日産期待のニューモデル、ノートがいよいよ街を走り始めた。プラットフォームも新規、e-POWERも第二世代、デザインも新しい! では、その走りは実際にどうか? いつものコースで燃費も測ってみた。

TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

ボディカラーはダークメタルグレー

新型ノート、写真を見て「カッコイイ」と思ったが、実物も良かった。デザイナーは「コンパクトカーの概念を打ち破りたいと思った」と、新型ノートのエクステリアについて説明した。「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」がテーマなのだという。日産がこれから電動化に向かっていく変革期にふさわしい、新しいデザインテーマである。その先駆けがノートだ。この路線で行くのだとすれば、しばらく日産の新車に期待できそうだ。

発売が待たれる電気自動車のアリア(Ariya)

アリアのサイドビュー。

新型ノート、実は2020年に発表されたクロスオーバーEV(電気自動車)のアリアが同じテーマでデザインされており、サイドビューを比べてみると共通性がよくわかる。両者ともヘッドライトを起点にしたプレスラインがリヤに向けて走っており、その下に面が広がっている。その面はインバース(凹面)になっており、景色の映り込みが情緒的なニュアンスを醸し出す仕掛けだ。小難しい解釈は抜きにして、「賢く見えるデザインだな」と感じた。

全長×全幅×全高:4045mm×1695mm×1505mm ホイールベース:2580mm 車重:1220kg  ちなみに、前型ノートは 全長×全幅×全高:4100mm×1695mm×1525mm ホイールベース:2600mmだった。

トレッド:F1490mm/R1490mm 最低地上高:120mm 最小回転半径:4.9m

全長はあえて55mm短くした(全長4045mm)。ホイールベースも20mm短くなっている(2580mm)。そのせいで後席ヘッドルームもニールームも狭くなっているのだが、前代が広すぎたともいえる。狭くしたというより、余剰分をそぎ落としたと表現したほうがよさそうだ。身長184cmの筆者が運転席に座った状態で後席に移動してみたが、膝の前にたっぷり余裕が残った。頭上スペースも申し分ないし、閉塞感も感じない。

ホイールベースは前型より20mm短くなったがけっして狭さは感じない。
身長184cmの筆者が運転席に座った状態で後席に移動すると膝回りはこのくらい余裕がある。

ホイールベースを短くしたのに加え、ステアリングの切れ角を大きくして最小回転半径4.9mを実現した。先代は5.2mで、新型はBセグメントのトップクラスになった。Uターンするときだけでなく、ファミレスやショッピングモール、観光地の駐車場などで取り回しの良さについて実感する。小回りが利くのはなんとも楽だ。



ついでにいうと、ステアリングギヤ比は先代の18.3から15へとクイック化されている。「15くらいのところが修正舵を一番小さくできるポイントだと考えている」と開発担当エンジニアは説明した。ブラシレスの電動パワーステアリングも強化している。修正操舵を少なくするのはステアリグギヤ比のおかげだけでなく、剛性を向上させた恩恵だ。路面からの入力を受け止めつつ伝達するサスペンションとステアリング、それにボディの剛性をそれぞれ向上させた。だから新型ノートは、ただ小さくて小回りの利くクルマではなく、動きがしっかりしているし、しっかりしているから走らせるのが楽しい。

室内長×幅×高:2030mm×1445mm×1240mm 乗車定員:5名

ステアリングギヤ比は先代の18.3から15へとクイック化されている。試乗車の内装色はブラック。

インテリアは「コンパクトカーであることを感じさせない、非常にリッチなテイスト」を狙ってデザインしたという。先代ノートはガソリンエンジン仕様と(ライフの途中で追加された)e-POWERの2本立てだったが、新型ノートは、エンジンで発電した電力でモーターを駆動して走るe-POWERに一本化した。ガソリンエンジン仕様をラインアップから落とすことで、ブリッジ型のコンソールを採用することができた。パワートレーンと機械的につながったATセレクターとの両立を考えなくて済むがゆえに採用できた構造である。「P」「R」「N」「D/B」の各レンジに切り換えるシフトは電気的なつながりを持つのみだ(いわゆる、「バイ・ワイヤ」)。

