はじめに
旅先で見つけたキレイな景色や可愛いものは、できるだけ上手に撮って思い出として残したいもの。そこで今回は、写真集『奇界遺産』などで知られるフォトグラファー・佐藤健寿さんにインタビュー。初心者でも真似できる撮影術を教えてもらいました。
Text:大高志帆
Interview Photo:中川文作
大胆な構図を考える
――ズバリ、写真初心者が簡単に実践できる、上手な写真の撮り方を教えてください。
簡単なところで言うと、構図を変える。撮りたいものを画面の中央に置かないことです。たとえば料理を撮るとき、初心者はお皿を画面の真ん中に配置して、すべてを写真に収めようとします。単なる記録ならこれでいいのですが、カッコいい写真にはなりません。
写真を撮るときは、お皿を大胆に端に寄せて余白を作ったり、料理に寄って、バッサリお皿の一部が切れるように撮ったりしてみましょう。構図を変えるだけで、雑誌で見るようなお洒落な写真が撮れますよ。
――たしかに、撮った写真を見返すとどれもこれも被写体が真ん中にある……という人は多いと思います。構図を考えることで、写真の仕上がりがワンランクアップしそうですね。
手ブレを防ぐポーズとツール
“初心者ならでは”を挙げると、他には暗い場所なのに普段通りに撮影をして、ブレた写真を撮ってしまう人は多いですね。夜景はもちろん、雰囲気のいいレストランで撮影するときも、思ったより暗いことがあるので注意してください。
簡単なのは、手でカメラを持つ場合は脇を締めること。可能なら、カメラを置いて、動かない状態で撮影できる場所を見つけてください。といっても、これだけでは限界があります。そこで、できれば軽くてコンパクトな三脚を持って行くことをおすすめします。数千円で買えるものもあるので、いろいろ探してみてください。
スマホで撮影する人には、「ゴリラポッド」と呼ばれる巻きつけタイプの三脚がおすすめ。脚の形が自由に変えられるので、本来は置くことのできない棒などにも巻き付けて、ブレない撮影をすることができます。
――アイテムを揃えることでいい写真が撮れるケースもあるんですね。
これも“そもそも”の話ですが、コンデジ(コンパクトデジカメ)ではなく、安くても一眼レフを買うのが一番。コンデジなら、正直iPhoneなどカメラ性能のいいスマホで撮影するのとそんなに仕上がりは変わらないんですよ。
ぼかしが綺麗に出る単焦点レンズ
さらに、単焦点レンズを買えば、手持ちで夜景が撮れたり、撮影するには暗めの室内でも難なく撮影できたりと、本当に便利。被写体に近付けば、まわりのものをきちんとぼかして撮りたいものの存在感を際立たせた一枚が撮れるし、ある程度の距離がある被写体なら見たままを思い通りに撮影できます。
そこそこ値の張るものでもあるし、基本的な撮影テクニックを身に着けるまで少し時間がかかるかもしれませんが、本気でいい写真が撮りたいなら、ぜひ検討してください。 撮影のテクニックからツールまで幅広くレクチャーしてもらいました。
私たちが持っているスマートフォンでは技をきかせて、ツールは少し本格的なカメラを使えば、旅先で素敵な写真がたくさん撮れそうですね。
◆佐藤健寿(さとう けんじ)
超常現象や世界の奇妙な現象を調査するサイト「X51.ORG」を主宰。2003年、エリア51で事故に遭ったのをきっかけに、UFOやUMA、ミステリー・スポットや奇妙な人・物・場所を追って、ヒマラヤ、チベット、南米など実際に現地に訪れ、世界中を取材。現在はフォトグラファー/作家として雑誌などで活動。著書『TRANSIT 美しき不思議な世界』(講談社)『奇界遺産』(エクスナレッジ )などが発売中。
佐藤健寿公式サイト
おわりに
旅先での撮影術を語ってくれた佐藤さん。次回は連載最終回、12月末に配信予定です。
私たちでも簡単に不思議な景色が撮れる街を紹介するので、お楽しみに!