統合型リゾート(IR)のオープンラッシュが続くマカオ・コタイ地区に8月22日、ウィン・リゾーツがオープンしたウィン・パレス。スティーブ・ウィン氏が手掛けるIRとしては、2006年にはマカオ半島に開業したウィン・マカオに続く2か所目となった。
このウィン・パレスは、ウィン氏の45年にわたるホスピタリティ事業の集大成と位置付けられており、ゲストルームやダイニングはもちろん、エントランスやレセプションなど至る所でゲストに「エンターテイメント」を感じてもらうことを徹底的に追及しているという。
まず外から目に入るのは、正面に広がるパフォーマンスレイクと、それを囲うようにして作られたゴンドラ・スカイキャブ。パフォーマンスレイクでは、午後0時から午前0時まで20~30分おきに音楽と照明によるダイナミックな噴水ショーが繰り広げられる。
スカイキャブからは噴水のショーを間近に見ることができるだけでなく、28メートルの高さからコタイの街を一望できる。パフォーマンスレイクの外側と、館内のサウステラスの2か所に乗り場が設置されており、外からスカイキャブに迎えられて館内に入ることもできる。2019年頃にはコタイ・タイパ地区でマカオ新交通システム(マカオLRT)が供用を開始し、ウィン・パレスの正面に駅が設置される計画で、開業後は駅を降りてすぐにスカイキャブに乗ることができるようになるという。
スカイキャブに出迎えられ、館内に入っていく。館内は「パレス」らしい広々とした雰囲気を出すため、あらゆる場所でスペースを大きくとることが意識されており、ゲストルームフロアの廊下にはレスティングスペースが設置されている。
ゲストルームは全1,706室。スタンダードルームにあたる「パレスルーム」836室、「ファウンテン・スイート」540室、「エグゼクティブ・スイート」105室、「パーラー・スイート」198室、「ファウンテン・サロン・スイート」18室、「ペントハウス」4室、「ガーデン・ヴィラ」5室の7タイプ。各ゲストルームは、部屋ごとに異なるキャメル・イエロー・オレンジ・ターコイズの4色のテーマカラーでデザインされており、テーマカラーによって部屋から受ける印象も異なる。
全ゲストルームのバスアメニティは、英国王室御用達ブランド「モルトン・ブラウン」のウィン・リゾーツ専用品、「ココ&トンカ・ビーン」シリーズ。剃刀や歯ブラシ、コームなども特注のゴールド仕様になっており、細部にわたるゴージャス感へのこだわりが見て取れる。
今回宿泊した「ファウンテン・スイート」は、85平方メートルの空間にベッドルームと独立したリビングルームが設置されている。リビングルームの窓はホテル正面のパフォーマンスレイクに面しており、午後0時から午前0時まで20~30分おきに行われる幻想的な噴水のスペクタクルを部屋にいながらにして一望できる。
ベッドルームとリビングルームに設置された65インチのハイビジョンテレビでは、NHKのBS放送も視聴可能。バスルームにもテレビが設置されており、大きなバスタブでゆったりとくつろぐこともできる。
ベッド横やリビングルームには、照明の調整機能・カーテンの開閉機能・テレビやエアコンのリモコン機能が集約されたタブレッド端末が設置されており、本来なら部屋中を歩き回って行うことになる操作をこの端末で一括で行える。言語は英語・中国語(普通話)・日本語・韓国語に対応しており、部屋に入った時点ですでに日本語に設定されていた。ゲストに合わせてあらかじめ最適な状態に整えておくという、細かな気配りが感じられる。
ゲストルームフロアを出て館内を見ていくと、煌びやかな壺や屏風絵などの芸術品が随所に展示されている。これらは、コレクターとしても知られるウィン氏が進める「中国の芸術作品を中国に帰還させる」という活動の一環として、世界中から集められたもの。
ノース・サウスの各エントランスには、数万本にものぼる生花やドライフラワー、数千個の照明を使用した「花の彫刻」を展示。6週間ごとにテーマを変えて展示されるというこれらの彫刻群は、世界的なフローラルデザイナーであるプレストン・ベイリー氏がウィン・パレスのために制作したものだという。
館内を歩くたびに豪華絢爛な調度品や芸術作品の数々に出迎えられ、ゲストはまるで美術館のようにそれらを楽しむことができる。
最高のホスピタリティの要素として、「guest experience(顧客経験)」を第一に掲げるウィン氏のポリシーはダイニングにも表れている。
ウィン氏の名を冠した「SWステーキハウス」では、最上級の牛肉料理や新鮮なシーフードを味わえる。このレストランの目玉は30分ごとに行われるビジュアル・アニメーション・ショー。中央のステージで展開される音と映像のパフォーマンスを眺めながら楽しむディナーショーは、非日常的で優雅なひとときを演出する。
マカオで極上の和食が楽しめるのは、日本料理「泓(ミズミ)」。日本から毎日直輸入される新鮮な食材を使って、8人の日本人シェフが繊細な料理を作り上げる。料理と共に供される日本酒は、定番の人気銘柄はもちろん、マニアックな銘柄まで数多く取り揃えられ、そのコレクションは日本の料亭にも匹敵するほど。日本酒ソムリエがおすすめの銘柄を選んでくれる。
ほかにも、世界で唯一ミシュランの星付きに認定されている東京・巣鴨のラーメン店「Japanese Soba Noodles 蔦」のプロデュースによる「HANAMIラーメン」、金・翡翠色の格調高い空間で伝統的な広東料理を提供する「ウィン・レイ・パレス」など、様々なジャンルの美食体験がゲストの五感を満たしてくれる。
東京から直行便で約5時間と、日本にもほど近いマカオの地にウィン氏が作り上げたリゾートの最高傑作。そこでの滞在は、「そこにいること自体がエンターテイメント」という満足度の新境地を体験できるものになるだろう。
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