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安倍元首相銃撃事件から日本人の海外渡航を考える【政治学者が見る世界の今】

2022.07.18 07:40
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比較政治や国際政治経済を専門とする政治学者の筆者が、世界の情勢を考える人気シリーズ。今回は、安倍元首相銃撃事件から、日本人の海外渡航と危機管理について考えていきたい。※写真はすべてイメージです

日本の欠如した危機管理意識

今回の安倍元首相の銃撃事件は国内外に衝撃を与えた。アメリカのバイデン大統領やフランスのマクロン大統領など友好国の指導者だけでなく、関係が悪化するロシアのプーチン大統領や中国の習国家主席も安倍元首相に哀悼の意を示し、その実績を高く評価した。
しかし、この事件は日本の欠如した危機管理意識も内外に強く示す結果となった。すでに多くのメディアで指摘されているが、安倍元首相の演説の際、警察は見物する市民がいる前ばかりを意識し、その背後はまったく警備されておらず、誰でも背後から安倍元首相に近づける状況だった。

日本の警察の警備を問題視

また、1発目の発砲から2発目までは数秒あったはずなのに、SPは安倍元首相を防護するとか押し倒すとかいった行動は一切取らず、犯人は安倍元首相を撃つ十分な数秒を確保できた。これは諸外国の警備からすればあり得ないことだ。
米国や欧州の警備専門家からも、元首相クラスの警備なのにSPが少なすぎた、安倍元首相の命を救える十分な時間があったなど、日本の警察の警備を問題視する声が相次いでおり、これは日本人の危機管理意識の欠如と言えるだろう。

海外での要人警備の実情

(C) Ververidis Vasilis / Shutterstock.com
筆者はこれまで国際会議や政府関連の仕事で数十か国を訪問したことがあるが、大臣や大使クラスの警備でも1人に3〜4人以上のSPがつくことも珍しくない。ましてや多くの市民の前で演説するとなれば、警備はもっと厳重に敷かれる。
パキスタンやアフガニスタン、イラクなどテロの脅威を抱える国での要人警備は当然として、比較的治安が良い国でも国家指導者レベルとなれば、大統領や首相が見えないくらい警備が敷かれることは日常的である。
それだけ、海外では治安が悪い、もしくは治安が悪化する潜在的脅威があるということだ。だから、警備というものが社会の中で優先される。日本では警備というものは意識的にも後回しにされることが少なくない。

海外渡航時の危機管理意識

世界では犯罪やテロ、宗教、人種、民族間の争いが絶えず、日本人が海外渡航する際には、日本国内での感覚を捨て、常に犯罪やテロなどに巻き込まれるリスクがあるという意識しなければならない。
コロナが再び日本国内でも増え、今後どこまで日本人の海外渡航が日常を取り戻すかわからないが、海外に渡航する際には現地の治安状況を今一度チェックし、何か犯罪に巻き込まれた際の危機管理対策を把握しておく必要がある。
今回の安倍元首相の銃撃事件は警察の危機管理対策が脆弱だっただけではなく、日本と海外との危機管理意識の差を強く示す結果となったと言えよう。
[All photos by Shutterstock.com]
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