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三菱i(アイ)の後継45度/リヤ搭載の3気筒ターボ[3B20]


リヤに載せるために不思議な構造となった三菱iのエンジン。多くの意欲的な設計が盛り込まれた乾坤一擲の快作である。

ダイハツ/スズキ両雄とは袂を分かち、独自の道を切り開くことで存在感を放った三菱i(アイ)に載せられて登場した3気筒ターボエンジン・3B20型は、後車軸よりわずかに前方にトランスミッションとともに横置き搭載して後輪を駆動、つまりMR方式のクルマである。MRでねらったのは広大なキャビン設計。前輪切れ角を大きくとれるメリットも得られた。



しかしエンジンをはじめとしたすべての部品は流用できず、新設計しなければならない。iのために設えられたのが3B20型であった。後席座面の後方/荷室床下に収めるためにエンジンは45度後傾、低く長い形状とした。シリンダーブロックは三菱自動車の軽自動車用としては初のアルミ合金製で鋳鉄製ライナーを鋳込む方式、ボア×ストロークはともに65.4mmとした。ボアピッチは80mmだから寸法には余裕があり、のちにボア/ストロークともに拡大した1.0ℓ版(3B21型)も登場している。ブロック形状はディープスカート式で、4つのベアリングキャップでクランクシャフトを締結する。

カムトレインはチェーン駆動DOHCの直打式。バルブ挟み角は36.6度で、吸気バルブ径25mm/排気バルブ径21mmの4バルブ配置。前方吸気/後方排気としたのも3B20型の特徴であった。




吸気側カムには連続可変タイミング機構:MIVECを装着、50度の可変位相角を誇る仕様。最進角時は上死点前57度〜下死点後5度、最遅角時は上死点後3度〜下死点後55度の範囲で制御する。結果、スキッシュを設けたピストン、MIVEC制御、ヘッド優先の冷却系統などを組み合わせることで圧縮比は8.8とした。なお、電子制御スロットルバルブの採用も三菱自動車の軽自動車としては初採用だった。前例のないリヤミッドシップだけに、長いワイヤーの引き回しを避けたかったためか。



軽量化にも余念がなく、先述のアルミブロック、樹脂製吸気マニフォールド、ステンレス板金製排気マニフォールドなどを用いることで、先代にあたる3G83型に対して20%ものダイエットを実現した。




ターボチャージャーは三菱重工業のTD02型で、小型軽量高応答の低速トルクを重視した仕様。トルクカーブによれば2000rpmで85Nmを発揮している。三元触媒はターボ直後に置けず、サイレンサー内部に収める構造としている。

直立させた状態。3B20型はのちに自然吸気版が登場、さらにekシリーズへの搭載のためにコンベンショナルな直立構造に仕立て直された。

直立仕様の3B20型(自然吸気版)。軽自動車初のクールドEGRなどにより圧縮比12.0を実現している。このほかターボ仕様も用意された。

■ 3B20


気筒配列 直列3気筒


排気量 659cc


内径×行程 65.4×65.4mm


圧縮比 8.8


最高出力 47kW/6000rpm


最大トルク 94Nm/3000rpm


給気方式 ターボチャージャー


カム配置 DOHC


吸気弁/排気弁数 2/2


バルブ駆動方式 直打


燃料噴射方式 PFI


VVT/VVL In/×


(i)
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