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W型8気筒という奇策:狭角VをさらにV型に(フォルクスワーゲンのW型エンジン)


新しい高級車像を提唱するには、新しいエンジンがふさわしい。そしてフォルクスワーゲンには新しい狭角V6があった。これを2気筒切り落として2基向かい合わせにしたのが縦置きエンジンのW8。V4+V4=W8という訳である。


TEXT:世良耕太(Kota SERA)

 B4型パサートの最上級モデルが積むエンジンは2.8ℓ・V6だったが、B5型パサートの登場に伴いパワートレインは縦置きに。その最上級グレードとして2001年に追加されたのが排気量4ℓのW8だ。当時のフォルクスワーゲンは、メルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズに伍するアッパーミドルクラスへの進出を狙っていた。グループのアウディにはV8がある。他ブランドとの差別化を図るため、フォルクスワーゲンの独自性を打ち出すために、エキセントリックな“W”を選んだのである。



アンバランス成分を打ち消すため、2本のバランサーシャフトを採用。クランクシャフトの中心線を挟んで上下対称の位置に置かれた2本のシャフトが、クランクシャフトの2倍のスピードで回転。クランクシャフトの動力で上のシャフトを駆動し、上のシャフトが下のシャフトを回す(ため、逆回転になる)。

いかにも短い5ベアリングのクランクシャフトに対向するバンクのコンロッド(8本)が装着される。クランクピンオフセットは高性能エンジンでおなじみの180度で、いわゆるシングルプレーン(あるいは平面クランク)。2次成分の振動に課題があるものの、出力向上には有利に働く。右側は一般的なV8エンジンのクランクシャフト。

 直列エンジンを3基並べたWではなく、狭角V型エンジンを組み合わせてWを構成。基本はVW初の狭角V型エンジンVR6で、この6気筒をふたつ組み合わせるとW12になる。W12はメルセデス・ベンツSクラス、BMW7シリーズと競合すべく産み落とされたフェートンが搭載。そのフェートンのW12の下がパサートV6では落差が大きすぎる。この穴を埋めるべく企画されたのがW8だった。


 VR6に端を発するモジュラーエンジンの一員で、前後長は短く420mm。バンク角を72度と狭めにしたため幅は710mm。高さは683mmで、3ℓ・V6並みのサイズに収まった。

起源はVR6だから片方のカムシャフトが片バンク左右双方の吸気バルブを受け持ち、もう片方が排気バルブを受け持つレイアウトは同じ。バルブはローラーロッカーフィンガーによって駆動。吸気ポートをVバンク側に、排気ポートを外側に効率よく集中させることができるのは、狭角V×2だから。直列×3では排気の取り回しで悩んだに違いない。

カムシャフトはエンジン後ろ側に配置されたチェーンで駆動。クランクシャフト〜インターミディエイトシャフトへはダブルチェーンで力が伝わる。左右の各シリンダーヘッドへはシングルチェーンで伝達。エンジン重量は190kg。

エンジンタイプ 72度バンクW型8気筒(15度VR型4気筒×2)


エンジン配置 フロント縦置き


総排気量 3998cc


バルブ数/気筒 4バルブDOHC


ボア×ストローク 84.0×90.17mm


シリンダーブロック素材 アルミ合金


シリンダーヘッド素材 アルミ合金


点火順序 1-5-2-6-4-8-3-7


圧縮比 10.8


最高出力 202kW/6000rpm


最大トルク 370Nm/2750rpm
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