吾輩はスズキ・ジムニーである。1986年の生まれで、型式はM-JA71Cだ。金属のルーフもエアコンもない、切替え式のパートタイムの四輪駆動車である。錆も進み、あちこちがへこんでいるので、ゆっくりと余生を送ろうとしていたが、週に1回、旅に出ることとなる。今回は、ソーラーパネルで発電してみる。そして、ご飯は、飯ごう炊飯でカレーライスだ。
TEXT &PHOTO◎伊倉道男(IKURA Michio)
吾輩はスズキ・ジムニーである。1986年の生まれで、型式はM-JA71Cだ。金属のルーフもエアコンもない、切替え式のパートタイムの四輪駆動車である。錆も進み、あちこちがへこんでいるので、ゆっくりと余生を送ろうとしていたが、週に1回、旅に出ることとなる。
吾輩はガソリンをエネルギー源にして活動しているのだが、他のメンバーは色々なエネルギー源を使っている。薪、ガス。灯油、そして電気だ。それぞれの特性を理解して、どうアウトドアを楽しむかでメンバーを選んでいくのだが、これはアウトドアシーンに限らず、日常生活でも必ず役に立つ。
地球温暖化の問題、エネルギーの未来など、「さまよえるエネルギー問題」のニュースを理解する上でも重要な知識となるはずだ。
アウトドアに話を戻そう。晩秋や冬は暖を取りたい。薪ストーブや灯油ストーブを使うのが最も効率が良いだろう。だが、火を使用するのは、テントでも車中泊でも引火の恐れがある。
その点では電気は一番安全なエネルギーと考えられる。だが今のところ「電気を暖房として使うのは力不足である」と、言わざるを得ない。車中泊において、電気毛布をシュラフの中に入れるが今のところ限界ではないかと思う。1200Wの電気ストーブは105Aのバッテリーでは1時間はもたない計算だ。電気毛布は約100W程度の消費なので、105Aのディープサイクルバッテリーなら一晩は暖かく過ごせるはずだ。
さて、シンプルにアウトドアを楽しむなら、電気にはそれほどの重要性はない。照明は電気を使いたくないのなら、ガソリンのランタン、灯油のランプもある。もちろん焚き火を照明として済ませることもできるであろう。
電気製品は「他のエネルギー源を使う器具を電気で賄うには?」という発想で発展してきた物が多い。ある意味、電気器具のほうが代用品である。しかしスマホやタブレット、パソコンなどはそうはいかない。これらは生まれながらの電気製品なのである。長期滞在でテントを秘密基地のように楽しむなら、電気は必要なエネルギー源である。
一泊2日ほどのアウトドアなら、ポータブルバッテリーなどを家庭で充電して持参すれば良いが、長期の滞在キャンプとなると、当然現地での発電が必要となる。例えば昼間は移動として夜は宿泊という旅のパターンなら、クルマに走行充電器を装着して移動中にバッテリーをチャージしていく方法が良い。同じ場所に数泊以上するキャンプなら、ソーラーシステムが良いだろう。
キャンピングカーなら、ルーフに大きなソーラーシステムを装着しておけば良いのだが、ソーラーシステムは角度や日照の状態で発電量が左右されるので、駐車位置も考慮せねばならない。またソーラーシステムの性能は、表記を鵜呑みにしてはいけない。すべての器具が表記の半分の性能が出れば良い、そう吾輩は考えている。
さて結果であるが、ソーラーパネルの表記の性能の半分以下の100Wで太陽光線の角度や日照を半分と考えて5時間と計算した。一日500W充電出来るのではないかと期待している。このくらいの電力を生み出せるなら、毎日バッテリーが空になるまで舟を楽しむことはできないが、本来の目的であるパソコンや撮影機材の充電、夜間の照明なら、充分に賄える性能はあるようだ。日照中は撮影に出掛けて夜は動画や静止画の編集。そして現地からサーバへの画像やテキストの送り込み、それが再生エネルギーで賄えるなら、こんなありがたいことはない。そしてなによりもガソリンの発電機のように音が出ず、無音での発電は自然界では嬉しい限りだ。
ー吾輩はスズキ・ジムニーである。型式はM-JA71C。名前はまだない。だがチームの名前は考えた。「プチ馬鹿ンス冒険隊」これ、どうかな?ー
最近流行のソロキャンプでの料理は脱網(アミ)、脱カレー。つまり、昭和のアウトドアの主流であったカレーや焼き肉は、一般的過ぎてだれも作らないメニューになった。でもどうなんだろう、別に人目を気にすることもなく、昭和を楽しむのも良いではないか。あちこちのキャンプサイトで、お店でしか見たことがないようなすごい料理をしているのなら、僕はカレーの香りで彼らを駆逐してあげちゃおうかとも思う。
「見た目はあの林間学校のカレーライスだが、味は少し大人のカレー」になればとハウス食品の「バーモンドカレー辛口」と「こくまろカレーの甘口」をブレンドする。両極端のルウを用意した方が個性的なカレーになるはずだ。さぁてどうかな。