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2016年にフルモデルチェンジしたスズキ・スイフト。世界戦略車へと生まれ変わった2代目以降、欧州車顔負けの走りをもたらしてくれるのがスイフトの魅力。スイフトのアウトラインを確認してみよう。
レポート=安藤 眞[本文]/小林秀雄[写真解説] フォト=中野幸次
超軽量ボディや低燃費が利点、パワーユニットは4つに大別
軽自動車のトップメーカーとして認知度の高いスズキだが、登録車開発の実力も高いことを知らしめたのが、スイフト。世界戦略車へと生まれ変わった2世代目以降、欧州車顔負けの走りを披露するようになった。現在のモデルは、2016年にフルモデルチェンジした第4世代。高張力鋼板の多用を前提に開発された新世代プラットフォーム“ハーテクト”による超軽量設計が持ち味で、車重は860㎏〜990㎏と全グレードが1t以下だ。
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他車がプレミアム路線や電動化路線にシフトしているのに対し、スイフトはエンジン主体路線。軽さによる効率の高さや価格の安さで勝負する。実燃費も良く、WLTCモード同等を出すのは難しくない。外観はオーソドックスで好き嫌いが分かれにくいが、後席ドアハンドルを窓枠に隠したヒドゥン式を採用するのが特徴。使い勝手はグリップ式に劣るとはいえ、この手のタイプのなかでは操作しやすい方だ。インテリアは黒基調の引き締まったイメージ。大径のアナログ二眼メーターを配したT型のダッシュボードは、80年代のスポーティカーを思わせるが、質感は“並み”。後席の乗降性や着座スペースは、Bセグメント車としては良好な部類だ。パワーユニットはスイフトが1.2ℓの自然吸気で、①エンジン単体、②マイルドハイブリッド、③ストロングハイブリッドの3種類。スイフトスポーツが1.4ℓターボとなる。
加速力は軽快かつダイレクト、リニアで俊敏な操舵性も好感
軽量ボディによる軽快な加速と俊敏なハンドリングがスイフトの持ち味。67kW(91㎰)に過ぎない1.2ℓエンジンでも非力さはないどころか、最高出力発生回転数の6000rpmまで気持ち良く回る。CVTの制御もなかなか巧みで、加速時もエンジン回転数だけ先走る感じはよく抑えられている。
サスペンションチューニングの方向性は、「RS」グレードとそれ以外の2種類に分かれるが、車重差が100㎏あるエンジン単体仕様とストロングハイブリッド仕様でももちろん違いはある。「RS」グレードはタイヤも含めて欧州仕様とほぼ同じセッティング。低速域では多少の硬さを感じるものの、速度が高まるにつれて快適性は増してくる。旋回時の安定性も高いが、操舵応答は過敏ではなく、切れば切っただけ曲がるリニアな感触。ロールはそれなりに許容するが、タイヤが粘っこく路面をつかむ感覚はまさに欧州車テイストだ。この傾向は「RS」だけでなく、全グレードに共通。「ハイブリッドSZ」は車重が増えた分だけ乗り心地にしっとり感が加わる。「ハイブリッドSZ」のパワーユニットは、ファイナルドライブギヤをエンジンとは反対側からアシストする1モーターのパラレル式システム。トランスミッションは5速マニュアルギヤボックスを自動変速するAGSで、クラッチが切れている間をモーターでアシストするため、変速のギクシャク感はなくスムーズだ。
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デュアルセンサーブレーキサポートをはじめとする予防安全装備を採用。ACCは一部グレードを除いて全車速追従機能を備える。リヤバンパーに備えたミリ波レーダーで車両後方を検知する安全機能も標準装備する。
ボディカラー:バーニングレッドパールメタリック ブラック2トーンルーフオプション装備:全方位モニター用カメラパッケージ(5万2800円)/スタンダードプラス8インチナビゲーション(16万5605円)/フロアマット(2万515円)/オーディオ交換ガーニッシュ・アンテナ変換ケーブル(8580円)/特別塗装色(6万6000円)/他
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☆は「XG」「ハイブリッドMG」「ハイブリッドSZ」専用色。
★は「XG 」「ハイブリッドMG 」「ハイブリッドSZ 」を除く。
△は「スポーツ」専用色。 ▲は「スポーツ」を除く。
□は「RS」「ハイブリッドRS」「スポーツ」専用色。
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「XG」と「ハイブリッドMG」を除くグレードにはエアロ形状の前後バンパーや16 インチアルミホイールを標準装備。「スイフトスポーツ」は専用エクステリアを備える。
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センターパネルを運転席側に傾け、コックピット感を演出。フルオートエアコンが全車に標準装備されるほか、一部グレードには本革巻きステアリングホイールも備わる。ナビゲーションは販売店オプションとして設定。
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後席の膝前のクリアランスは約170㎜、頭上は約50㎜で、まずまずの広さを確保。残念ながらシートにはあまりコストが割かれていない印象で、座り心地には物足りなさを感じる。
前席は、専用シートが装備される「スイフトスポーツ」だけでなく、標準車にもスポーティな形状のシートを採用。サイドサポートが大きく、横Gを受けた際のホールド性に優れる。
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開口部から約230㎜低い位置にフロアがあり、深底とすることで容量を確保。そ
の分、6対4分割可倒式の後席シートを格納すると、シートとフロアの間に段差が生じる。最大奥行きは約1460㎜で、決して広いと言える程ではない。
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2020年5月の改良で、後退時ブレーキサポートや後方誤発進抑制機能、車線逸脱など安全装備を強化。また全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールを採用するなど快適性も高まった(CVT車のみ)。
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「ハイブリッドRS」及び「ハイブリッドMG」には、1.2ℓエンジンとISG(モーター機能付き発電機)を備えたマイルドハイブリッドシステムを搭載。減速エネルギーによる発電で燃費性能を高める。
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パワートレーンは大別すると3種類だが、新たに追加された「ハイブリッドSZ」は他のハイブリッド車とはシステムが異なり、直接駆動を担う電気モーターを搭載。トランスミッションにはAGSと呼ばれる5速RMTが採用されている。
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安藤 眞はこう買う!
自分が買うとしたら、「ハイブリッドSZ」が第一候補。5速AGSの弱点をハイブリッド化で補った世界唯一の技術は所有する価値あり。第二候補は「RS」の5速MT。車重870㎏と軽自動車並みに軽いボディを生かして軽快に駆け回りたい。「スイフトスポーツ」もクルマのデキは凄く良いけれど、ちょっとパワーを持て余しそうだ。
※本稿は2020年10月発売の「モーターファン別冊統括シリーズVol.128 2020年コンパクトカーのすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様や道路の状況など、現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。