本年2月より、ボルグワーナーが商用車セグメント向けに800ボルト電気モーターの発売を2024年より開始すると発表した。ここでは、そのリリースを翻訳して、同製品の概要をお伝えしよう。
TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)
ボルグワーナーは2021年2月、同社の最新高電圧ヘアピン(HVH)電気モーターである『HVH 320』について、ヨーロッパの大手OEMを含めた商用車メーカー向けとして、多様なハイブリッドおよび電動車に電力を供給する準備ができている、と発表した。『HVH 320』は800ボルトの機能を備えており、4つのバリエーションで利用可能である。その生産は2024年に開始される予定である。これにより実現する多面的プラットフォームは、共通の電気ドライブトレインという商用車メーカーの目標をサポートし、そして約97%のピーク効率と400kW以上のパワーを実現するという。
ボルグワーナー・パワー・ドライブ・システム社長兼ゼネラルマネージャーのステファン・デマール博士は、以下のように述べた。
「『HVH320』を電気モーターファミリーに追加することで、当社の製品群はより強化されます。最先端のクリーン推進技術は市場のニーズにマッチしたもの。これはボルグワーナーによる優れた取り組みの好例と言えるでしょう。当社の定格800ボルトの電気モーターを使用すると、ドライバーは充電時間を大幅に短縮できます。より高い電力密度を達成できるので、電気トラックの未来はさらに明るいものとなるでしょう」
ボルグワーナーは10年以上にわたるモーター生産の経験を活かして、ドライバーのニーズを満たすことができるモジュール式で柔軟な『HVH320』モータープラットフォームの4つのバリエーションを設計した。モーターは最大1270Nmのトルク出力に到達しながら、クリーンで静かな動作を提供する。この技術はブレーキをかけたり、下り坂を走行しながら発電することで、バッテリーを充電する。
『HVH 320』モーターはボルグワーナーの『HVH』シリーズモーターのポートフォリオに新しく追加される。同シリーズ製品は、小型乗用車と大型商用車の両方に提供されている。これら幅広い用途で用いられるモーターは、特許取得済みの固定子巻線技術を搭載している。統合が容易であり、ハウジングに収納されたモーターとして、また回転子・固定子アッセンブリーとしても利用できる。さらにモーターは車両全体の様々な位置で使用できる。ボルグワーナーは同じく次世代の800ボルトレベルを実現できるインバーターも提供している。