『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる』
(クロスメディア・パブリッシング)
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「朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる」(著:馬渕知子)より
疲労回復や脂肪燃焼・ダイエット効果があると話題になったコーヒー。実は飲み過ぎると逆に疲労・肥満の原因をつくり出すと、ご存知ですか?
適度なコーヒーは癒し作用や疲労回復効果に貢献をしてくれますが、過度な コーヒーは私たちの体にとって「ストレス」と認識され、これに対しストレス ホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が分泌されてしまいます。
元々、コルチゾールは私たちに降りかかる脅威から体を守るホルモンとしての役割を持っています。たとえば、ある脅威と戦い、必要があればすぐに逃げ 出せるように、全身に栄養を十分に補給させようと糖質や脂質の代謝を促し、また体内の血糖値を上げ、そして体に血がみなぎるように血圧を上げます。
さらに、コルチゾールにはインスリン抵抗性といって、スムーズに糖分を血 液中から細胞内へ移動させる役割をもつインスリンの働きを悪くすることが分かっています。 大昔であれば、脅威は敵であったり、病気であったり、エネルギーを必要とする対象だったでしょうから、細胞のエネルギー源である血糖値が上がるのは好都合です。しかし、今の脅威といえば「ストレス」。会社での人間関係や家 庭内のトラブルといった体力を必要としないことが大半ではないでしょうか。 つまり、血液中に放出された糖分は使われないばかりか、インスリンの働きが 悪く血糖値は上がる一方。使われない糖分は細胞内にどんどんと移動し内臓脂肪へと変貌していくということです。
コーヒーの良さを引き立てるのは、「量」ではないということをしっかりと覚えておいてください。
コーヒーには、心身を覚醒させる力がある。
これは事実ですが、だからといって、このコーヒーの力に頼り過ぎていないでしょうか?
ダルさがとれない朝、疲れと共に乗り越えなくてはならない会議、眠気と戦う残業。そんな中での戦友がコーヒーだという人は多いはずです。
しかし、この習慣には注意が必要です。コーヒーに含まれるカフェイン効果で、一時的に「疲労」がマスキングされているだけで、着実に疲労が心と体を蝕んでいるからです。
カフェインは、やる気や集中力を引き出すアドレナリンやコルチゾールの分泌を促しますが、これらのホルモンが増え過ぎると、疲労の原因になったり、 免疫力低下、性ホルモンの乱れを引き起こす可能性があります。
コーヒーの覚醒力は偉大です。しかし、だからと言ってむやみやたらに使っては逆効果。飲み頃と分量を上手く使いこなしてこそ、仕事と戦うための良き戦友となるのです。
また、カフェインを毎日過剰に摂取し続けると、幸せホルモンと言われてい る「セロトニン」が減少することが分かっています。セロトニンの減少も、や はり疲労の原因になることが分かり始めています。
精神科のドクターが、うつ傾向である方にカフェインを摂らないように勧めたり、またカフェイン摂取をやめることでうつや疲労感が改善したという話をよく耳にするのはこのためです。
むやみに飲むそのコーヒーが、あなたの心身の疲労感を生む原因になってい るかもしれません。
できるビジネスパーソンにとって「量より質」は、仕事の格好良さを決める重要なポイントでしょうが、コーヒーも同じです。
コーヒーには、覚醒効果や疲労回復作用がありますが、だからといって飲めば飲むほど効果が得られるものでは決してありません。それどころか、逆に健 康被害を生む可能性さえあります。
では、どれくらいが心身へのベストサイズなのでしょうか?
コーヒーの体へのダメージの指標の柱となるのは、やはりカフェインです。 アメリカ食品医薬品局(FDA)のガイドラインを参考にすると、カフェイン 摂取量の上限は1日約400mgまで。一般的なコーヒーのカフェイン含有量は、 100ml あたり約60 mgが目安になりますから、普通サイズのカップで3~4 杯の計算になります。
カフェイン含有量はコーヒーの種類によっても差がありますし、カフェインを含んでいるものはこれだけではありません。日本茶、紅茶、そして栄養ドリンクなどにもカフェインが含まれているものが多いですから、注意していなくてはすぐに適性量をオーバーしてしまいます。カフェインの摂り過ぎは、体内リズムの乱れや疲れにつながりますから、十分に注意しましょう。
仕事のパフォーマンスを上げるために、コーヒーをがばがばと飲んでいた方はいませんか?それはかえって疲れを加速する行為。コーヒーでパフォーマンスを上げるには、その適正量にも気を配ってほしいところです。
普通サイズのカップで3~4 杯までならば疲れを加速させることはありません。適正量を守り、カフェインの摂りすぎにも気を配って正しくコーヒーを飲み、仕事の効率を最大限に発揮してください。
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