国際線中距離格安航空会社(LCC)として東京/成田〜ソウル/仁川・バンコク/スワンナプーム線の航空運送事業許可を行ったZIPAIR。過密路線とも思われる両路線を選んだ意図について西田真吾代表取締役社長は、「需要が太いところに飛ばすのがLCCの生きる道」と語った。
日本におけるLCC黎明期、ジェットスター・ジャパンやピーチ(Peach)など、日系LCCの多くが最初に選んだのは福岡や札幌などの高需要路線だった。新規参入するZIPAIRもそれに倣い、「真価を発揮できる路線」として候補に挙げたのが東京/成田〜バンコク/スワンナプーム線だったという。同路線(バンコク/ドンムアン線も含む)にはフルサービスキャリア(FSC)を含め、多くの航空会社が路線を展開。マーケットの成長は毎年続いている。西田社長は、「そこに我々が参入する意味がある」と述べた。2018年にはノックスクートやタイ・ライオンエアも参入し、各社がしのぎを削っているが、「日本の航空会社として、納得いただける価格ときっちりしたサービス品質とのバランスをとっていきたい」と勝機を見出した。また、東京/成田〜ソウル/仁川線については、「FSC路線が少なくなり、LCCを使い慣れている利用者がたくさんいる」と分析。中・短距離の両路線を組み合わせて機材稼働を高めながら、今後の路線展開の可能性を探るという。
ZIPAIRが当初導入するのは、日本航空(JAL)から譲受するボーイング787-8型機2機。サービス品質の重要性を強調する西田社長は、「日系LCC他社と比べ、相当ゆとりのある座席配置。自信を持って世に出せるものが作れている」と胸を張る。クラス構成などの詳細についての明言は避けたが、「従来の航空会社とは少しスタンスが違う」ものになると明かした。
また、西田社長は、「(将来的には)太平洋も渡りたいと思っている」と発言。ボーイング787型機などの双発機を太平洋路線に投入するためには洋上飛行認定のETOS取得が必要となる。まずはソウル線・バンコク線で運航実績を積み、ETOPS取得を目指す方針だ。大西洋を横断するLCC路線は多数存在するが、2019年現在、太平洋を渡るLCCはない。西田社長は「我々はそのパイアニアを目指したい」と意気込んだ。東南アジアから日本を経由して太平洋を渡る旅客も取り込みたい考えだ。さらに、欧州路線についても「ぜひやってみたい。そういう路線が引けたら」と可能性を示唆した。
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