中国・武漢市を中心に新型コロナウイルスによる新型肺炎が猛威を振っていることを受けて、ホテルチェーン世界大手のヒルトン・ワールドワイドの最高経営責任者 (CEO) 、クリス・ナセッタ氏は、中国国内の約 150 のホテルを閉鎖したことを明らかにした。
ナセッタ氏は、同社の 201 9年の決算に関する電話会議の中で投資家らに対し、2月 11 日(火)に発表された決算発表にはコロナウイルスの影響を反映していないとし、2003 年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)での経験に基づいて、今後の影響予測を立てたという。
同社によると、今後 12 カ月間はコロナウイルスの影響に対処しなければならない可能性があるとの見解を示し、このような危機が長引けば業績重要指標であるEBITDA(利払い税引き前減価償却償却前利益)に約 27 億円(2500万ドル)から約 54 億(5000万ドル)の影響が出る可能性があると述べた。
中国はヒルトンワールドワイドの EBITDA 全体の 2.7% を占めている。また、通年でみると RevPAR(販売可能な客室1室あたりの売上)の伸びは、100 ベーシス・ポイント(1%ポイント)減少する可能性があるという。
厚生労働省(2月 12 日時点)によると、中国国内における新型肺炎の感染者数は4万人を超え、死者は 1100 名を超える規模にまで拡大。集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では、検疫官含め新たに 40 名が感染し重症者は4人にまで増加している。
日本でも新型コロナウイルスの感染が拡大する事態となれば、ホテルの閉鎖という事態にもなりかねない。今回の危機は、日本に限らず感染者が出ているシンガポール、インドネシア、マレーシアなどアジアの他の地域にも影響を及ぼす可能性がある。