三菱重工グループの三菱重工工作機は、レーザー金属積層造形技術を用いた"金属3D(三次元)プリンター"の試作や受託生産などの造形サービスを7月15日から拡大する。
従来の大型造形物向けデポジション(DED)方式 ※1 の金属3Dプリンターに加え、新たに小型造形物向けバインダージェット(BJT)方式 ※2 の金属3Dプリンターをサービスラインアップに追加することで、1mmサイズの小型部品から1mを超える超大型部品まで幅広い造形物の製作に対応する。
※1 指向性エネルギー堆積法(Direct Energy Deposition:DED)と言われ、熱エネルギーの集中を利用し、金属粉末材料をピンポイントで連続的にレーザー溶融点にノズル供給する積層造形プロセス。
※2 バインダージェット(Binder Jetting:BJT)と言われ、平らに敷き詰めた金属粉末にノズルから選択的に結合剤(バインダー)を噴射して固形化する方式。金属の場合、その後に熱処理(バインダーの除去、焼結)を実施して最終製品になる。
三菱重工工作機械が新たに導入するのは、デジタルメタル社製の金属3Dプリンター「DMP2500」。本装置が採用するBJT方式は非常に精緻な造形が可能である上、量産志向が高いという特長を持つ。これまで、独自のDED方式を採用した“LAMDAシリーズ”による造形サービスを提供してきたが、特長が異なる方式の装置を導入することで幅広い造形ニーズに応え、造形物に応じた最適な製造法および装置の提案・提供が可能となる。
また、デジタルメタル社との間では、DMP2500をはじめとした同社製金属3Dプリンターの国内販売契約を2020年7月に締結した。DED方式金属3Dプリンターに加えてBJT方式金属3Dプリンターも三菱重工工作機械の販売ラインアップに追加することで、本装置導入後のアフターサービスにも幅広く対応していく。
金属3Dプリンターは製造プロセスを革新すると注目される一方で、製造物の製作難易度が高いことや品質保証などが課題になっている。今回のサービス拡大を機に、装置の販売ならびにノウハウ提供など積層造形に関するソリューション提案に注力し、製造現場へのいち早い適用を推し進めていく。