車室内中央部を前後に貫く太いセンターコンソールは、ブラックで統一されたスイッチや加飾と合わせ、デザイナーが主張するとおり、「ひとクラス上」に感じさせる。

右側下にAUTO HOLD。EVモードのボタンは長押しすると、バッテリーの充電を優先するチャージモードになる。

ブリッジ型のコンソールを採用

車室内中央部を前後に貫く太いセンターコンソールは、ブラックで統一されたスイッチや加飾と合わせ、デザイナーが主張するとおり、「ひとクラス上」に感じさせる。新型の電制シフトは大型のコンソールボックスに肘を乗せて操作することを前提にしているため、腕の位置が決まって操作しやすい。ちなみにこの電制シフトもアリアが初出しで、ノートはその流れを組んだ格好。小柄なノートはセンターコンソールで左右を分断したのとは対照的に、大柄なアリアは前席左右のウォークスルーが可能な広々感を強調しているのが面白い。

こちらはアリアのインテリア

ドライブモードは「SPORT」「ECO」「NORMAL」の3種類。デフォルトはECOだ。

その電制シフトの右に「D-MODE」のスイッチがある。ドライブモードの切り換えスイッチで、「SPORT」「ECO」「NORMAL」の3種類に切り換えることが可能だ。デフォルトはNORMALではなく、ECOだ。ECOはアクセルペダルをオフにしたときに強い減速力が発生する。先代ノートはEVの日産リーフと同様、アクセルペダルの抜き加減で完全停止まで持ち込むことができた。状況にもよるが、ブレーキペダルに踏み換える必要がない。



エネルギーモニター
ブレーキペダルを踏むと、こうなる。

ところが、市場の反応はいまひとつだったようだ(好意的な声もあっただろうが)。「極低速側の扱いにちょっと違和感がある」との声を尊重し、極低速ではクリープするようにした。この変更に合わせて、新型ノートでは停止時に車両側がブレーキを保持する「AUTO HOLD(オートホールド)」がデフォルトで機能するようになっている。極低速まではアクセルペダルの抜き加減で減速し、停止する際はブレーキペダルを踏む。完全停止してAUTO HOLDのアイコンが白から緑に転じたら足を離すのが、新型ノートのノーマルな付き合いかただ。アクセルペダルのオンオフだけで加減速が制御できるワンペダル制御に慣れていた先代ノートのオーナーは、残念に感じるかもしれない。

こちらも
ブレーキペダルを踏むとリヤランプが光る。芸が細かい。

メーターに表示させるグラフィックによりけりだが、パワー/チャージメーターなど、車両をかたどったグラフィックが表示されているモードでは、ブレーキランプの点灯に連動してグラフィックのブレーキランプが赤く光る。ワンペダル制御の際にブレーキランプの点灯を確認できるのが便利だ。

プロパイロットは、メーカーオプション。

「EV」モードの追加も市場の声を反映したものだろう。この機能に関しては「先代のほうがよかった」と反感を買うことはないはずだ。冷間始動時は冷却水やオイルの暖機、それに触媒暖機などのために結構威勢良くエンジンが回る。「家から出るときは静かに動かしたい」と考えるユーザーに最適な機能が追加された。EVモードのボタンは長押しすると、バッテリーの充電を優先するチャージモードになる。

WLTCモード燃費:28.4km/ℓ  市街地モード28.0km/ℓ  郊外モード30.7km/ℓ  高速道路モード27.2km/ℓ

エンジンは静かになり、冷間始動時を除いて日常のほとんどのシーンでその存在を意識することはない。新型ノートでは、ABSなどで利用する車輪速センサーが計測する回転角速度の情報から、路面の荒れ具合を検知。「荒れている=ロードノイズが大きい」と判定した状況で積極的にエンジンを始動して充電し、「なめらかな路面=静か」な状況ではエンジン始動による発電を極力避ける制御を取り入れた。



この新しい制御も効いているのだろうが、エンジン音の車室内への侵入を抑える対策が徹底していることもあり、先代では耳障りだったエンジン音は、新型ではほとんど気にならなくなった。メーターに表示されるグラフィックの変化で、「いまエンジンかかっているんだ」と気づくほどだ。

音・振動対策は念入りに行なっている。
このスポンジもエンジンルームから車室内への、音の侵入を防ぐためだと思われる。

先代ノートe-POWERはもともとガソリンエンジン車を前提に設計されていたシャシーにモーターを載せた格好だった。リーフと同じモーターを使ったが、大きな駆動反力をシャシーが充分に受け止められないこともあり、出力/トルクを抑えていた。新型ノートのシャシーはe-POWERの搭載を前提に設計されている(アライアンスのルノー・ルーテシアなどと共用するCMF-Bプラットフォーム)。シャシーもサスペンションも、大きな駆動反力をしっかり受け止められることから、最高出力を6%向上(109ps→116ps)、最大トルクは10%向上させた(254Nm→280Nm)。

