード・フォーカなどのBピラーなどに採用されている。従来の板厚の違うシートを貼り合わせて板厚を変えるテーラー・ブランク(TB)より、きめ細やかな板厚調整ができ、軽量化にも繋がる技術だ。

これがVRB。1.2mmと0.8mm、そして間のつなぎ部分(黄色い部分)からなるルーフのクロスメンバーが展示してあったが、厚/薄の差は50%まで可能で、この範囲なら複数の板厚を実現できるという。現在、売り込み中とのこと。

上海モーターショーでのBAOSTEEL社のブース

 これまで、TRBはドイツのムベア社(Mubea)が独占的に供給してきた同社の特許技術だった。ここに、中国のBAOSTEEL(宝鋼集団)が参入したのだ。宝鋼集団は、中国最大の製鉄会社。もともと新日鐵(現・日本製鉄)など日本の技術支援を受けて作られたが、現在では世界有数の製鉄メーカーだ。このBAOSTEELのブースには、VRB(Variable- thickness Blank。なぜVTBではなく、VRBなのかは不明)という差厚鋼板が展示してあった。


 テーラー・ロールド・ブランクを使ったルーフのクロスメンバーとセンタートンネルの部材が展示してあった。


 説明員に「これはムベアの特許なのでは?」と聞くと、「これはムベアとは別に我が社が独自に開発した独自特許で造ったものです。ムベアは製鉄はしませんが、我が社は上流工程である製鉄から加工まで行ないますからコスト的にも優位性はあると思います。いま、自動車メーカーに提案しているところです」


 と説明してくれた。




 BAOSTEELのVRBの場合、厚/薄の差は50%まで可能で、この範囲なら複数の板厚を実現できるという。

トンネルのレインフォースとして使われてる0.8-1.0-1.3-1.0mmのVRB

 ブースには、BAOSTEELの技術を集めたホワイトボディ(BIW=ボディ・イン・ホワイト)が置かれていた。BAOSTEELがムベアに対して競争力のあるテーラー・ロールド・ブランク材を供給するようになれば、自動車ボディ(とくに軽量化が航続距離に直結するEV)の作り方に変化が出てくるかもしれない。

センタートンネルのブルーの部分が、上のVRBの部材

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