はじめに
日本の鉄道路線をプライベートで全て乗車した鉄旅タレント・木村裕子が、鉄道初心者さんでも楽しめる「おもしろ鉄旅プラン」をご提案します。今回は、温泉に浸かって“お肌もちもち”&“食べてもちもち”、お得に美肌になれちゃう路線をご紹介します!
Text&Photo:木村裕子
別名「あきた♡美人ライン」
日本三大美人のひとつと言われる“秋田美人”。秋田出身の美人芸能人といえば、佐々木希さんや加藤夏希さんが浮かびますよね。そんな秋田県を走る秋田内陸縦貫鉄道は、「あきた♡美人ライン」という愛称が名付けられるほど。“世界一の大太鼓の里”の称号を持つ鷹巣駅から、マタギの里の阿仁合を抜けて、みちのくの小京都である角館駅までを結ぶ94.2kmを走るこの鉄道は、名前の通り、秋田県の内陸部を南北に縦貫するローカル鉄道なんです。
温泉に入ると帰りの乗車代がタダ!
阿仁前田駅には、秋田県内で唯一の駅ナカ温泉「クウィンス森吉」があります。列車から降りて改札を抜けると、0秒で温泉施設に到着するお手軽さ。「クウィンス森吉」へ行く場合は、乗車前に券売機で切符は買わずに、窓口で「湯けむりクーポン」という施設割引券がセットになった乗車券を購入してください。これ、私は個人的に“魔法の切符”と呼んでいるのですが、例えば普通に券売機で切符を買って行った場合、角館から阿仁前田までの往復2,680円+入浴料400円で、合計3,080円かかります。ですがこの「湯けむりクーポン」は、お風呂に入って利用証明のハンコを押してもらえば、なんと帰りの運賃がタダになるんです! 行きの乗車代1,340円+入浴料割引350円で合計1,690円しかかかりません。まさに“魔法の切符”ですよね。普通の切符で行ったときと比べて、1,390円もお得になるなんて……全国の路線に乗った私でもこんな切符は初めてで、知ったときは「鉄道会社さん、HPの表記間違えてませんか!?」と疑ったほどでした。
▲湯けむりクーポン
阿仁前田駅温泉の気になるお湯と効能は?
「クウィンス森吉」は、源泉かけ流しの小浴場と露天風呂、源泉循環の大浴場が完備されています。私が行った時は真冬だったためか、温度差で浴場内は蒸気で真っ白! 無色透明で柔らかいお湯は、カルシウムとナトリウムをたくさん含み、温泉に浸かってすぐに腕を触ると肌がキュッと滑るほど。塩化物泉のお湯は肌表面を塩のベールで包んでくれるので、湯上りはしっとりとした保湿効果と、汗の蒸発を防いで湯冷めしにくいポカポカ効果が期待出来るそうですよ。
私の他に温泉に入っていたのは地元の方がほとんどで、浴室では秋田弁が飛び交っていました。みなさんやっぱりお肌はツルッツルでしたよ!
※露天風呂は冬季閉鎖しています
秋田美人のぷにぷにおやつ
温泉で癒されたあとは、駅の売店や、急行もりよし車内で買える秋田名物の「バターもち」(写真中央)がおすすめ。昔から各家庭で作られている和菓子と洋菓子が一緒になったようなお菓子で、ぷにぷにふわふわな食感がたまりません。ほんのり甘くてバターがふわっと香り、一度食べたらハマっちゃうおやつです。
最後に木村ポイント!
湯けむりクーポンは、沿線の全7か所の入浴施設から1か所を選んで立ち寄る事ができます。例えば、西鷹ノ巣駅の「伊勢堂岱温泉縄文の湯」は岩盤浴も完備されていて、阿仁マタギ駅の「打当温泉マタギの湯」はマタギの里らしく大きな木彫りのクマの湯口から源泉かけ流しの天然温泉が出てきます。どの施設も駅から徒歩5分以内、または送迎車があり訪れやすいので、ご自身の好みで足を運んでみてくださいね。