4回目を数えた静岡・三保レトロカーフェスティバル2021&いすゞ+スバルミーティングのミーティング。主催クラブがジェミニを対象としているだけに、いすゞ車が会場には押し寄せた。今回のレポートでは、普段お目にかかることの少ないいすゞのレア車をピックアップしてみた。
REPORT&PHOTO●増田満(MASUDA Mitsuru)
ヒルマン・ミンクスもエルフも登場。いすゞファンにはたまらない1日
太平洋戦争前から自動車生産を手掛け、国内有数の歴史をもついすゞ自動車。1953年にはイギリスのルーツグループと提携してヒルマン・ミンクスのノックダウン生産を開始して乗用車市場へ進出。その後、ベレットや117クーペ、ピアッツァやジェミニなど一時代を築いたものの、1990年代以降は乗用車部門が急激に業績が悪化。1993年には小型乗用車の自社生産を断念、2002年にはSUVの生産も中止して乗用車市場から完全撤退してしまう。
現在は商用車メーカーだが、過去には様々な乗用車を世に送り出してきた。今回は残存数が減る一方のいすゞのレアモデル車を見ていこう。
フローリアンが15年ぶりにモデルチェンジをして1983年に発売されたのがフローリアン・アスカ。当時提携関係にあったアメリカのGMと共同で開発した世界戦略車で、オペル・アスコナのほかGM各ブランドから兄弟車が発売された。
国内では当初フローリアンの後継車であることを周知するためフローリアン・アスカを名乗ったが、後にフローリアンが取れアスカだけになる。いすゞ初のFF方式を採用した4ドアセダンで、1.8と2リッターのガソリンエンジンを搭載。後に2リッターディーゼルターボや5速ATのNAVi5、SOHCターボを追加。1985年にはスポーツモデルとしてイルムシャーも発売された。
話が前後してしまうが、この日はいすゞが1953年にノックダウン生産を開始したイギリス、ルーツ・グループのヒルマン・ミンクスも参加していた。写真は1961年のマイナーチェンジ以降になる後期型で、関東近辺の旧車イベントに参加されることが多い個体。実に50万キロを超えてなお、元気に走っているそうだ。
1993年の東京モーターショーにコンセプトカーとして出品されたヴィークロスのスタイルをそのままに、コンセプトカーはジェミニをベースにしていたが、これをビッグホーンに切り替えて1997年に発売されたのがビークロス。SUV的な立ち位置ながら、スペシャルティカーとしての側面ももち、当時先進的だったバックカメラの標準装備などが特徴だった。
新車価格295万円は当時としても意欲的な設定だったが、国内より海外で販売台数を伸ばした。そのため国内に残存する個体は非常に少ないが、この日は3台が並ぶ光景を見ることができた。
続けてお伝えしている静岡・三保レトロカーフェスティバル2021&いすゞ+スバルミーティングの模様。次回はスバルを紹介する予定だ。