全日空(ANA)は、「ボーイング787型機のエンジン不具合への対応について」と題した文書を発表した。
2月22日のクアラルンプール発東京/成田行きNH816便、3月3日のハノイ発東京/羽田行きのNH858便で離陸後にエンジン不具合で引き返しており、エンジンを製造・設計したロールスロイス社の解析で、不具合の原因は大気中の化学成分に起因する硫化腐食が中圧タービンブレード表面に発生し、これを起点に疲労亀裂が生じ、飛行サイクルとともに亀裂が進行することによるものと判明した。
特に大気中の化学成分の多い環境の中を飛行し、高出力が必要なために燃焼ガスの温度が高い国際線機材で亀裂が生じ易いことが判明したため、エンジンの飛行環境や飛行サイクルを踏まえた解析を行い、中圧タービンブレードの破断に至る飛行サイクル数を算出、飛行サイクル数に到達する前に計画的なエンジンの交換を実施していた。国際線に比べて大気中の化学成分が少ない環境の中で、比較的低出力で飛行する国内線機材では、硫化腐食による亀裂が発生しにくいとの判断から、計画的なエンジン交換の対象としていなかった。
8月20日に東京/羽田発宮崎行きのANA609便で離陸後に同様の事象が発生したことから、国内線でも早期にエンジン交換することとし、使用できるエンジン数が不足したことから欠航便が発生しているという。エンジン交換は安全を最優先とした自主的判断としている。
今後、硫化腐食に強い改修型ブレードが装着されたエンジンへの交換を予定しており、それまでは新品か使用履歴が少ない現行型ブレードを装着し、亀裂の発生を防止する措置を取る。
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