JR東海は8月22日、東海道新幹線内における不測の事態を想定した対応訓練を実施し、メディアに公開した。
同社では6月に東海道新幹線内で発生した殺傷事件を受け、8月から順次、車内に防護装備品を搭載。年内にN700系全編成への搭載が完了する。また、7月23日には、乗務員やパーサーが業務用スマートフォンを使って指令と情報共有を行えるグループ通話システムを導入した。
この日は静岡県警鉄道警察隊の指導のもと、乗務員や警備員が防護盾やさすまたの適切な使用方法を確認し、実践。
その後の訓練は、走行中の「のぞみ」号の14号車13番A席に座っていた男が、凶器を持って騒ぎ出す事態を想定して実施された。不審者役の男が突然大声を上げて凶器を振り回すと、乗り合わせた乗客役は一斉に隣の車両へ避難。乗務員らはグループ通話システムで情報を共有して状況を確認し、指令に報告した。防護盾を持った乗務員らが14号車の両方向から詰め寄って対応し、最後は駆け付けた鉄道警察隊が男を取り押さえた。
このほか、走行中に大規模地震が発生し、駅間に新幹線が止まった状況を想定した避難誘導訓練も合わせて実施。乗務員と車外から誘導を行う社員が連携し、車内に搭載されているはしごを使って乗客役を車外に避難させ、最寄り駅に誘導した。
同社新幹線鉄道事業本部の田中守本部長は「(防護装備品を使用した訓練は)初回だったが、今後も東海道新幹線を安心してご利用いただけるように練度を上げていく」と語った。