トヨタ・ルーミーの兄弟車であるダイハツ・トール。広い空間で家族使いにも持ってこい。その居住空間は快適そのものだ。人気を秘密を見てみよう。
レポート=渡辺陽一郎[本文]/工藤貴宏[写真解説] フォト=神村 聖
快適な居住空間に荷室も広大、使い勝手は良好で家族も満足
ダイハツ・トールは全高が1700mmを超える背の高いコンパクトカーで、後席側のドアはスライド式だ。2列シートのミニバンという印象も受ける。トヨタにはOEM車のルーミーが供給され(タンクは先ごろ廃止された)、好調に売れている。トールとその姉妹車は、2014年に軽自動車の販売が急増して(同年の新車市場に占める軽自動車比率は40 %を超えた)、これに歯止めを掛けることを視野に入れて開発された。発売は16年だから約2年間でつくり上げられている。そのためにプラットフォームはブーンと共通で、車両重量はトールが約200kg重く、全高も約200mm高い。そのために走行安定性、操舵感、乗り心地に改善の余地を残している。エンジンは1.0ℓ直列3気筒だから、自然吸気仕様は幅広い回転域で動力性能が不足するが、ターボであれば余裕を感じる。このあたりは選ぶ時に注意したいが、車内は広く、後席の頭上と足元の空間はかなり広い。特に荷室の使い勝手は抜群だ。後席は床面へ落とし込むように畳めるから、ボックス状の広い空間になる。荷室の床面地上高は527mmと低く、自転車を積む時も前輪を大きく持ち上げる必要はない。後席を反転させると汚れ防止のシートが備わり、拭き取りも簡単だ。収納設備も豊富に揃う。つまりトールは、街なかを中心に走り、収納装備や荷室の使い勝手を重視するユーザーに適する。
特筆すべきポイントは後席居住性の高さ。天井が高いだけでなく前後席間距離もゆったりしていて、スズキ「ソリオ」と並んでコンパクトカーの中ではズバ抜けて広い空間を確保している(トヨタ「ルーミー」と同等)。
2020年9月の改良でエクステリアもリファイン。リヤスタイルに変更はないが、フロントはグリルやバンパーを新デザインに改め、「トール」ではホイールキャップ、「トールカスタム」はアルミホイールの意匠も変更された。
ボディカラー:ブラックマイカメタリック×レーザーブルークリスタルシャイン
オプション装備:コンフォータブルパック〈A〉(2万3100円)/パノラマモニター&純正ナビ装着用アップグレードパック(4万6200円)/特別塗装色(7万7000円)/9インチメモリーナビ〈BIG X/標準プランA〉(25万910円)/他
標準状態、後席スライド(240mmと調整幅が大きい)、そして後席格納と基本アレンジは3タイプ。スライドと格納は左右6対4分割で行なえ、最前部にスライドしても後席には無理なく人が座れるのがいい。床下収納も用意。
渡辺陽一郎はこう買う!
ボディは標準タイプとカスタムがあり、両方にターボが用意される。実用機能と価格の割安感で選ぶなら「G」を推奨する。登坂路の多い地域ではターボも検討したいが価格は12万1000円高く、軽自動車の場合の価格差6〜8万円を上まわる。
※本稿は2020年10月発売の「モーターファン別冊統括シリーズVol.128 2020年コンパクトカーのすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様や道路の状況など、現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。