エンジン形式:直列3気筒DOHC+e-POWER エンジン型式:HR12DE 排気量:1198cc ボア×ストローク:78.0mm×83.6mm 圧縮比:12.0 最高出力:82ps(60kW)/6000rpm 最大トルク:103Nm/4800rpm 過給機:× 燃料供給:PFI 使用燃料:レギュラー

モーター:EM47型交流同期モーター 最高出力:116ps(85kW)/2900-10341rpm 最大トルク:280Nm/0-2900rpm(写真はモーターではなくパワーコントロールユニット)。ちなみに前型のモータースペックはモーター:EM57型交流同期モーター 最高出力:109ps(80kW)/3008-10000rpm 最大トルク:254Nm/0-3008rpm 

段違いの速さというわけではないが、停止状態あるいは低車速からフル加速するシーンでは、レスポンス良く、なかなか鋭いダッシュを披露する。一般道や高速道路での追い越しも楽々とこなす実力の持ち主だ。燃費もいい。HR12DE(1.2ℓ直3自然吸気)のエンジン形式に変わりはないが、シリンダーヘッドの冷却構造を1段から2段に変更して冷却性能を高め、ノッキング限界を高めることで最適な進角で点火できる領域を広げている。燃費を向上させるためだ。リヤのハブベアリングをフリクション低減効果の高い最新世代に変更したことなども含め、クルマ全体で燃費向上を図っている。

リヤブレーキは、ドラム式。
ブリヂストンのECOPIAを装着。 サイズは、前後とも185/60R16
ルノー・日産・三菱アライアンスで使うBセグ用モジュラープラットフォームCMF-BのリヤサスはTBA。
フロントはストラット式サスペンションを使う。

いつものように小田原厚木道路を小田原西ICから厚木料金所まで32km、左側車線を基本に走った際の燃費は33.7km/ℓだった(計測開始時のバッテリーは満充電、厚木料金所での残量は4分の3)。ほぼ同条件で計測したキックスは24.5km/ℓ、セレナe-POWERは21.6km/ℓだった。走り方にもよるが、(控え目にいって)20km/ℓ

は軽い、という印象だ。

LEDヘッドライトシステムはメーカーオプション。標準はハロゲン。

フロア手前側の最大幅は約1260mmと広い荷室を確保している。後席を倒せば最大1480mmの奥行きになる。

新型ノートは、「まぁ、いいんだけど、ここはこうだったらもっといいのに」という先代ノートe-POWERの改良ポイントを、メカニズムだけでなくエクステリア、インテリアも含め全方位で解消に努めた。そのうえで、徹底的に磨き込んだ格好だ。結果、格段に洗練されたクルマになっている。

日産ノート X 2WD



全長×全幅×全高:4045mm×1695mm×1505mm

ホイールベース:2580mm

車重:1220kg

サスペンション:Fストラット式 Rトーションビーム式

駆動方式:FF

エンジン形式:直列3気筒DOHC+e-POWER

エンジン型式:HR12DE

排気量:1198cc

ボア×ストローク:78.0mm×83.6mm

圧縮比:12.0

最高出力:82ps(60kW)/6000rpm

最大トルク:103Nm/4800rpm

過給機:×

燃料供給:PFI

使用燃料:レギュラー

モーター:EM47型交流同期モーター

最高出力:116ps(85kW)/2900-10341rpm

最大トルク:280Nm/0-2900rpm



バッテリー:リチウムイオン電池

燃料タンク容量:36ℓ



WLTCモード燃費:28.4km/ℓ

 市街地モード28.0km/ℓ

 郊外モード30.7km/ℓ

 高速道路モード27.2km/ℓ

車両価格○218万6800円



メーカーオプション:85万1400円

44万2200円(インテリジェントアラウンドビューモニター+インテリジェントルームミラー+USB電源ソケット+ワイヤレス受電機+NISSAN CONNECTナビゲーションシステム地デジ内蔵+NISSAN CONNECT専用車載ユニット+プロパイロット+SOSコール+インテリジェントVSI後側方衝突防止支援システム+BSW+RCTA後退時車両検知警報+ETC2.0ユニット)



7万3700円(ホットプラスパッケージ+クリアビューパッケージ+高濃度不凍液+PTC素子ヒーター)



33万5500円(185/60R16タイヤ+アルミホイール+LEDヘッドライト+アダプティブLEDヘッドライトシステム+LEDフォグランプ+本革巻ステアリング+ピアノブラック調+リヤセンターアームレスト

ディーラーOP:17万3056円

情報提供元:MotorFan
記事名:「 日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に洗練された。それを支える技術を噛みしめながらドライブしてみた。