1990年代、各国のレースシーンで大人気を博したツーリングカー選手権。なかでもBTCC(イギリス)は外装の改造範囲が比較的限られていたため、観客は自身のクルマと同じようなマシンが激しく競り合う姿に歓喜したもの。4月25日に開催された富士見自動車博覧会の会場で、BTCC仕様にモディファイされたアルファロメオ155を発見したのでピックアップして紹介しよう。
1980年代のツーリングカーレースはグループA規定による時代で、国内ではR32スカイラインGT-Rが90年代に大活躍したことをご記憶の方も多いだろう。かたやヨーロッパではフォード・シエラが最強のマシンとして君臨したが、イギリスのツーリングカーレースは1987年にBTCCとして心機一転。また90年にはグループAではなく2リッター以下の自然吸気エンジンにレギュレーションを統一。間口を広くしたことで多彩なマシンが参戦しやすくなった。
アルファロメオがBTCCに参戦したのは1994年のこと。155ツインスパークを改造した155TSシルバーストーンでホモロゲーションを取得、2台体制で挑戦する。参戦初年の1994年は開幕から5連勝、21戦中9勝を挙げてチャンピオンを獲得した。この155TSシルバーストーンはホモロゲマシンのため台数が非常に少なく流通量はほぼ皆無。手に入れたくても入らないマシンだからオーナー自ら製作したというマシンを紹介しよう。
ルックスを再現しただけでエンジンのチューニングなどは行っていない。意外にも故障は少なく保っているそうで、こまめなオイル交換やベルト類のメンテナンスには気を使っているという。