新型コロナ禍において、ますます注目を集めているキャンピングカー。興味が出てきたら、まずは手頃な軽キャンパーから楽しんでみてはいかがだろうか。三島ダイハツのクォッカは軽パネルバンをベースにしつつ、ボックスを利用して内装を自由にアレンジできるアイデアが秀逸だ。
4つの箱とテーブルを組み替えてお座敷にもベッドにもアレンジ可能
皆さんは「クォッカ」という動物をご存じだろうか。西オーストラリアのロットネット島に多く見られる有袋類の動物で、その顔が笑っているように見えることから、“世界一しあわせな動物”と称されている。
その名をマスコットネームにしている軽キャンパーが、ダイハツ三島の「クォッカ」。ご覧いただくとお気づきなると思うが、このモデル、巷に多い軽バンや軽トラックベースではない。市場では希有な、軽パネルバンベース(ハイゼット・パネルバン、写真はハイルーフ)なのである。
だが、ただ軽パネルバンのカーゴスペースに車中泊装備をインストールしただけではない。軽バンというと、運転席とカーゴスペースが壁で仕切られているが、クォッカは壁を取り払ってウォークスルーを可能にしている。またこれにより、運転席&助手席のシートリクライニング&スライドも増量。快適なドライブを実現している。
さて気になる車内だが、すぐに目に入るのが天井・壁・床一面に張られたウッドパネルだ。これは、三島の地元で採れる「富士ひのき」。強さ、耐久性、保湿性、調質性に優れた高級木材で、人をリラックスさせる沈静効果や、殺菌効果のある成分も発するという。いわゆるフェイクウッドではない本物の樹だけあって、車内に入った時の暖かみは段違いだ。
それだけではない。同じ富士ひのきを使って造られた「トランスフォーメーションボックス」が、クォッカ最大の特徴だ。4つの箱とテーブルを組み替えることで、お座敷モード(ダイネット)、ベッドなどの空間バリエーションを実現。ボックス内には、電装系や電子レンジをインストールしたり、収納スペースとして活用することもできる。
さらに、これらのボックスやテーブルは外に持ち出すこともでき、天気のいい日は外でゆったり過ごすなんてことも可能だ。
クォッカの標準装備としては、ウッド内装、100Ahサブバッテリー&走行充電システム、DCコンセント&USBだが、オプションも豊富だ。前述の電子レンジに加え、1500Wインバーター、16L冷蔵庫、車内カーテン、FFヒーター、アクリル2重窓、高断熱材、ソーラーパネルなどが揃っている。
またルーフラックやサイドデカール、アルミホイールなどといったカスタムパーツも用意されているので、好みやライフスタイルに合わせて、愛車を造っていくことができる。
さて、実際に車内で過ごしてみた印象としては、カップルもしくは、一人用の隠れ家という印象だ。中は明るい印象だが、富士ひのきの風合いが落ち着いた雰囲気を醸し出している。ベッドに横になっていると、まるでどこかのバンガローにでもいるようだ。スタイリングも斬新で、昨今流行中のアゲバンにして、オリジナルの塗装を施せば、オーバーランド調の1台に仕上げられそうである。
エンジンは660ccNAのみだが、2WDと4WDのいずれかを選択することができる。降雪地帯のユーザーや、山の奥深くに入るソロキャンパーなどは、4WDの設定がうれしいはず。
軽バンや軽トラックベースのキャンパーとは、ひと味もふた味も違う「クォッカ」。車内、車外でのお手軽キャンプが1台で完結する、魅力的なモデルだ。