6月に住宅宿泊事業法が施行されることを受けて、大手企業・上場企業を中心とした民泊事業への参入が相次いでいる。本コラムでは2017年からこれまで民泊事業への参入を発表した企業をまとめてご紹介していく。
直近では民泊仲介サイトを運営しているAirbnbや楽天LIFULL STAY、百戦錬磨と提携等で民泊事業への参入が相次いでおり、各陣営ごとの布陣をマッピングすると以下のようになる。
※2017年以降の各社プレスリリースを元に作成
Airbnb、楽天LIFULL STAY、百戦錬磨それぞれの民泊仲介サイトごとに提携企業をマッピング
一部掲載していない企業もあります。
Airbnb、公式の民泊運営代行サービスを開始
(2018年2月)Airbnbは、オンライン航空券販売大手のエボラブルアジアと組み公式の民泊運営代行サービスを開始することを発表した。これまでAirbnbはプラットフォームとして民泊の運営代行などの請負や斡旋などは行っていなかったが、「公式」として民泊ワンストップサービスの提供を始める。
ソフトバンクやビックカメラ、CCCマーケティングなど提携先15社の窓口には、エボラブルアジアが新たに設立するエアトリステイが「公式」としてワンストップサービスを提供する。
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JAL、百戦錬磨と資本提携で民泊に本格参入
(2018年2月)日本航空と民泊仲介サイトを運営する百戦錬磨は、民泊を活用したインバウンド事業および地域活性化事業の推進を目的とする広範な提携を行うことに合意し、包括的業務提携を締結したことを発表した。
第1弾として奄美エリアの自治体と連携し、「エコツーリズム×民泊」などの商品を開発予定。第2弾として、地方活性化につながる田舎体験型の農泊ダイナミックパッケージの商品開発を検討している。
リクルート住まいカンパニー、Airbnbと業務提携
(2018年1月)リクルートグループのリクルート住まいカンパニーは、Airbnb(エアビーアンドビー)と業務提携し、民泊事業へ参入することを発表。
リクルートグループの不動産・住宅情報サイト「SUUMO(スーモ)」に掲載した賃貸物件について、世界で400万室以上の民泊仲介を手がけるAirbnbとの提携で借り手が見つからない等の空室期間に民泊として活用できるようにする。
実際に民泊運営を行う場合は、SUUMOと提携契約を結んだ住宅宿泊運営代行会社を利用し、Airbnbなどの民泊仲介サイトを通じて全世界から利用者の集客を行うことが可能となる。
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Airbnb、損保ジャパン日本興亜との包括連携協定締結
(2017年12月)損害保険ジャパン日本興亜とAirbnbは、住宅宿泊事業の拡大を目指して包括連携協定を締結したと発表した。
住宅宿泊事業法施行を前に、安心で安全な住宅宿泊事業の普及・拡大をめざすことを目的とする新サービスの検討や開発を行うという。
損害保険会社との提携になるが保険分野での新サービスの開発や検討にとどまらず、損保ジャパンの持ち株会社のSOMPOホールディングスのグループ子会社による駆けつけサービスなどのホスト業務支援サービスを展開。
他にも古民家再生支援、リノベーションに関する連携の検討や地方創生に関する取組みの支援も手掛けることで、地域社会に根ざした住宅宿泊事業の普及・拡大に向けた取り組みを加速させる考えだ。
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レオパレス21、大田区の自社物件を特区民泊として提供
(2017年12月)レオパレス21は、大田区に展開する自社物件を「特区民泊」向けに改装し、旅行者向けに提供することを発表した。
楽天グループの民泊事業会社である楽天LIFULL STAY株式会社が提供を開始した民泊施設・簡易宿所オーナーおよび不動産事業者向けの「全部運用代行パッケージプラン」を活用し特区民泊として貸し出していく。
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ハイアス、楽天と民泊向け戸建型宿泊施設の供給へ
楽天グループの民泊事業会社である楽天 LIFULL STAY 株式会社は、戸建賃貸ネットワーク大手のハイアスとともに、民泊向け戸建型宿泊施設の供給における業務提携を発表した。
業務提携に基づき「Rakuten STAY HOUSE」とハイアス の運営する高性能デザイナーズ住宅「WILL STYLE」とのコラボによる戸建型宿泊施設ブランド「Rakuten STAY HOUSE×WILL STYLE」を共同で開発。
供給される宿泊施設は、ハイアスのパートナー企業を通じて、2018 年 2 月より販売開始を見込む。
住友林業、大阪市の特区民泊で賃貸マンションを民泊に
(2017年12月)住宅メーカー大手の住友林業株式会社は、民泊仲介サイトを手がける百戦錬磨と業務提携契約を締結し、住宅ストックを合法的な民泊施設として活用する民泊事業に参入することを発表した。
第一弾として同社は、2017年9月に取得した国家戦略特区の大阪市西区の賃貸マンションを民泊マンションとして改装し、来年春頃から旅行客の受け入れを開始する。
また同社では、社内に「民泊推進窓口」を設置し、収集した情報を両社で事業化検討することで、インバウンド需要の取り込みや旅行者の満足度向上にも取り組む。
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ANAとPeach、Airbnbがパートナーシップ契約を締結
(2017年11月)Airbnb、ANA(全日本空輸)、ピーチ(Peach Aviation)は、新しい旅行スタイルの普及と拡大におけるマーケティングについてパートナーシップ契約を締結したと発表した。
パートナーシップ契約の締結に伴い、AirbnbとANA、AirbnbとPeachはそれぞれ特設サイトを開設。特設サイトでは、新規予約で使える3,000円分のAirbnbクーポンをプレゼントするといったキャンペーンを展開する。
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みずほ銀行、Airbnbと業務提携し周辺ビジネス創出へ
(2017年7月)みずほ銀行は、民泊市場の拡大を見据えAirbnbと業務提携を行ったことを発表した。
民泊新法の施行とともに今後、民泊マンションの建設や空き部屋のリフォームなど民泊市場が急拡大することを受けて民泊周辺ビジネスでの融資拡大を狙うほか、空き社宅を抱える企業にAirbnbの紹介を行うなどし遊休資産の活用を促す。
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シノケン、民泊専用マンションの販売を特区で開始
(2017年4月)アパート・マンションの販売事業や不動産賃貸管理事業を手がける株式会社シノケングループは4月、民泊に適合した投資用アパート・マンションの分譲を開始したことを発表した。
民泊法の施行が迫っていることを受け、シノケングループは東京都大田区と大阪市を中心とした特区民泊を活用し同社第1号の合法民泊物件を取り扱う。シノケンGはこれらを国家戦略特区におけるモデルケースとして、民泊に対応した投資⽤物件への取り組みや販売後の運営・管理を推進する。
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KDDI系の宿泊予約サイト、民泊市場へ参入
(2017年1月)KDDI傘下のLoco Partnersの宿泊予約サイト「Relux」(リラックス)は民泊の仲介事業に参入することを発表。2018年1月23日より新施設種別「Vacation Home」の取り扱いを開始した。
Reluxは、審査委員により厳しい審査をクリアした旅館・ホテルのみを掲載している厳選された会員制の宿泊予約サービス。2017年2月に国内通信大手のKDDIが「Relux」の運営元であるLoco Partnersを子会社化していた。
「Vacation Home」の対象となるのは、旅館業法における簡易宿所の許可を取得している町家や古民家、貸別荘などの宿泊施設で、2018年6月に施行される「住宅宿泊事業法」の施設も対象とする。
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