はじめに
山岳信仰の聖地・出羽三山(でわさんざん)や、“出羽富士”こと鳥海山(ちょうかいさん)を抱き、日本海に面した自然豊かな山形県庄内エリア。古くは出羽国として栄えたこの土地の文化や教えを、今に伝えるスポットが点在しています。見て、感じて、庄内の歴史と自然を学ぶ旅に出かけてみませんか?提供:山形県 文:旅色編集部
身も心もリセットする、生まれかわりの旅へ「出羽三山参り」
山形県のほぼ中央にそびえる羽黒山(はぐろさん)、月山(がっさん)、湯殿山(ゆどのさん)で構成される出羽三山。開山は1400年以上前とされ、神聖な地として古くから信仰を集めている日本屈指の霊山です。江戸時代、この三山巡りが「西の伊勢参り、東の奥参り(=出羽三山参り)」と謳われるほど人気を博しました。
パワースポットだらけの参道を行く「羽黒山(はぐろさん)」
まずは、出羽三山の玄関口・羽黒山。スタート地点の「随神門(ずいしんもん)」から山頂まではおよそ1.7kmの道のりで、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで三ツ星に選ばれた荘厳な杉並木の間を進んでいきます。
五重塔のあとは、2446段の石段にチャレンジ。一の坂、二の坂、三の坂と続く階段には、あちこちに盃やひょうたんなどの絵が彫られており、33個すべて見つけると願いが叶うといわれています。二の坂を過ぎたところにある「二の坂茶屋」で名物の力餅をいただき、英気を養いましょう。もうひとがんばりして鳥居をくぐれば、山頂に到着! 出羽三山の神々を祀る「羽黒山三神合祭殿」への参拝がゴールです。
フラワートレッキングで珍しい植物に出会う「月山(がっさん)」
標高1,984m、出羽三山の主峰としてそびえるのが月山です。日本海からの季節風を受ける影響で県内でも有数の豪雪地帯である月山は、高山植物の宝庫。夏には100種類以上の高山植物に出会うことができます。
口外してはいけない、まさに聖域「湯殿山(ゆどのさん)」
最後の湯殿山は、出羽三山の奥宮とされる修験道の霊地。湯殿神社本宮については「語るなかれ」「聞くなかれ」と古くから伝えられ、参拝時のことを口外することさえ固く禁じられてきたミステリアスな神社です。もちろん写真撮影も禁止。また境内は俗世とは切り離された神域につき、土足も厳禁です。土と石が混ざる参道を裸足で歩くことで、山と大地のパワーを直に感じられます。敬意をもって参拝しましょう。
酒田の舞妓・料亭文化を体験できる「相馬樓」
江戸時代、交易の拠点として繁栄した港町、酒田。当時から続く料亭「相馬屋」を改装してつくられたのが、相馬樓です。石畳が敷かれた舞妓坂に、朱色の塀と茅葺の屋根が施された建物が佇むその空間は、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのよう。木造の主屋は1894年の震災で焼失した後、残った土蔵を取り囲んで再建築されたもので、1996年に国の登録文化財に指定されています。歴史を残しながら、この町の文化や伝統を伝えていく施設として2000年にオープンしました。
鶴岡の個性豊かな海で遊ぶ!「シーカヤック体験」
日本海に面する鶴岡市には、個性豊かな海水浴場が点在しています。湯野浜温泉郷の長い海岸線に広がる県内最大規模の「湯野浜海水浴場」をはじめ、快水浴場百選に選定され、白山島と朱色の橋が織りなす景観が美しい「由良海水浴場」、人口の砂場・磯場として整備された「加茂レインボービーチ」、川砂利を敷き詰め、内海で波も穏やかな人口ビーチの「マリンパークねずがせき」、左右に奇岩怪岩があり、入江状の「三瀬海水浴場」、見晴らしがよく磯遊びも楽しめる「小波渡海水浴場」など、特色のある海で、さまざまなアクティビティを楽しむことができます。
自然のパワーみなぎる山形唯一の離島「飛島(とびしま)」
日本海に浮かぶ飛島は、県唯一の有人離島。酒田港から「定期船とびしま」に乗り、1時間15分ほどでアクセスすることができます。島では釣りや海水浴が楽しめるのはもちろん、島全域が国定公園(鳥海国定公園)に指定されているため、手つかずの自然を満喫するウォーキングやバードウォッチングが人気です。暖流・活火山・湧水によって豊かな環境が育まれた鳥海山・飛島エリアは「日本ジオパーク」にも認定されており、ジオガイドとともに島の成り立ちや地質・地層を観察しながら島巡りを楽しむこともできます。
世界に誇るクラゲミュージアム「加茂水族館」
鶴岡市にある加茂水族館は、クラゲの展示数が60種類以上と世界一を誇る水族館。「クラゲドリーム館」という愛称でも親しまれています。なかでも圧巻なのが、約2000のミズクラゲが漂う、直径5mの大水槽「クラゲドリームシアター」。透明感のあるクラゲが水の中でゆらめく姿は幻想的で、アートのよう。エリア内にはクラゲ解説コーナーなどがあり、「見て、触れて、知る。発見と感動」をテーマに、クラゲの生態や魅力を伝える展示が行われています。
エメラルドグリーンに輝く神秘の泉「丸池様」
鳥海山の麓、遊佐町にひっそりと湧く丸池様は、直径約20m、水深5mほどの池。隣接する牛渡川と同様にほぼ100%が火山起源湧水で、池の底からボコボコと水が湧き出るのが見えるほど。湧水が絶えず循環していることから、池に沈んだ樹木も腐敗することがないのだそう。水面は光の加減や気候条件により微妙に色を変えながら、幻想的なエメラルドグリーンをまとっています。
出羽丘陵から壮観の景色を生む名爆「玉簾の滝」
約1200年前に高僧・弘法大師が神のお告げにより発見し、命名したといわれる玉簾の滝。滝が北西に向かい、太陽の位置によって水しぶきが玉簾のように見えることから、この名が付けられました。落差約63m、幅約5mにわたって断崖絶壁から豪快に流れる滝は、圧巻の迫力。誰もが認める出羽随一の名爆です。整備された遊歩道を通って滝壺の近くまで行くことができるので、水の流れる音やしぶきを直に感じてマイナスイオンを全身に浴びましょう。夏の夕涼みにも最適です。
おわりに
山形県庄内地域の自然や歴史を感じられるスポットをご紹介しました。日本古来の風土や文化が残るこのエリアでは、懐かしさや美しさに心が洗われるような体験が待っています。新しいことを始めたいときやリフレッシュしたいとき、山形県庄内地域に旅してみてはいかがでしょうか。今回紹介した羽黒山を含む松尾芭蕉ゆかりの施設を巡る「おくのほそ道周遊チケット」も発売中なので、ぜひ次の旅の参考にしてみてください。
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