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三菱重工エンジニアリング:英Drax社がCO2回収技術「Advanced KM CDR Process」長期使用に合意


三菱重工グループの三菱重工エンジニアリング(MHIENG)と英国の大手電力会社Drax社は、Drax社が英国ノース・ヨークシャー州に保有するバイオマス発電所からCO2を回収するBECCS(Bio Energy with Carbon dioxide Capture and Storage)プロジェクトにおいて、 MHIENG 独自のCO2回収技術「Advanced KM CDR Process」を長期使用することで合意し、このほど契約を締結した。

 この世界最大の脱炭素化プロジェクトは、植物由来の燃料を使うことによりCO2排出量を正味ゼロ(カーボン・ニュートラル)にできるDrax社のバイオマス発電と、排ガスからのCO2回収技術を組み合わせ、商用規模における世界初のネガティブ・エミッション(CO2排出量が正味マイナス)実現を目指すもの。MHIENGとDrax社はバイオマス発電所を対象にCO2回収パイロット試験を2020年秋から実施しており、米国における世界最大のCO2回収プロジェクトを実現したMHIENGの実績や、多種多様な排ガス源に対応できる技術力、最新の改良型CO2回収技術が評価された。MHIENGは今回、CO2回収ライセンスの供与、プロセス設計およびEPC (設計・調達・建設)支援を行うほか、吸収液の供給なども担う。




 2030年までにカーボンネガティブ企業になることを目標に掲げるDrax社にとって初となる今回のBECCSユニットは、2024年中に同発電所内での建設が開始し、早ければ2027年にも稼働を開始する予定。年間のCO2排出量を世界最大量となる約800万トン以上(現在世界最大量である北米プロジェクトの約5倍相当)削減可能であるため、COP26の議長国である英国政府が掲げる2035年までのCO2排出量78%削減という目標の達成に大きく貢献することが期待されている。




 MHIENGが今回提供するAdvanced KM CDR Processは、MHIENGと関西電力株式会社(KEPCO)が共同開発したもの。MHIENGがこれまで納入した商用のCO2回収プラント13基全てで採用されているアミン吸収液「KS-1」に技術改良を加えた「KS-21」が採用されており、KS-1と比べて再生効率に優れ劣化も少ないといった特長があることから、運用コスト改善など経済性の向上も期待できる。本プロジェクトは、ノルウェーのモングスタッドCO2 回収技術センター(TCM:Technology Centre Mongstad)で実証試験を行っているKS-21の商用における実用化第一号となる。




 また三菱重工は、2021年7月1日付で、MHI-EMEA(欧州・中東・アフリカ三菱重工業)のロンドン本社に脱炭素事業の拠点として「DBD(Decarbonisation Business Department)」を設置し、英国におけるCCS(Carbon Capture and Storage)サプライチェーンの強化を検討。英国をはじめとする欧州・中東・アフリカ地域での脱炭素化プロジェクトに貢献していく。




Drax社のCEOウィル・ガーディナー氏:


「気候変動に対応するため世界全体が行動に移す必要があります。今回の契約は、今後10年の気候変動対策に弾みをつけるとともに、ポストCOVIDの経済回復のきっかけとなる可能性があります。BECCSのようなCO2回収技術は、気候危機への対応のために世界的に必要とされています。BECCSは大気からCO2を永久に除去するだけでなく、クリーンかつグリーンな経済成長に必要とされる信頼性の高い再生可能な電力を供給します」




MHIENGの取締役社長 CEO・寺沢賢二氏:


「Drax社の技術パートナーに選ばれたことを大変光栄に思います。当社のCO2回収技術が、英国および世界のネットゼロ目標の達成に大きく貢献できると確信しています。我々は英国におけるプレゼンスを拡大し、EMEA地域全体にCO2回収技術を展開するための拠点を構築していきます。また当社は、30年以上にわたる研究開発活動と世界各国での実績に支えられた、信頼性が高く経済的に実現可能なCO2回収技術を提供することで、地球規模での温室効果ガス削減および三菱重工グループが掲げるエナジートランジション(低環境負荷エネルギーへの転換)の実現を目指します」

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