日産自動車株式会社は18日、クロスオーバーSUV新型「キャシュカイ」を本年夏より、欧州市場に投入すると発表した。初代は日本でも「デュアリス」として販売されていた「キャシュカイ」。先代モデルや同じプラットフォームを使用している新型「ローグ」(日本名:エクストレイル)、先日発表されたばかりの三菱アウトランダーと写真で比較してみよう。
2007年にデビューした日産「キャシュカイ」は、欧州市場でCセグメントにおけるクロスオーバーSUVのパイオニア的モデルとして市場を牽引し、同市場で最も売れている日産のモデルとなった。3代目となる新型モデルは、洗練されたデザイン、快適性、効率的なパワートレインなどの最新技術を採用し、同セグメントに新機軸を打ち出そうと開発された。
また、新型「キャシュカイ」は持続的な成長と安定的な収益の確保を目指す事業構造改革「Nissan NEXT」において、欧州市場で重要な役割を担う最新モデルだ。
洗練されたエクステリアデザイン
新型「キャシュカイ」は、歴代のデザインを引継ぎながら、引き締まったシャープでモダンなデザインが採用された。Vモーショングリルやリアに流れるようにデザインされたフローティングルーフ、そしてシンプルでありながらも、大胆かつ力強い印象を与える、緻密で張りのあるラインなど、日産のグローバルデザインランゲージが活かされている。
くっきりとしたショルダーラインと、引き延ばされたホイールベース、そして印象的な20インチのアルミホイールなどによって力強さを表現している。また、スリムな形状のLEDヘッドライトは、シャープな印象を与えるだけでなく、走行環境や歩行者の有無に合わせて自動で配光を調節する技術を採用した。
サイドのデザインは、フロントからリアにかけて流れる1本の特徴的なキャラクターラインが、力強くスポーティーな印象をもたらしている。テールランプは点灯時に立体感のあるデザインとすることで、強い存在感を示す。
エクステリアカラーは、11種類のモノトーンと5種類のツートンの計16種類のカラーバリエーションが用意された。
さらに進化した室内空間
新型「キャシュカイ」の室内空間は、快適で使いやすいだけではなく、同セグメントの新機軸となる高い質感を備えている。
「表現力豊かなデザインを持つ新型『キャシュカイ』は、お客さまの期待にお応えできるモデルです。プレミアムでありながらも実用的であり、多くのお客さまにお選びいただけることでしょう。先進性と使い勝手の良さのレベルをさらに引き上げることで、他の追随を許さないレベルに新型『キャシュカイ』は到達しています。」
と、日産デザイン欧州の理事であるマシュー ウィーヴァーは述べた。
新型「キャシュカイ」の室内は、いつまでも乗っていたくなるような、心安らぐ空間を目指してデザインしたという。新しいシート素材やアンビエント照明によって、乗る人すべてにプレミアムな体験を室内で提供するという。質感の高い素材や先進の機能、細部の造形に至るまで、あらゆる点で、最先端のデザインと高い実用性を両立させた室内空間を実現している。
「デザイン、エンジニアリング、商品企画の各部門は、お客さまのドライビング体験を、より快適で洗練された、そして利便性と満足度が高いものにするため、これまで以上に連携を強化しながら開発を進めてきました。新型『キャシュカイ』は、お客さまとそのご家族やご友人に特別な体験を提供します」
と欧州日産の商品企画の理事である、マルコ フィオラヴァンティは述べた。
2種類のパワートレインを採用 欧州初のe-POWERも設定!
新型「キャシュカイ」は、新開発の12Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた1.3ℓの直噴ターボエンジンを搭載している。12Vマイルドハイブリッドシステムは、高性能リチウムイオンバッテリーとの組み合わせにより、減速時のエネルギーを回生して走行時に利用することで、燃費の向上とCO2排出量の低減を図る。
また、欧州初となるe-POWERも追加投入する予定だ。キャシュカイe-POWERは、高出力が求められる欧州市場のニーズに応えるため、日産が世界で初めて開発した可変圧縮比エンジン「VCターボ」を発電専用エンジンとして搭載する。コンパクトで高出力、そして高い燃焼効率を実現する同エンジンをe-POWERと組み合わせることで、より高効率な電動パワートレインを実現する。
進化した新しいプラットフォーム
新型「キャシュカイ」は、欧州市場で初めてアライアンス CMF-Cプラットフォームを採用したモデルで、最先端の車体構造とテクノロジーアーキテクチャを具現化している。
車体の骨格部分には従来よりも多く軽量素材を採用。最新のプレス技術と溶接技術を用いることで強度を高めると同時に、軽量化も実現している。また樹脂バックドアの採用や、先進的な製造技術を導入することで、現行モデルと比較して60kgの軽量化を実現するだけではなく、車体剛性を41%向上させた。これにより、ワンランク上の洗練された走りと安定した乗り心地を実現するとともに、事故時の安全性も格段に向上させている。これらの技術革新により、新型「キャシュカイ」の全体的な性能を引き上げている。
CMF-Cのプラットフォームを採用した新型「キャシュカイ」は、前後のサスペンションに改良を施した。フロントサスペンションにはマクファーソンストラット式を採用。リアサスペンションには、2WDモデルはトーションビーム式、20インチのホイールを装着する4WDモデルはマルチリンク式を採用した。
また、パワーステアリングも改良し、ハンドル操作時の応答性と中立付近の安定感を向上させている。
コネクテッド技術
新型「キャシュカイ」は、ユーザーのスマートフォンとのスムーズに連携し、最大7台のデバイスとの接続を可能とする車載WiFi、車両の状態をモニタリングする専用アプリNissanConnect Servicesなど、先進的なインフォテインメントシステムを搭載している。
ステアリングのダイヤルスイッチで操作する12.3インチのマルチインフォメーションスクリーンは、ナビゲーション、エンターテインメント、交通情報、車両情報などの表示レイアウトを自由に選択できる。また、マルチインフォメーションスクリーンの背景には、日本の切り子ガラスをモチーフにしたデザインを採用し、日本のDNAを表現している。
新しい10.8インチのヘッドアップディスプレイ(HUD)は、ナビゲーションルート、運転支援情報や道路情報などをフロントガラスに映し出すことで、ドライバーが運転に集中できるよう工夫されている。
高解像度9インチのNissanConnectディスプレイ画面には、ナビゲーション、エンターテイメント、車両設定機能が搭載されており、Android AutoとApple CarPlayの両方に対応している。また、GoogleアシスタントやAmazon Alexaといった自宅とクルマをシームレスに繋ぐ機能にも対応している。
向上した安全性
新型「キャシュカイ」には、様々な状況においてドライバーをサポートする安全運転支援機能が搭載されている。プロパイロット(ナビリンク機能付)は、高速道路での同一車線内での加減速をサポートすることで、運転中の疲労やストレスを軽減する。ProPILOTと同様の直感的な操作を可能とし、ナビゲーションデータを利用することで、急なカーブや高速道路の出口などにおいて車速を自動調整し、スムーズな運転をサポートするという。
欧州で大人気のキャシュカイ。ターボエンジンとモーターを組み合わせた新しいe-POWERも気になるところだ。日本への導入予定は今のところなさそうだが、サイズ的にも日本でぴったりの一台。エクストレイルとキックスの間を埋めるモデルとして導入してもいいのではないだろうか。