一人で出かけるソロキャンプならば、コンパクトな軽キャンパーに注目だ。機動力が高く、普段使いもこなせるし、維持費も安い。「マイクロバカンチェス」は、そんな軽キャンパーの代表モデルだ。
気軽なひとり旅の相棒にふさわしい、大人の隠れ家
ここ数年、多くのキャンピングカーのユーザーさんにお会いしたが、家族3〜4人でオートキャンプ...という方達に出逢ったのは意外と少なかった。ほとんど方が夫婦ふたり、もしくはひとりで来ている方がほとんどなのである。
もちろん、僕のサンプルはごく僅かだとは思うが、実はキャンピングカーを大人数で使っているケースは少ないのではないだろうか。
巷ではソロキャンプがムーヴメントとなっているが、人のいない山奥に入りたいソロキャンパーの中には、熊やイノシシの害獣を避けるために、車中泊をする人が増えていると聞く。そうなると今後、ソトメシや焚火はタープで楽しみ、寝る時はコンパクトキャンパーで...という層が増えてくるのではないかと、個人的には予想しているのだが。
コンパクトキャンパーと言えば、やはり軽ワンボックスをべースにしたバンコンがオーソドックスだ。軽のバンコンのメリットは、なんといってもその汎用性だ。ベッドマットを家に置いておけば、使い勝手はほぼ軽ワンボックスだし、近所への買い物も難なくこなしてくれる。家族が同乗しても、いちいち靴を脱ぐ必要がない。
また、税金やランニングコストが安く、駐車場の確保もしやすいなど、居住空間の広さを除けばメリットは多い。
老舗ビルダー・リンエイが造る「マイクロバカンチェス」は、そんな軽キャンパーの代表モデルだ。
同モデルには、「ひとり旅(写真のモデル)」と「ふたり旅」がラインナップされているが、その違いは家具の配置と就寝スペースの広さ。
「ひとり旅」は電子レンジと冷蔵庫が別々に配置されるが、「ふたり旅」はひとつの家具の上下に収納される。それにより就寝定員が変わるのだが、僕のように身長180cm、体重85kgもあるような大柄人間が2人寝るには少々きつい。どちらかというと、小柄なシルバーカップル向けといった感じだ。
一方、「ひとり旅」は身体の大きな人間でも快適に過ごせる。しかも、電子レンジと冷蔵庫が別々になっており、しかも手を伸ばしたら届く範囲にあるのだから、ラクのひと言。TVもテーブルもあるので、車内はまさに大人の隠れ家状態。この中でゴロゴロと暮らしていたら、きっとダメ人間になるほど、ミニマルな快適性を持っていると思う。
ちなみに両モデルの共通装備として、100Wソーラーシステム、走行充電+サブバッテリー、100V電子レンジ、40L冷蔵庫、DVDプレーヤー付き大型TVがインストールされている。あとはFFヒーターとサイドオーニングでも追加すれば、かなり快適なオートキャンプができるのではないだろうか。
名前は、ひとり、ふたりと付いているが、まあ1人旅(プラス愛犬)に使うのがやはり快適なのではないだろうか。最初は物珍しいいし、楽しいので多少狭くても気にならないだろうが、その内に雨の日や雪国でもっと広いパーソナルスペースが欲しくなってくる。この空間で2日以上ベッタリしていられるのは、よほどラブラブなカップルではないだろうか。
事実、軽キャンを夫婦で使っているユーザーの多くが割と早くランクアップして、バンコンやキャブコンに買い替えるケースが多い。
これが1人なら話は別だ。1人であれば、狭さはそれほど気にならない。むしろ広すぎると落ち着かないということがある。手を伸ばせば何でも取れる空間は、実に快適なのである。
「ひとり旅」はベッドマットの一部を外せばソファーにできるので、家具に付いているテーブルを使って、釣りのポイントで道具の手入れをしたり、空気のきれいな場所で仕事...なんていう使い方が可能だ。
移動する場合も、後部のベッドはそのままでOKだし、助手席のテーブルも片付ける必要がない。まさに物ぐささんにピッタリなのである。
もちろん「ふたり旅」も、ダイネット状態では対面シートにすることが可能で、助手席テーブルを使えば差し向かいで食事をすることができる。ただ、イマドキの日本人の体型を考えれば、やはりちょっと狭い感じがするかもしれない。
最後になってしまったが、リンエイでは「ひとり旅」のオプションとして、スポットクーラーを設定している。これは停車中にエンジンをかけずに使えるクーラーで、サブバッテリーから電力を得る。満充電状態で約6時間ほど稼働するというから、夏の寝苦しさを避けるには十分ではないだろうか。外気ダクトの取り回しも非常によくできているので、マイクロバカンチェスと併せて、チェックしていただきたい。