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内燃機関超基礎講座 | V6との端境、大排気量4気筒の特質を生かす:日産QR型


2.5ℓの排気量、V6でいくか4気筒でこなすか。車両特性によって両者を使い分ける日産のVQ25/VQ20型の特徴をご紹介しよう。

QR20DE

QR型としての初登場は2000年8月にデビューした『ブルーバード シルフィ』への搭載だった。このとき載せていた仕様は直噴式のQR20DD型で、その2ヶ月後の2000年10月発売の『エクストレイル』にポート噴射式のQR20DEがお目見えしている。




ボア×ストローク値は89.0×80.3mmで、オーバースクエア設計。鋳鉄ライナーを持つオープンデッキ構造のアルミ合金製ブロックは、850気圧の高圧鋳造製法が用いることで薄肉精密構造を実現し軽量化を果たした。ハーフスカート構造+ロワブロックでクランクを強固に締結し、支持剛性を高めている。

コンパクトバランサー

QR型はバランサーを備えていることも特長、その位置もユニークだ。エンジンをトランスミッションと締結してパワープラント全体で捉えると、重心は勢いトランスミッション側に寄ることになる。そうなると1番側(メインプーリ側)のエンジンマウントにストレスがかかる。ならば4気筒エンジンに発生不可避の2次慣性力を抑えるためにバランサーを備えるとき、そちら(1番側)に寄せた構造とすれば効率的に効果を発揮できるはず。そのように考えて実現したのが「コンパクトバランサーシステム」で、通常のバランサーがクランクシャフトとの同等の長さを持つのに対して2気筒分の短さとしながら、エンジンで発生する2次慣性力の75%の力で振動を抑えることに成功した。

QR25DE

QR25型4気筒エンジンは、2001年にU30型プレサージュ/バサラに搭載され登場。QR20DE/DDをベースに、ストロークのみを大幅に延長することで2.5ℓとした直列4気筒エンジンである。QR20DE/DDは89.0×80.3mmのショートストローク設定だったが、QR25DEでは実に100.0mmという他に類を見ないほどのロングストロークとなっている。なお、ボアピッチは97mm。ボア同径ということでQR20とは当然バルブ径/挟み角は同じ仕様で登場した。カムトレーンはタイミングチェーン駆動で、6.35mmピッチのサイレントチェーンを用いる。




2007年の2代目エクストレイルに搭載された仕様は第2世代ともいえる改良型とした。直径12mmの小径点火プラグを用いることで冷却水容量を拡大し耐ノッキング性能を高めた。このタイミングで、特徴的だった「前寄りバランサー」は、エンジン中央に改められている。

QR25DD(直噴仕様)

QR型としての初登場が直噴仕様だったのは前述のとおりで、QR25にも直噴仕様が用意されていた。低中負荷域では空燃比35〜40のリーン成層燃焼を、高負荷域ではストイキ均質燃焼を使い分ける制御で、スワールコントロールバルブによって前者:成層燃焼時でスワールを強く発生させていた。燃料噴射圧は、均質燃焼時6MPa〜成層燃焼時11MPa間の使い分けである。




なお、両者の橋渡し領域ではEGRを加えるストイキ均質燃焼とし、こちらはおよそ空燃比20のリーン燃焼状態としていた。導入方法は、吸気カムフェーザーによる最大33度のオーバーラップを用いる内部EGR式である。

北米向けにはスーパーチャージャー過給のQR25DER型もラインアップする

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