全国約400軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は、70年以上の歴史を持ち、儲からないけどボケ防止のために続けているという石川県河北郡内灘町の「岡田商店」です。
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新しめの建物にある昔ながらの駄菓子屋


能登半島の付け根、石川県河北郡内灘町に駄菓子屋があるという情報を見つけたので、早速訪ねてみました。この辺りは、潟湖と砂丘という独特の地形。干拓で作られた農地を通ってお店へ向かうと、道路よりも湖面が高く見え、「海抜マイナス地帯」ならではの体験をすることができます。
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砂丘の高台にそびえ立つ、金沢医科大学病院。そこから河北潟方面に降りたところにある大根布地区に、目的の「岡田商店」がありました。扉には店名があるものの、看板らしい看板はなく、遠目からはカプセルトイだけが目印。建物は新しめですが、昔ながらの駄菓子屋の雰囲気を感じます。

壁にレトログッズが飾られた店内


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店内は土間状で、10畳ほどの大きさ。外観の印象と同様の、整った造りです。売り場は居室と直結しており、「こんにちはー!」と声を掛けると、店主が扉を開いて迎えてくれました。

ロの字型に棚が置かれ、金券やスーパーボールなど、くじ引き類が多い品揃え。壁側の棚には、レコードや雑誌など、レトログッズも飾られています。
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会計の仕方がとても特徴的で、店主に買い物かごを渡すと、客は袋を広げて持ち、店主が計算しながら中に入れていってくれます。この共同作業がきっかけとなり、自然と会話も増えて、なんだか急に親しくなれた気がしました。

昔は「百貨店」と呼ばれていた


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岡田商店は、元々は戦前からある食品と日用品のお店で、豊富な品数から「百貨店」と呼ばれ、地域の人々に利用されてきたそうです。店主は御年88歳! 昭和26年(1951年)に嫁いできて、お姑さんと一緒に切り盛りしていたとのこと。
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「昔は奥の奥まで売り場で、けっこう広かったんですよ。時代が変わってコンビニやスーパーができて、だんだんと個人商店が難しくなっていきました。平成19年(2007年)に建て替えたんですが、そのときに廃業しようと思ってたんです。でも『なんにもしなかったらボケちゃうよ』ということで(笑)。儲かるはずもないんだけど、駄菓子屋をやるぶんだけ売り場を残しました」

この商売は人と話せるのが儲け


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「このあたりも、子どもが減ったなと感じます。外で遊ぶ声が聞かれなくなったなと。でも店が開いてれば誰かは来る。誰も来なくても開けてますけどね(笑)。人と話すのが楽しいんですよ。この商売は、人と話せるのが儲け(利益)です」
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現在は息子さんが仕入れや陳列を担当し、展示されているレトログッズも息子さんの私物なんだそうです。店主と話し込んでいると、顔を出してくださったので、売れ筋の駄菓子のことや仕入れ先のことなど、さまざまな情報交換ができました。

石川県では昔ながらの駄菓子屋をなかなか見つけられず、ようやく出会えたのがここ、岡田商店。歴史ある貴重な1店が末永く続くことを、心から願っています。
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岡田商店
住所:石川県河北郡内灘町大根布4-171
営業時間:10:00~18:00
定休日:不定休


[All photos by Atsushi Miyanaga]



情報提供元 : TABIZINE
記事名:「 いながきの駄菓子屋探訪76:70年以上の歴史を持つ石川県「岡田商店」