『一生太らない魔法の食欲鎮静術 食事瞑想のススメ (Business Life)』
(クロスメディア・パブリッシング)
「一生太らない魔法の食欲鎮静術 食事瞑想のススメ」(著:松尾伊津香)より
ダイエットを始めるとき、あなたはどこかで思っているのではないでしょうか?
ダイエットは我慢との闘い。
大好きなおやつ、
美味しいご飯、
気分を上げるアルコール、
それらを我慢しなければやせられない。
そうわかってはいるけれど、どうしても続けられない。
結局リバウンドしてしまう、と。
しかし、こんな風に考えてしまうのはまったくの逆効果です!
食事制限は、必ずリバウンドします。食べたい気持ちを我慢するその行為こそが、食欲を暴走させる原因だからです。
そもそも「食事制限」という言葉は、もともとアスリートのためのもの。
ある一試合の「その瞬間」に最大のパフォーマンスを発揮するべく、一定期間だけ食事を変え、体をつくりこんでいくためのものであって、生活の中心が体を鍛えること、運動することであるプロだからこそ行える手法です。
つまり食事制限は、達成したい目標のために我慢や努力を伴って行うものなのです。
その劇的な体の変化がダイエットにも有効という発想から、ここまで広く一般に知られるようになったのですが、ここには、実は大きな落とし穴があります。
というのも、この食事制限、プロの方でも続けるわけではありません。
ある一点の試合・大会のために、最大のパフォーマンスを発揮する。
それだけに集中するからこそ、彼らはストイックな食事にも耐えられるのです。当然、その後、食事を戻せば体も戻ります。
でも、私たち一般人にとっては、一点集中の結果はゴールではありません。
「一時的にやせる」ことではなく「やせたままでいること」に目的があるはずです。
ここが、プロと一般の方との食事制限の差です。
ストレス度合いの高い食事制限という方法では、必ずリバウンドします。
食事制限とはそういうものなのです。
人によっては夜中に起きて食べ始めたり、食事制限前より食べる量が増えたり、甘 いものが逆に好きになってしまったり、ということが起こります。
ひどい症状になるとありえない量を食べ始めます。
頭ではわかっているけれども自分ではコントロールできない、という状態に入ってしまっているのです。ここまで来ると、その人にとって食事制限は完全に悪でしかなくなります。
私は一時期、仕事であるにも関わらず「食べないで」を言うことができませんでした。
その言葉で苦しむ人を見てしまったからです。
うつ病の人にとっての「頑張って」が心の負担になるのと同じで、「食べないで」 という言葉が余計にその人の心に圧をかけ、食欲を暴走させてしまうことがあるのです。
今でこそ、問題ない方とそうでない方を見分けられますが、それでも誰がいつ食事制限の罠にはまるかはわかりません。
下手をすれば、過食症や拒食症など心の病の引き金にもなります。
それくらい、食事制限とは危険な代物なのです。
「野菜から食べましょう」
「そうすれば太りません」
というような話を聞いたことはありませんか?
最初からごはんやメインのお肉にかぶりつくと血糖値が急激に上昇、インスリンが分泌され、糖分が脂肪に変わる。
野菜は血糖値を上げないので、これを最初に食べれば太らない、というのが推奨されている理由です。
「食べる順番ダイエット」や「血糖値コントロール」、「インスリン対策」なんて呼ばれますね。
でも、ここで1つ問題が出てきます。
血糖値を上げないということは「体が満足しない」ということです。
血液の中に糖分が行き渡ることでエネルギーを補給したという信号が送られるのですが、野菜から食べることでその信号速度が遅くなるために、必要以上に食べ過ぎてしまう恐れがあります。
たくさん詰め込んで、物理的にお腹いっぱいの状態をつくり出さないと食事をやめることができません。
いわゆる「どか食い」の状態です。
野菜を食べれば食べるほど糖分の吸収が遅くなるため、満足を感じられる時間もどんどん遅くなり、食べているはずなのに〝もっと〟がやめられなくなるのです。
「いくら食べても太らない」はずの野菜をお腹いっぱい詰め込んだところで、糖分補給ができていないために、肝心の心が満足してくれません。
物理的には満腹でもどこか満たされない。
だから食べ終わってからも、
「何か食べたい」
「あんなに食べたのに食べ足りない」
という気持ちを残したまま過ごすことになります。
こんな状態が、ずっと続くわけがありません。
「ちょっとくらいならいいよね」
「ここまで頑張ってきたご褒美ってことで」
などとあれこれ理由をつけて、気がついたら甘いお菓子や菓子パンを手にしている……。
たくさんの美味しいものに囲まれた環境では〝もっともっと〟という気持ちがどんどん大きくなり、ちょっとの量で満足する力が失われてしまいます。
そんな状態でさらに満足を喪失させる食べ方でダイエットを試みても、いずれ我慢の限界がきます。
血糖値を上げないダイエットは、だから続かないし、必ずリバウンドするのです。
太りたくない。
でも食べたい。
太らないように野菜を食べる。
たくさん食べる。
たくさん食べたはずなのに、なぜか満足できない。
だからまた、野菜を食べる……。
こんな野菜でかさ増しするような食事を一定期間、続けたとしましょう。
その結果、待っているのは「やっと普通の食事が食べられる」という無意識の解放感と、大 きくなった「胃」です。
胃には「大きさが変わる」という特異な性質があります。
食べるものを減らせば小さくなるし、食べるものを増やせば大きくなる。
これは非常に厄介です。
だって、「太らないから」と大量の野菜で満腹になるという間違った食べ方を繰り返しているうちに、胃はどんどん大きくなっていきます。
しかも、一度大きくなった胃は以前の量では満足できずに、空いている空間に「もっとちょうだい!」と訴えてきます。そう、食欲の暴走が始まるのです。
考えただけで恐ろしいことです。
逆にいうと、胃が小さくなれば食べる限界量も低くなり、「いくら食べてもまだ食べ足りない」という状況からは脱することができます。
でも、それがなかなかできないから困っているという人がほとんどですよね。
あなたをリバウンドへと引き戻すものはなんなのか?
やせてもやせてもやせられないのはどうしてなのか?
それは、目の前の食事に満足できないことへのイライラ、セーブできない食欲への焦りです。
あなたがやせられないのは、意志が弱いからでもだらしないからでもありません。
ただ、食欲を鎮める方法を知らなかっただけなのです。
ダイエットで食事に悩む方は、きっと食事が好きなはず。食べることが一番のストレス解消を担っているというケースも少なくありません。
それをダイエットで制限してしまうと、余計にストレスをため込むことになり、いずれ食欲は爆発!
かえってリバウンドを引き起こす原因になります。
「これ以上食べてはいけない」という意識がストレスになり、逆に「もっと食べたい」という気持ちを増進してしまうのです。
ですから、食べてはいけないものに縛られたり、野菜のかさ増しでごまかすようなやり方ではリバウンドして当然です。
リバウンド地獄から抜け出すのに、こんな「我慢するダイエット」は必要なし!
それよりも「食べたい」気持ちをコントロールし、目の前の食事に満足できるようになることのほうがよっぽど大事なのです。
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