メルセデス・ベンツのEV(電気自動車)戦略が加速している。2021年になってから3台目となる新型EV「EQB」を上海モーターショーで発表したのだ。EQBのベースとなっているのはGLBで、3列シートを備えた7人乗りのSUVとなっている。使い勝手も良さそうで、これは人気が出る予感が大だ!
3列シート・7人乗りSUVの新型EV「メルセデス・ベンツEQB」
2021年に入ってからコンパクトハッチのEQA、ビッグサルーンのEQSと立て続けにEVを発表してきたメルセデス・ベンツだが、4月21日から開催される上海モーターショーで、SUVの新型EV「EQB」を発表した。EQBは北京ベンツ汽車有限公司(BBAC)で生産され、中国での2021年中に発売がスタートする予定。またEQBはハンガリーでも生産され、欧州で21年末、そして22年には米国市場に投入される予定だ。日本での発売時期は今のところアナウンスされていない。
EQBのボディサイズは全長4684mm、全幅1834mm、全高1667mm、ホイールベースは2829mm。ベースのGLBと比べると、全長が50mm長く、全幅とホイールベースは同一、全高は39mm低くなっている。ゆとりある室内空間はGLB譲りで、1列目シートのヘッドルームは1035mm、2列目シートのヘッドルームは979mm(5人乗りの場合)を確保している。
また、GLB同様にオプション(中国では標準)で3列目シートを追加することができ、身長165cmまでの乗員が快適に過ごせるのもEQBの注目ポイント。この3列目シートは床下に格納してラゲッジルームを拡大することも可能だ。荷室容量は5人乗りの場合は495〜1710リットル、7人乗りの場合で465〜1620リットルとなる。
デザインもGLBのボクシーなスタイルを受け継いでいるが、フロントにブラックのパネルをあしらっていたり、フロントとリアに連続するライトストリップを設けるなど、各部にEQシリーズに共通するデザインが採用されている。
EQBのCd値は0.28。開口部のないグリルや空力性能に優れたエアロホイール(最大20インチ)、前後ホイールスポイラーなどの採用が効果を発揮している。
インテリアもGLBと共通の眺め。ステアリング奥にはワイドスクリーンディスプレイが広がり、中央上部にはジェットタービンのような円形のエアアウトレットがあしらわれている。EQBらしいのは、そのエアアウトレットやトリム、キーなどにロゼゴールド色があしらわれていること。このロゼゴールド色は液晶メーターの文字などにも用いられている。
EQBのバッテリー容量は66.5kWh(欧州仕様)。EQB 350 4MATICの場合、航続距離は419km(WLTPモード)となる。中国でのEQBはAMGライン付きの最上級モデルでモーターの出力は215kW、欧州仕様はFFと4WDが選べるほか、モーターは200kWを超える複数のモデルが用意される。
ちなみにEQBのバッテリーはドイツのカメンツ工場とポーランドのジャウォル工場で生産されるが、どちらもCO2ニュートラルとして設計された工場だという。
EQBは車載充電器を用いて、最大11kWの交流充電を行うことが可能だ。直流の急速充電ステーションでは高速充電が可能で、最大100kWの電力で充電され、充電時間は30分強。標準装備のナビゲーションには、最大充電量と充電可能な時間を考慮して、目的地までの最短ルートを計算する機能も備わる。
ダイムラーAGの中国担当取締役であるフーベルトゥス・トロスカ氏は、中国はメルセデスにとって最も重要な乗用車販売地域であるだけでなく、電気自動車の世界的な市場でもあると前置きした後、「電気自動車であるEQBをここ中国で世界初公開できることを大変うれしく思います。7人乗りの新型EQBは、家族を大切にするお客様のニーズに応えます。現地での生産拠点を確保することは、中国での持続的な成長のための決定的な要因の一つです。中国で電気自動車のEQBを生産することを楽しみにしています」と述べた。